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ひょんな事からBMW K100RSという古いバイクを入手した。もう25年も前のバイクである。実はこの頃のBMWのKシリーズっていうのは、まあはっきり言ってかなりの変態バイクである。 何がなんでもどうしてもクランクを縦に回したかったらしく、4気筒の縦置きエンジンってのがまずすごいし、シャフトドライブにパラレバーシステム、四輪ゆずりの初期電脳系制御(初期のインジェクションの事です)にうすらでかいABSブレーキシステムと、更にまた無意味に(って事は無いだろうけど)デカいフェアリングなど、この時代に出来る最先端の仕組みを取りあえず全部乗せしてみました~、みたいな感じの、でもちょっとばかり進む方向性を間違ってしまった、そんなバイクなのです。 スタイルに関しても83年のデビュー当時はひょっとしたら「未来のバイクはこうあるべし」といった強いメッセージを持っていたのかもかもしれないけど、K100RS・2V→4V→K1100RSと83年から96年までの間、ず~っとスタイルを替えなかった割には残念ながら(特に日本では)あまり多くの人達の賛同を得られなかったようで、まあ見事に不人気車である。 同じBMWでも同時代に並行して売られたR100RSは人気絶版車なのにK100シリーズときたら悲しい程、街でも中古車屋さんでも見かけない、よく見かけるのは某オークションのみという悲しさなのである。 しかしながら不人気である事=つまらないバイク、という事は全くない訳で、このK100RS君も実は中々見どころのあるヤツなのである。 どのヘンが見どころなのか?と聞かれると実は僕もまだ良くは分かっていないのだけど多分壊れにくくて多分高速道路で疲れ知らずで多分1日1,000km走っても全然平気なのである。 なぜまだよく分かっていないかと言うと、実は僕のK100くんはやっと最近遠出出来るような身分になってきたばかりだからだ。 週末のささやかな自由時間をK100くんにだけ削く事も出来ず、また国産と勝手の異なる仕組みは、タイヤと油脂類を交換するだけで多額の費用負担を持ち主に迫るのである。 メイン機があるのにも関わらずちょっとした軽い浮気のつもりで手に入れたら、これがとんだ金喰い号だった訳である。 これはマズイ、という訳で、最近は旧Kシリーズを飼っておられる皆様のブログなどを拝見しながら、出来る限りDIYで頑張ろう、とトライしている次第です。 で、最近になって一通りタイヤや油脂類の交換が完了してやっとフツーに走れるようになったという訳なのです。 そして季節はいつのまにか暑い夏に突入する。 はたして冬でも余り寒さを感じないと言われるこのウスラでかいフェアリングは夏には一体どうなっちゃうんだろうか?とか不安はつきない。 ところで、このK100君ですが、まあコイツに限ったことではなくBMWの一連のK・Rシリーズはみんなそうだと思いますが、とにかく重い!もうアホみたいに重いのです。なんなのこれ?ってまじで思うもの。 特に今ワタシの1号機がSR500君なので余計にそう感じるのかもしれないけど。 まあ「何言ってんだ俺のアフリカツインの方が重心高くて辛いぞ」とか「俺のバイク重過ぎてバックギア付いてるぞ」とか辛さ自慢の方々が出てきそうなのでこれ以上止めときますが、バイクは軽いに越したことないよなーとつくづく感じますわ。 このK100君、世の中の評判はと言うと、古い2バルブRシリーズくん達が「もう気持ち良くって走っているだけで幸せ」とか「これ以上のバイクはもういらない」とか素敵な感想に満ち溢れているのに対し、「良くも悪くも長距離走行バイク」とか「結局、疲れないがゆえに目的地には一番に着くのだ」とか褒めてんだかケナシてんだか分らない感想が多い。 ワタクシ自身は、実際のトコどうよ?と聞かれたら、うーん。 1000CCあるバイクのくせにパワーなさすぎ、とかギア比低くていつも6速探しちゃう(4Vまでは5速です)とか、まるで乗用車のようなエンジンフィール、とか答えちゃいそう。 じゃあエンジン駄目でもコーナリングは?と聞かれても、「ま、基本まっすぐ走るバイクですわな~」と答えてしまいそうです。 でもね、それじゃ面白くないバイクなのかと言うと全然そんな事ない。むしろ楽しいバイクです。 つまりこの重い図体を「えいっ」と傾けてやると、すーっと曲がってくれます。 「えいっ」て言うのは無理やり「ぐいっ」ではなくてちゃんとこれまで習ってきた、ブレーキをきっかけにとか、ダラっと重心掛けるとか、きちんと曲がるための儀式を上手にタイミング良く「えいっ」とやるときちんと曲がってくれるのです。 逆にきちんと曲がるように儀式をしないとちゃんと曲がってくれない。ちゃんと走らせるのに結構な努力が必要なのです。 これはよい事なのか、それとも無駄なエネルギーを費やしているのか僕にはまだ結論が出ていない。 もうちょっと長くお付き合いしてみないとちっとも分からないバイクなのだ。 ただ一つだけ言えるのは、コイツのうすらでかいカウルを取っ払ってシンプルなライトやシートにカスタムして、唯一無二なエンジンを強調してやると、それはそれはカッコ良くなるのだ。 ああ、早くカッコ良くカスタムしたいぞ。 でもまあしばらくはノーマルで走らせましょう。