オオカミ男のひとりごと


HERO‘S 大神 龍
年齢不詳

職業フリーライター

見た目と異なり性格は温厚で性質はその名の通りオオカミ気質。群れるのは嫌いだが集うのが大好きなバイク乗り。
時折、かかってこい!と人を挑発するも本当にかかってこられたら非常に困るといった矛盾した一面を持つ。おまけに自分の評価は自分がするものではないなどとえらそうな事を言いながら他人からの評価にまったく興味を示さないひねくれ者。

愛車はエイプ100、エイプ250、エイプ750?。
第51回 先代から引き継いだモノ、オレ流の使い方

 
 この世の中に揺らぐことのない真実は二つしかない。誰にでも自分をこの世に送り出してくれた親がいてそして誰もがいつかその人生を終える。2016年の秋、オレの父親がこの世を去った。ただの偶然か実際、そういう巡り会わせというのが存在するのかはわからないが命日はかつてオレと共に15年間生活を共にした愛犬ムサシの命日と同じ日だ。おかげでこの日だけは忘れることなく覚えていられそうだ。
 18の時に家を出てからというものほとんど接する事がなかったので今回の件で特に悲しいとか寂しいという感情はなかったのだが、この期に及んでオレは父親の意外な一面を知る事となる。闘病中、入院生活の中でやたらとオレを呼び出し今後の事を話したりしたのだが、結論としてオヤジの所有する土地や物などのほとんどをオレが引き継ぎ管理する事になった。
 最初は下手に使い道のないものなどを残されても税金やらなんやらで面倒なだけではないのかと危惧していたのだがそのあたりの趣味性はこのオレと合致したものだった。これに関するDNAはどうやらしっかりオレの中に引き継がれているらしい。まだオレがガキの頃、祖父が果樹園をやっていた山をオレのオヤジが引き継いていて果樹園は続けることはなかったが定年後、その山の一角にコンクリート造りの小屋を建て隠れ家として自分の好きな事をやっていたようだ。そして乗っていた車が軽四輪のスポーツカー、スズキのカプチーノ。どちらもオレにとっては利用価値は大きい。



名もなき山にひっそりと建つコンクリート造りの小屋。ちょっと工夫すれば普通に住めます。これが今後、オレのアジトとなる
名もなき山にひっそりと建つコンクリート造りの小屋。ちょっと工夫すれば普通に住めます。これが今後、オレのアジトとなる。


カプチーノです。走らせてみるとやはりこの頃のマシンは結構、速くそして面白い。しかし外装は表面のクリア塗装が剥がれてヒドイ状態。なんとかせねば


カプチーノです。走らせてみるとやはりこの頃のマシンは結構、速くそして面白い。しかし外装は表面のクリア塗装が剥がれてヒドイ状態。なんとかせねば
カプチーノです。走らせてみるとやはりこの頃のマシンは結構、速くそして面白い。しかし外装は表面のクリア塗装が剥がれてヒドイ状態。なんとかせねば。

 
 これだけ聞く分にはなんだラッキーじゃない!? と思うかもしれないが世の中、そう甘くはない。3年前に大病が発覚して入退院を繰り返すようになってからはオヤジもほとんど手を付けられなくなり小屋の中はものが散らかり放題。山の敷地は人の背丈ほどもある雑草が伸び放題に伸びている。これを何とかしない事にはここで何かをしたくてもどうにもならないような有様である。一言で言ってしまえば山を一つ切り開かなけれならないという事だ。カプチーノはまめに世話になっている車屋に面倒を見てもらっていたおかげでエンジンなどの動力系は実に状態はよかったものの保管状態として外で雨ざらしだったため外装がボロボロ。これもこのまま走らすには少々、みっともない。さてどこから手をつけたものか。
 とりあえずは山小屋だ。ここはガレージスペースと居住スペースが半々になっていてバイクの保管場所としては最適といえる。これを片付けつつ山の雑草を除去していこう。小屋の中にはさぁ山の整地をやっちゃってください! と言わんばかりに草刈り機やチェーンソーなんかが置いてある。さっそく草刈り機を手に雑草刈りを始める。だがやってみるとこれが結構な重労働なのだ。最初の方こそバッサバッサと刈る感触が楽しかったのだがだんだんその敷地の広さにうんざりしてきた。簡単に言ってしまえば東京ドームひとつ分くらいの広さである。空いた時間を使ってちょっとずつやっていったので小屋の周辺を片付けるだけでひと月半ほどもかかってしまった。小屋の内部も完全ではないがある程度、片付いたところでバイクを入れてみた。さすがに3台はちょっとキツイのでひとまずはエイプとCBの2台を入れる。
 ふっふっふ、イイ! 実にイイ!! しっかりとした自分の世界を持っている者ならばぜひ手に入れたい憧れの隠れ家そのものだ。いや秘密基地といった方がいいか。まだまだ周辺は整備しないとならない部分は多いがこうなると俄然やる気が湧いてくる。手入れが済んだ小屋の周辺はちょっとしたキャンプ場のような感じであるし実際、ここで暮らしてもいいくらいだ。まだまだやる事は山ほどあるがこれならば苦になる事はないだろう。



デリケートな我、愛機はさっそくにこの快適空間にお引越し。最高です。こいつらを眺めながら時間を忘れて過ごせます


デリケートな我、愛機はさっそくにこの快適空間にお引越し。最高です。こいつらを眺めながら時間を忘れて過ごせます
デリケートな我、愛機はさっそくにこの快適空間にお引越し。最高です。こいつらを眺めながら時間を忘れて過ごせます。

 
 山の方がある程度、メドが立ってきたので今度はカプチーノをどうするか考えた。初めはオールペンするしかないのかと考えたが友人からのアドバイスでとにかく一度、磨いてみればと言うのでそれにトライしてみる事にした。しかしそのためにはそれをやるための場所を確保しなければならないので実行に移すのはもう少し先だ。
 それよりも・・・これだけ完璧なバイクの保管場所を手に入れたのだからCBの方だ。前回紹介したタイヤ交換の際に気になっていた足回りをやる事にした。これに関してはオレが自分でやるのではない。もちろん外注に出す。お願いする先はホーネットでもお世話になった足回りのスペシャリスト,オクムラ。見積もりを出してもらうとリアのオーリンズを購入する価格で前後の足をフルチューンできるというので即決でお願いすることにした。それとあと一つ。タンクの加工である。RCBの特徴の一つであるタンクのサイドに設けられたクイックチャージのキャップ。これをやる事にした。これはもう思い切ったというよりはヤケクソである。なんせタンクだけの単価がオレが買った当時のセローよりも高いのだ。だがこれだけのクオリティのマシンだけにやるからにはとことん拘りたい。時間も金もなかなか捻出できないがそれすらも楽しめる充実感がある。CBが完全な姿で帰ってきた時、このアジトは完成する。思う存分に走るのはその後だ。

PS・・・この山小屋に名前を付けました。名付けて“狼家(ろうや)”。ヨ・ロ・シ・ク!


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