順逆無一文

第62回『ナンバープレート表示に新規制』

 昨年の暮れも押し詰まった12月28日、国土交通省が「道路運送車両法施行規則の一部を改正する省令等の制定について」という発表を行った。「~ナンバープレートの表示義務が明確化されます~」との説明付きで発表された内容は、以下の通り。

『平成27年12月28日
 
 ナンバープレート(自動車登録番号標、車両番号標等)をカバー等で被覆することの禁止のほか、一定の位置・方法において表示しなければならないことを内容とする道路運送車両法及び自動車検査独立行政法人法の一部を改正する法律(平成27年法律第44号)の規定が、平成28年4月1日に施行されます。
 これに伴い、ナンバープレートの表示の位置・方法の詳細について定めるため、道路運送車両法施行規則等の一部を改正するとともに、所要の告示の整備を行いました(別紙1・2)。
 
 現行の道路運送車両法においても、ナンバープレートは見やすいように表示しなければならないこととされていますが、これらの法令の整備により、平成28年4月1日以降、ナンバープレートについて、カバー等で被覆すること、シール等を貼り付けること、汚れた状態とすること、回転させて表示すること(※)、折り返すこと等が明確に禁止されることとなります。
 また、平成33年4月1日以降に初めて登録を受ける自動車等のナンバープレートについては、一定範囲の上下向き・左右向きの角度によらなければならないこと、フレーム・ボルトカバーを取り付ける場合は一定の大きさ以下のものでなければならないこととなります。
※ ナンバープレートを(反)時計回りに回転させることをいう。』

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※こちらの表の文字が小さくて見れない方は国土交通省のWEBサイトで直接どうぞ。
■国土交通省 http://www.mlit.go.jp/report/press/jidosha09_hh_000124.html

 別表を見てもらえればわかる通り、これまでの“見えりゃいんだろ”的な扱いから、確実に判読できるように改めようという趣旨だ。とはいってもよくよく見てみると、この4月1日から施行される法、政令で実質的に変わるのは、いわゆるナンバープレートカバーと呼ばれるような、ナンバープレートを覆ってしまうようなパーツの装着が明確に禁止になったのと、ナンバーを90度回転させてつけるような取り付け方法を禁止する、の2点がメインで、5年のリードタイム後の2021年(平成33年)4月1日の全面適用も、その後に初めて登録、検査、使用の届け出が行われる車両のみが対象で、それ以前の車両に関してはこの4月1日から施行される規制がそのまま引き継がれるので、これまでとあまり変わり映えしないのでは、というのが実情か。
 
「見やすい位置に」とか「見やすい角度で」「自動車の運行中番号の判読ができる」など相変わらず抽象的な表現が引き継がれてしまっており、これでは、完全にナンバープレートを覆ってしまっているケースなどしか現場の警察官は取り締まれない。
 
“死人に口無し事故”の被害者となりえる二輪ライダーにとって、本人や目撃者、はたまた最近ではドライブレコーダーや監視カメラで車両のナンバーを確認できるかどうかは重大な問題だ。さすがに、スモークタイプのプレートでナンバープレート全面をカバーしてしまういわゆる“ナンバープレートカバー”については、装着車は見かけなくなってきているが、花柄やキャラクターのフレームに邪魔されて数字の一部が分かりずらいなんて車両は普通に見られる。
 
 また、これは道路運送車両法施行規則の中でも別項の問題になるが、ナンバー灯の色を勝手に変えてしまったことで見ずらくなっているとか、一部のトラックなどで荷台の下の奥まったところにナンバープレートが取り付けられていたり、さらにはごついバンパーに遮られ真後ろの一定の角度からでなければまったく認識できない、などという架装メーカーの良識を疑うようなケースも散見される。
 
 バイク側でも問題ありだ。ナンバーを折り曲げていたり、リアの左や右サイドに90度曲げて取り付けていたり、瞬時には数字が認識できないような“細工”をしている二輪車も普通に走ってる。被害者としてではなく、当て逃げ事故など二輪車が加害者となるケースも考えれば、身内の襟も正す必要もあるだろう。
 
                   ※
 
 年末から年始にかけて、ちょっとあきれるくらい次々とパトカーがやってくれましたので、取り上げておきました。
 
 まずは、山梨県警さん。12月の26日の日中、国道を警戒中のパトカーが渋滞の最後尾に止まっていた乗用車に衝突。その乗用車を運転していた54歳の男性ら2人にけがを負わせてしまったというもの。パトカーを運転していた警察官は「前をよく見ていなかった」のだそうです。“警戒中”だからですか。
 
 こちらはちょっと派手なアクシデント。12月30日午前11時前、富山県警の覆面パトカーがカーチェイスのあげく横転、後続の車両など4台が巻き込まれる事故に。北陸自動車道で取り締まり中の覆面パトカーがスピード違反車両を発見、追跡を開始。しかし、なぜか追い越し車線から道路左側のガードレールに突っ込んでしまったのだとか。横転した覆面パトカーを降りて交通整理をしようとしていた警察官が後続車にはねられ重傷だそうです。運転していたのは30代の巡査長。高速取り締まりのプロのはずですが、いったいどんな走り方をしてたのでしょうか。当然ながら違反車両には逃げられてしまったのでしょうね。
 
 同じ30日の午後11時過ぎには、福島県警のパトカーが、交差点で左から来た乗用車に衝突。乗用車の男性とパトカーの助手席に乗っていた巡査長が負傷。通報を受けて現場に急行する途中だったというから、赤色灯とサイレンを鳴らしていたのでしょうけど、緊急車両といえども安全確認は必要ですよね。
 
 年が明けた早々、元旦の午前1時ちょっと前、京都府警のパトカーがUターンをしようとして後続のバイクの進路を塞ぎ衝突。ライダーが負傷しました。現場は片側二車線の市道、パトカーは左車線、バイクが右側車線でした。自転車の二人乗り違反を発見したパトカーが赤色灯を付け、サイレンを鳴らしてUターンしようとした矢先に衝突。後方をよく確認しなかったのが原因ようです。
 
 運転のプロであるパトカーの乗員ですらこれですから、一般のドライバー、ライダーの安全感覚は大丈夫なのでしょうか。最近はますます自分勝手な行動をとるドライバー、ライダー、そして歩行者が多くなってますから、事故が多発しても不思議じゃありませんが、少なくとも防衛本能ぐらいはなくさないようにお願いしたいですね。平和、安全呆けの日本人が海外で簡単に、事件、事故に巻き込まれてしまうのも不思議はありません。
 
 すり抜け命のお兄さんたちも、周りの多くのドライバーやライダーの“安全意識”に助けられてこれまで生き延びられているんだってことを自覚しましょうね。

(小宮山幸雄)


小宮山幸雄小宮山幸雄

“雪ヶ谷時代”からMr.BIKEにかかわってきた団塊ライダー。本人いわく「ただ、だらだらとやって来ただけ…」。エンジンが付く乗り物なら、クルマ、バイクから軽飛行機、モーターボートとなんでも、の乗り物好き。「霞ヶ関」じゃない本物!?の「日本の埋蔵金」サイトを主宰する同姓同名人物は、“閼伽の本人”。 


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