順逆無一文

第61回『ネガティブ情報』

 国交省のWEBサイトの中をうろうろしていたら面白いものを発見してしまいました。いや、面白いといっては語弊があります、気になるコンテンツです。それは、国土交通省のWEBサイトの「報道・広報」(http://www.mlit.go.jp/report/index.html)というメニューの中にあった「ネガティブ情報」というリンクでした。
 リンクの脇に、

『全国の国土交通省所管事業者の行政処分を検索できるサイトです。ネガティブ情報は、過去の処分歴など事業者にとって有利に働かない情報ですが、公表することで事業者の事業運営の確保、公正な自由な競争の確保、国民の安全・安心の確保などのために有効なものです』

という説明がありました。

 要は国交省が管轄する、家や土地の取引、建物の建設、公共工事、乗り物、荷物の運送、自動車の購入整備、旅行などの各事業で罰点がついた企業と、その処分内容等が検索できるというシステムです。
 
 ちなみに「自動車を買う・整備する」の項目では「自動車製作者等【道路運送者両方関係】(自動車の製造、販売を行います)」と「自動車整備事業者(車検の際の自動車の整備を行います)」の二項目があり、「自動車製作者等」では、2005年9月1日以降の刑事告発について掲載してます、という断りがあって2件の紹介がありました。共に道路運送車両法違反にかかる告発でした。「自動車整備事業者」の方は数が多くて、条件を入れないで検索をかけたら349件ものリストがど~っと表示されました(12月3日現在)。不正車検が発覚し指定の取り消しを受けた事業者とか、すでに事業を行っていないのに届出をせずに認証の取り消しを受けた事業者、等が一目瞭然で分かります。都道府県ごとや事業者名などでも検索を絞れますので、気になる整備事業者があったら検索してみることをお勧めします。意外と身近な事業者名も出てきたりしてちょっとびっくりしますが。
 
「乗り物を使う」の項目の「航空運送事業者」のところでは、昨年のAIRDOの“事業改善命令”と“行政指導”、今年に入ってのスカイマークへの“行政指導”、日本航空の“行政指導”などの内容がリストアップされました。ニュースになった飛行中の操縦席でのスマホ記念撮影事件とかの、その後の処分内容が分かります。
 
 昨今、個人情報を保護しなければという風潮からなのでしょうか、検索サイトでの検索結果の内容から、過去の事件、事故等の当事者情報や刑事罰等の記載を表示させない動きが加速してるようですが、こと対企業、事業者に関してはやはり、一般市民の「知る権利」は絶対に残していくべきだと思いますね。
 
 ネット検索の件ですが、受刑してきちんと償いをしているのに、検索で記憶を呼び起こされるのは耐えられない、等いろいろな意見があるようですが、事件や事故をまるで無かったことにしてしまうかのように表示させないというのは違うと思いますね。マスコミの弱い部分でもありますが、事件事故を報道することには熱心ですが、その後どうなったかにはほとんど無関心、大きな事件のその後の裁判結果ぐらいでしょうか報道陣が食いつくのは。事件事故の収束まできちんとフォローしていない今のマスコミはパパラッチと大して変わりない存在ですね。
 
 関わった人間の情報も報道した以上、その後の償いの記録や再生の記録などもキチンと残していくことが必要だと思うのですが。簡単に物事を「無かったこと」にしてしまう日本人の性分にはなじまないのでしょうか。「誰が」という一番肝心な情報が欠落していたとしても、案外平気な方が多いようですが。事件や事故には必ず「誰か」がいます。その一番大事な部分を省いてしまうことで、物事の本質も分からなくなってしまい、結局は同じような事件事故を再発させてしまってはいませんか。
 
 かつての日本のお役所様だったら、ありえなかったような『ネガティブ情報』などというコンテンツを発見してしまった嬉しさに取り上げてしまいました。
 
               ※
 
 さて久々に“困ったチャン”たちの所業をお伝えしましょう。
 
 警視庁の巡査さん、飲酒運転で人身事故。警察官が飲酒運転をしてはいけません。それだけでも“とんでも”ものなのに、同乗していた友人に身代わりを依頼するとは。結局ばれてしまい過失致傷と犯人隠蔽教唆の罪に問われましたが、過失致傷の罰金30万円のみ。なぜか犯人隠蔽教唆の方は不起訴というのですが、“身内”に甘くないですか検察さん。
 
 続いてこちらは警察のありえない“困ったぶり”。といってもTwitterへの投稿ということなので真偽のほどがいまいち不明ですが。投稿者が一時停止違反に気づいて停車したところ、後方から来た白バイがもろに追突。そこまでは致し方ない、ままある事故かもしれませんが、なんと警察側は「病院にはいかないように」圧力をかけてきたという。人身事故にしたくなかったのでしょうな。しかも病院では被害者の保険で立て替えてほしいとも伝えられたのだと。いつ、どこで起きた事故なのか、どこの警察なのかも分からない書き込みなのでなんともいえませんが。ありえそうな“事件”ではあります。
 
 パトカーは路面電車にだって衝突します。高知市の県道でパトカーがUターンしようとして後ろから来た路面電車と衝突しました。後方不注意、というやつですね。Uターン禁止場所で違反車両を発見、赤色等を点灯させて追跡に入ろうとした矢先の事故でした。だからUターン禁止場所でUターンするなどもってのほか、とUターン車を物陰に隠れてまで熱心に取り締まりしている警察としてはちょっと恥ずかしい事故ですね。
 
 それにしても本当にUターンが危ない場所で取り締まりをするのなら、なぜUターンさせてしまってから捕まえるのでしょか? 「点数稼ぎじゃない、本当に危険回避の為」というならもっと正々堂々と取り締まりの存在をアピールして、Uターンを未然に防ぐことこそが、本当の警察の存在意義というものでしょう。
 
 次は同じバイク乗りとしては複雑な思いのニュース。京都府警の山科署副署長が休日に南丹市の国道で42km/hのスピードオーバーで検挙された。制限速度は50km/h。ツーリングが楽しくてついつい出してしまったのでしょうけど…。ちょっと出しすぎ。赤切符プラス本部長訓戒処分。
 
 クルマなら珍しくも無しということでしょうか。長野県警の警部補は乗用車で63km/hオーバーの143km/h。同じ長野県警の巡査は55km/hオーバーの135km/h。ともに高速自動車道でした。警部補は58歳、巡査は24歳と年は関係ないのですね。
 
 山梨県警の巡査は、信号を無視して回送中の路線バスに衝突、飲酒運転をしていたためか現場から逃走。飲酒当て逃げですね。ただ山梨県警が実態をつかんだのは事故の3日後。飲酒運転は実証できず。懲戒免職。
 
 こちらは単なる“…も人の子”事故。奈良県警の巡査が乗用車を運転中に信号を見落とし人身事故。「後部で泣く子供に気を取られた」ことによる事故でした。過失運転致傷で罰金80万円の略式命令。事故そのものは致し方ないとして、県警の対処が問題か。「被害者の80代の女性が処罰を望んでいないため」と監察課は一切処分せず、しかも公表もしなかったという。
 
“…も人の子”故、間違いを犯すのケース。大分県警が単独で接触事故を起こした女性を検挙、飲酒検知を行ったところ呼気1リットル中0.8ミリグラムのアルコールを検知したとして現行犯逮捕に。しかしその後、警察官の上司が検知管を見て間違いに気づいた。実際の値は0.05~0.1グラムの間で酒気帯び運転の基準以下だった。で、その女性は逮捕されてからすでに約12時間も拘束されていた。
 
 取り締まりのミスといえば、和歌山県警は御坊市の国道交差点で右折のみ禁止の交差点で、直進車も検挙。4件の取り締まりミスが発覚したという。今年8月に直進したミニバイクの女性を摘発後、規制内容を確認したところ取り締まりミスが発覚したという。過去に遡って調べたところ他にもミスが見つかったという。県警は「反則金を還付し、違反点数も取り消し措置を取る」というが、それだけで済ませられる問題じゃない。この誤検挙で累積点数で免停となったり、免許をなくしてしまい生活が狂ってしまった、などというケースはなかったのだろうか。警察という立場上、自らのミスには一般市民以上の厳しさを持って当たるべき。
 
 こちらは“お間抜け”なニュース。札幌市警の警察官3人が、盗難車と見られる車両を運ぼうとしていた際に、突然現れた男に乗り逃げされてしまった、という。白昼堂々と、制止を振り切られて…。大丈夫か? 警察。
 
 千葉県警の巡査長も飲酒当て逃げします。茂原警察署の巡査長が乗用車で帰宅中、住宅の生垣に衝突大怪我を負いましたが、なんと飲酒運転。非番でしたが夕方から職場の同僚と飲酒し、自宅に帰る途中だったとか。同僚って同じ警察官ってことですよね。
 
 北海道警は組織ぐるみといえそうなちょっと怖い事件。それは、実際の交通違反の現場には立ち会っていないのに同僚の名前を使って虚偽の捜査報告書を作成していたというもの。なんと関わっていたのは函館方面本部の警察官10人というから驚く。しかも道警監察室は「公表すべき事案であれば公表する」とだけ発表して詳細を明らかにしないのだとか。限りなく疑わしいといわれてもしかたないのでは。
 
 その後のニュースでは、北海道警では現場に立ち会っていない別の警察官に署名させて嘘の捜査報告書を作成したとして、警察官33人(!)を種類送検したと発表したとのこと。
 
 書いててもだんだんあほらしくなってきたのでここら辺にしますが、さすがに読んでる皆様も呆れてしまったのでは。
 
それでは、来年こそ良いお年を。
 
(小宮山幸雄)


小宮山幸雄小宮山幸雄

“雪ヶ谷時代”からMr.BIKEにかかわってきた団塊ライダー。本人いわく「ただ、だらだらとやって来ただけ…」。エンジンが付く乗り物なら、クルマ、バイクから軽飛行機、モーターボートとなんでも、の乗り物好き。「霞ヶ関」じゃない本物!?の「日本の埋蔵金」サイトを主宰する同姓同名人物は、“閼伽の本人”。 


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