スーパーカブといえば、まず思い浮かべるのが働くカブ。扱いやすくタフで好燃費という、絵に描いたような働き者であることは、万国の万人が認めるところ。
その労働車をより便利により使いやすくするカスタマイジングもまた、万国万人が当たり前に行なっていた。銀行員は鉄の箱をリアキャリアに固定し、そば屋さん、ラーメン屋さんはおなじみの出前機を付け、畳屋さんはパイプ製のサイドカーを、竿竹屋さんはリアカーをけん引し、牛乳屋さんはハンドルにバッグを取り付けるためレッグシールドの上部をカットしていたし、新聞屋さんは前カゴに入れた新聞によるヘッドライトの反射を防ぐため前カゴ前部にヘッドライトを増設した(これがプレスカブの起源)。郵便屋さんに至っては特化したスペシャルマシンのMDシリーズを共同開発するに至った。
こうした機能面のカスタマイジングとは異なり、スタイルや遊びを重視したドレスアップとなると、スーパーカブの場合はほとんどノータッチ。仕事第一、遊びは二の次という昭和モーレツ時代のなごりはあったかもしれないが、ある種タブー視されている面も否めなかった。もっとも、今ほどカスタマイジングが当たり前ではなかったし、わざわざスーパーカブに手を出さなくとも素材は他に山ほどあったと言い換えてもいいかもしれない。
もちろんスーパーカブを素材に「改造」道を邁進する人も存在したのだが、少なくとも1980年代までスーパーカブのドレスアップや改造は、受け狙い、キワモノ扱いされていたというのが正解だろう。
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
当初12アイテムだったカブラキットは、翌年に17アイテム、そして1990年代後半から2000年代初頭にかけ、カブラスポーツ用(1993年の東京モーターショーに出品されたカブラ・Sとほぼ同様のスタイルになるパーツ9アイテム。モンツアレッド、プラズマイエロー、ニムパスグレーメタリックが4アイテム、プラネットグリーン、アドベンチャーブルーメタリック、ブラックがフルキットの9アイテムで限定発売された)のレッグカバーやシングルシートカウル、通称ハンターカブラ用のアップマフラーなどを加えて、さらにリトルカブ用のリトルカブラキットも発売され全盛を迎えたが、スーパーカブカスタマイジングの定番化によってサードパーティ製パーツも豊富になり、次第に役割を終えていった。
現在では絶版になったパーツがほとんどだが、2011年現在、カブラブランド2アイテム、リトルカブラブランドで3アイテムが発売されていることはあまり知られていない。
第01号 2011.08.01[アナザストーリー 広告宣伝に見るスーパーカブの歴史 「51年目の知られざる真実」前編]
第02号 2011.08.08[インジェクションモデル「スーパーカブ50・インプレッション」]
第03号 2011.08.15[「不動の思想 進化する思考」スーパーカブ全史・1 1958〜]
第04号 2011.08.22[ピンキー高橋大統領の「スーパーカブ110 インプレッション」]
第05号 2011.08.29[「不動の思想 進化する思考」スーパーカブ全史・2 1966〜]
第07号 2011.09.12[初期の新聞、雑誌広告に見るスーパーカブの広告ヒストリー・1]
第08号 2011.09.20[ピンキー高橋大統領の「スーパーカブ110プロ インプレッション」]
第09号 2011.09.26[「不動の思想 進化する思考」スーパーカブ全史・3 1978〜]
第10号 2011.10.03[初代スーパーカブデザイナー 木村讓三郎氏に聞く「カブは、何故世紀の大ヒット・バイクになったのか?」(前編)]
第12号 2011.10.14[「不動の思想 進化する思考」スーパーカブ全史・4 1982〜]
第13号 2011.10.24[野口オヤビンの「オモシロ系カブインプレッション ポートカブC240」]
第14号 2011.10.31[「不動の思想 進化する思考」スーパーカブ全史・5 1986〜]
第15号 2011.11.07[初代スーパーカブデザイナー 木村讓三郎氏に聞く「カブは、何故世紀の大ヒット・バイクになったのか?」(後編)]
第17号 2011.11.21[野口オヤビンの「オモシロ系カブインプレッション CT200」]
第18号 2011.11.28[初期の新聞、雑誌広告に見るスーパーカブの広告ヒストリー・3]
第19号 2011.12.05[「不動の思想 進化する思考」スーパーカブ全史・6 1991〜]
第20号 2011.12.12[野口オヤビンの「オモシロ系カブインプレッション スーパーカブ50SDX」]
第22号 2011.12.26[初期の新聞、雑誌広告に見るスーパーカブの広告ヒストリー・4]
第23号 2012.01.10[51年目のスーパーカブで国道51号線を走る「イバラッキーストライクホンダが征く」]
第24号 2012.01.16[「不動の思想 進化する思考」スーパーカブ全史・8 1998〜]
第25号 2012.01.23[野口オヤビンの「オモシロ系カブインプレッション Wave125i」]
第27号 2012.02.06[「不動の思想 進化する思考」スーパーカブ全史・9 2007〜]
第28号 2012.02.13[『変えない」という名の進化 スーパーカブ開発ストーリー]
第29号 2012.02.20[スーパーカブ110がフルモデルチェンジ]
第30号 2012.02.27[アンジョーのオモシロ系カブ・インプレッション ハンターカブCT55]
第32号 2012.03.12[PINKIE大統領 ちょっとだけアセアンカブに乗る]
第33号 2012.03.19[ホンダワークスが仕掛けたカスタマイジングの新しいカタチ「カブラ」]
第34号 2012.03.26[NEWスーパーカブ110開発者インタビュー]
第35号 2012.04.2[NEWスーパーカブ110の生産地・中国 新大州本田]
第36号 2012.04.09[1993年東京モーターショー スーパーカブ華の競演夢舞台]
最終号 2012.04.16[[PINKIE高橋大統領のNEWスーパーカブ110インプレッション]
おかわり号 2012.06.15[[NEWスーパーカブ50インプレッション]
●スーパーカブ大全が、新たな書き下ろしを加え一冊の本になりました。お求めはこちらからどうぞ。