オオカミ男のひとりごと


HERO‘S 大神 龍
年齢不詳

職業フリーライター

見た目と異なり性格は温厚で性質はその名の通りオオカミ気質。群れるのは嫌いだが集うのが大好きなバイク乗り。
時折、かかってこい!と人を挑発するも本当にかかってこられたら非常に困るといった矛盾した一面を持つ。おまけに自分の評価は自分がするものではないなどとえらそうな事を言いながら他人からの評価にまったく興味を示さないひねくれ者。

愛車はエイプ100、エイプ250、エイプ750?。
第46回 オイルのチカラ ベストコンディションへの移行・セロー編

 
 何が違うというのだ? 今回もまったくわからん。
 エイプにヤッコの超高性能オイルを投入したのは以前に話した通り。そのほぼ直後にセローにもこのオイルを投入したのだがやはり交換直後の感覚はエイプの時と同じでその変化を体感する事はなかった。
 もしかしてオレが鈍感なだけなのか!? 
 しかしまぁ目に見える変化はなくとも多くのユーザーから五つ星の評価をもらっているオイルゆえにエンジンに対しては良い影響こそあれ悪かろうはずがない。このセローを大切に長く乗るための投資と思えばいい。
 オレのセローは走行が1万5千キロほど。まだまだという見方もあるが新車の頃に比べるとそれなりにヤレているはず。オレはこいつを中古で購入したため最初の頃がどういう感じであったのか知らないが納車してから現在に至るまでの感じではかなり良好。まぁ横浜からの帰りでバッテリーが上がってしまった(第42回)ことはあったがエンジンそのものは快調といっていい。つまり今の状態を維持できさえすればそれだけでもありがたい話である。と、思っていたのだが・・・・



苦手な高速もなんのその。乗り手のガマンが大事です。コイツを手に入れてから今日まで7割が高速ステージ。意外とイケるんじゃねぇっ!?
苦手な高速もなんのその。乗り手のガマンが大事です。コイツを手に入れてから今日まで7割が高速ステージ。意外とイケるんじゃねぇっ!?

 
 噂通りにその変化はやってきた。オレの場合その変化は劇的というほどのものではなかったのだが・・・。
 中四国の仲間が四国のもみじ温泉でキャンプするというので久しぶりに四国へ向けてセローを走らせたときの事だった。時は2015年10月。そう、これはまだ昨年の秋の話なのだ。まぁ気にしないように。
 当日にオレは仕事を終えてから向かったためこの日はしまなみ経由でオール高速である。とにかく長時間の高速走行を苦手とするセロー。これに関しては飛ばさなければ特に問題はないのだがある一定のスピードを超えてそれを維持しようと思うとエンジンはその負荷に耐えられない。
 その原因の一つが250ccクラスのマシンでありながら使用オイルの量が1リッターほどの少量であるという事がいわれている。だからと言って指定されている容量を超えて入れればいいというものでもない。ならばオイルそのものの性能を上げてやればいい。そう考えるならもしかするとこのオイルでその弱点は解消されるのではないかという期待が。とは言ってもその期待が裏切られた場合にどうなるかという事を考えてしまうとさすがに冒険する事はできず上限ぎりぎりの所での走行になってしまった。
 しかし、遅い車を追い抜く際には一時的にその上限を超えてスピードを上げたのだが・・・アクセルを開けた際のトルクの立ち上がりが速いような気がする。気のせいか・・・いや、何回かやってはみたがスピードが上がっていくタイミングがいつもよりもワンテンポ速い。わかりやすく言えば下り勾配の路面で一気にアクセルを開けた時のような感覚が平坦な路面、果ては登り勾配でも同じように起こる。これがリッタークラスのマシンなら当たり前の事ではあるがセローの排気量を考えたら相当な違いと言える。
 これに気づいたのはしまなみ海道を経由して高松道に入ってしばらく走ってからの事。オイル交換をしてから距離にして150キロほど走った頃。オレはそれほどメカに詳しいわけではない。ましてやオイルの構造式など何のことやらと言った感じである。いったい何がこの変化をもたらすのか正確なところはわからない。だがこれが本当にセローの新車とまで言わないまでもそれに近いレベルでのコンディションであるならばこのオイルは溜まったスラッジを取り除き、摩耗した部分を補うという役割を果たしたことになる。さらにその優れた潤滑性で各所のフリクションロスを軽減させたとするならばこの以前に比べて格段に早いトルクの立ち上がり方にも説明がつく。
 つまりは数字的にトルクなどの性能がアップしたわけではなくロスしていた部分がかなりのレベルでそぎ落とされたのだと考えられる。実にスバラシイ。しかもこのオイル、他社のオイルに比べてかなりのロングライフなのだという。そう考えるとこのオイルの値段の高さは額面通りに見て取らない方がいい。もちろん人それぞれの価値観にもよるが大切なマシンを少しでも長く良い状態で維持しようと思うなら言うほど高い買い物では無いと思える。



マルキュー林道入り口付近にて。自動車通行不能の立て看板が。その意味するところはというと・・・ええ、この先、ヒドイ道です
マルキュー林道入り口付近にて。自動車通行不能の立て看板が。その意味するところはというと・・・ええ、この先、ヒドイ道です。


やはりオフ車の背景はこの景色が似合う。実に2年ぶりの林道。だがこのブランクは長かった。感覚を取り戻す前に試練が多すぎ。はい、折れました
やはりオフ車の背景はこの景色が似合う。実に2年ぶりの林道。だがこのブランクは長かった。感覚を取り戻す前に試練が多すぎ。はい、折れました。

 
 このセローの変化を事実として受け止めたオレはエンジンの耐久性にも大きな期待を寄せた。元々は長時間にわたる高速走行以外では頑丈さには定評のあるエンジンである。そのあたりはぜひ林道やガレ道なんかで試してみたいものである。
 よくよく考えてみるとオレはこのセローを手に入れてからまだダートなステージでコイツを走らせていない。ならば今回、四国で久々にダートを走らせるのもいいだろう。紅葉温泉で久しぶりに中四国の仲間と再会し、酒を酌み交わしたオレは翌日、四国の山をめがけて走った。
 当初、スーパー林道がいいかなとも思っていたのだが時間的にみて剣山をがっつり走るには余裕がない。という事で徳島の脇町ICあたりに位置するマルキュー林道(オレ達が勝手にそう呼んでいる)へ。この林道。距離は6キロほどの短い林道ではあるがその荒れっぷりはかなりのもの。シェルパでは何度か走ったが今回は実に2年ぶり。
 県道に入りしばらく走ると道がどんどん狭くなっていき、やがて舗装が途切れた。さぁダートの始まりだ。事前の情報で台風の影響で大木が途中、道をふさぐ形で倒れているらしい。一応、迂回路が作ってあるというので走り抜けられるとは思うのだが…林道に入ってものの500m走ったあたりで道が消えた。正確にはあたり一面背の高い草が生え広がってどこが道になっているのかがほとんどわからない。ラインはおろか道の輪郭さえも見て取れない有様である。ただでさえハードなガレ道なのに・・・。コースを外れて転落なんてことになったらそれこそシャレにならんと思い屈辱の徐行を余儀なくされた。
 なんとか雑草コースを抜けると今度は事前の情報通りに倒木によって道が塞がれていた。すぐ横に乗り越えれば迂回できるようなスペースはあったがその先にさらに点在する障害物を確認したオレは・・・やめた。久々のダートでこの荒れっぷりはキツ過ぎる。しかもこうなるとエンジンの調子がどうこうではなく違った意味でヤバイ。右肩上がりで調子が上向いたエンジンで走って他の所を壊したりしたら本末転倒だ。ここは日を改めてもう少しライトな所で走る事にしよう。



ダメです。通れません。少し先まで徒歩で確認してみたが・・・ヤバイです。準備が足りん。装備も心も。気軽にこの林道へ来たことを少し後悔
ダメです。通れません。少し先まで徒歩で確認してみたが・・・ヤバイです。準備が足りん。装備も心も。気軽にこの林道へ来たことを少し後悔。

 
 まぁそんなわけで林道テストは途中リタイヤとなってしまったわけだがオイルの力は侮れぬ。このヤッコのエンジンオイルをオレに薦めてくれた友人はこう言い切る。
「オイルはチューニングパーツである。」と。
 少々大げさな言い回しだと思うかもしれないがこれを体感したものから言わせてもらえばなるほどなと納得する部分の方が大きい。ビッグパワーを得るために排気量を上げるのもいいだろう。ターボやスーパーチャージャーなどによるドーピングも有りだと思う。だがその前にそのマシンが持つ本来のポテンシャルを最大限にまで持っていったならその幅はさらに広がるだろうし、場合によってはボアアップなどのチューニングを不要と感じるかもしれない。
 オレはこのオイルを代理店である静岡のヤマモトワークスから購入。他にもいくつかの高性能オイルを扱っているオイルのスペシャリストだ。ネット上にホームページがありヤッコをはじめとするオイルはそちらから注文する事ができる。ホームページにはオイルに関する様々な内容が記載されていてオレ自身はそれを見てオイルに対する認識がガラリと一変した。興味のある人はのぞいて見るといい。そしてその好奇心をもう一歩先へ進めようと思うなら一度試してみるのもいいだろう。そして試した人のお決まりのセリフがこうだ。
「もう戻れないかもしれない」。



無理なチューニングはその性能と引き換えにエンジンの寿命を縮める。だがこのオイルはその性能を引き上げエンジンン寿命さえも伸ばす。信じるか信じないかはあなた次第
無理なチューニングはその性能と引き換えにエンジンの寿命を縮める。だがこのオイルはその性能を引き上げエンジンン寿命さえも伸ばす。信じるか信じないかはあなた次第。

 さてそのヤッコオイルをセローに先んじて投入したエイプはその変化をいまだ見せぬままにオレとともに一月の終りに九州へ渡った。自走で来ていれば道中その変化を捉える事もあったかもしれないが今回、前の横浜同様に長期滞在ゆえに他の大量な荷物とともに軽トラの背に乗っての九州入りである。そして夏あたりまで九州の長崎に滞在という事になる。 
 この九州入りも初日から少々、幸先の悪いスタートになったわけだが・・・おっと、その前に年末年始の話がある。近況はそのあと、報告する事にしよう。気長に待っていてくれたまえよ。


[第45回へ][第46回][第47回]
[オオカミ男の一人ごとバックナンバー目次へ]
[バックナンバー目次へ]