MBFCC-B1 毛野ブースカ 湯めぐりみしゅら~ん

第54湯:念願の栃尾又温泉制覇

 読者の皆さん、お久しぶりでございます。毛野ブースカです。予期しない諸事情によって1年数ヶ月間、休載しておりましたが、これまた予期しない諸事情により(笑)戻ってまいりました。この1年数ヶ月の間に起こったドタバタ事情はさておき、再び「湯巡りみしゅら〜ん」を再開したいと思います。皆さまよろしくお願いします。

 愛車は2015年夏に購入したホンダ400Xから変わりはないのだが、実はこの1年間、ロングツーリングにほとんど出かけることができなかった。なので今回は、2016年9月下旬に出かけた栃尾又温泉1泊2日ツーリングの模様をご紹介したい。

 栃尾又温泉は新潟県魚沼市の山間にある秘湯だ。そもそもなぜこの栃尾又温泉を選んだのか…。遡ること今から9年前の2008年5月26日、初めて佐渡島にツーリングに行った帰り道、越後湯沢に向かう途中に栃尾又温泉があることがわかり、日帰り入浴していこうと立ち寄った。どの宿かは覚えていないのだが、フロントで日帰り入浴したい旨を伝えると「ここの温泉は日帰り入浴していないんですよ…宿泊者だけなんです…」と告げられてしまった。なかなか来られない場所なので入りたかったが、仕方ない。諦めて栃尾又温泉を後にした。それから、いつか宿に泊まって栃尾又温泉に入ろうと決めていた。
 あれから8年の歳月が過ぎ、栃尾又温泉への欲求が高まり、2016年9月下旬、栃尾又温泉制覇への作戦が決行された。ネットで検索して宿泊先を「湯治の宿 神風館」に決定。料金は1泊2日2食付で7,850円だった。越後湯沢や魚沼市周辺の温泉はすでに入っている場所もあり、今回は栃尾又温泉だけに絞り、あとは成り行きとした。

 出発当日、天気は午後から崩れるという予報。やはり湯巡りみしゅら〜んに雨はつきものなのか…。関越自動車道を進み、月夜野インターで下車。ここから国道17号線を進み、三国峠を通って、まずはJR越後湯沢駅に向かう。月夜野インターを降りてからだんだん雲行きが怪しくなり、三国峠手前で雨がポツポツと降ってきてしまった。心が折れそうになりながらも三国峠、苗場スキー場を通過。第1目的地であるJR越後湯沢駅に到着。

 ここに立ち寄った理由は、駅構内にある「ぽんしゅ館越後湯沢店」内に設置された「雪ん洞」で供される「爆弾おにぎり」を食べるためだ。「爆弾おにぎり」とは1個1合分のコシヒカリ100%が使われたビッグサイズのおにぎりだ。数年前に食べて以来、漫画に出てくるようなおにぎりが忘れられなくなり、今回も立ち寄ってしまった。店内の作りは変わっていたが、爆弾おにぎりは健在。見た目、重量感ともに申し分ない。もちろん味も最高。もう1週間あとだったら新米だったらしく、今度来る機会があったら新米バージョンを食べてみたい。

 爆弾おにぎりでお腹を満たしてJR越後湯沢駅を出発。栃尾又温泉まで国道17号線を淡々と進む。雨は止むことなく、前回来た時も曇り空だった記憶が蘇る。寄り道していこうかと思ったが本降りの雨に意気消沈。予定よりも早く栃尾又温泉に向かうことにした。宿に到着したのは午後3時30分。雨に濡れた装備を解除してチェックイン。宿の主人とおぼしきご老人(自分は勝手に湯守と呼んでいた…)が温泉を案内してくれるというので、ついていくことにした。

 新潟県魚沼市にある栃尾又温泉は、1250年以上前に開湯された日本でも有数の放射能泉(ラジウム泉)である。私が選んだ神風館に加えて自在館、宝巌堂(ほうがんどう)の3つの温泉宿で構成されており、霊泉「したの湯」と霊泉「うえの湯」、さらに「奥の湯」を共同して使用している。栃尾又温泉のラジウム泉は泉温が35.4℃とぬる湯。どちらの湯にも源泉かけ流しの湯船と、加温した上がり湯が用意されているのが特徴だ。

 湯守に案内されて神風館を出る。向かいにあるのが自在館。神風館の上に宝巌堂がある。自在館の下に「したの湯」があるという。湯治場として利用されている古い木造建物を通って「うえの湯」と「奥の湯」に向かう。「うえの湯」と「奥の湯」は外観や内装を見ると日帰り入浴施設のように見える。聞けば栃尾又温泉もかつては日帰り入浴をやっていたが、あまりにも入浴客が多いので日帰り入浴は廃止したとのこと。後日、私が訪れた2008年に撮影した栃尾又温泉の看板をよく見ると、栃尾又温泉センターの横に「日帰り入浴の営業は行なっておりません」と書いてあった。すでにこの時から日帰り入浴は行なっていなかったのだ。理由がわかり合点がいった。「うえの湯」+「したの湯」と「奥の湯」で1日ごとに男女が入れ替わるシステムになっている。

 湯守の親切丁寧な案内を終えて、早速入湯開始。この日は「奥の湯」が男性、「うえの湯」「したの湯」は女性だったので、初日は「奥の湯」、2日目朝に「うえの湯」と「したの湯」に入ることにした。早速「奥の湯」に入ってみることにする。お湯は肌触りが優しい無色透明。泉温35.4℃ということもあり、季節的にはそれほど寒くはなかったが、ぬるい。いつもならせわしないのだが、今回はゆっくり長湯。飲泉できる温泉なので、飲泉しながらじっくり浸かる。宿に泊まらないと、この温泉は楽しめないと実感した。

 上がり湯で身体を温めて部屋に戻ると夕食が用意されていた。夕食は和食中心。久々の温泉宿に心が和む。夕食後も「奥の湯」へ。だんだんと入浴方法にコツを得てきたが、時折熱めの湯に浸かりたい気持ちが出てきた。

 翌朝、雨は小雨だが降り続いている。午前6時に起きて「したの湯」に向かう。自在館に入り、長い階段を下りた先に「したの湯」はあった。石造りのやや小さめの湯船に歴史を感じる。上がり湯で身体を温めた後、「うえの湯」に向かう。こちらは「奥の湯」同様モダンな作り。湯船は広々しており、気持ちいい。これで無事3つの湯を制覇。温泉宿らしい朝食でお腹を満たして、念願だった栃尾又温泉をあとにした。

 帰りもJR越後湯沢駅に向かい、今度は駅構内にある「越後十日町小嶋屋」で魚沼地方発祥の「へぎそば」を食べる。あとは帰京するだけなのだが、越後湯沢からどのルートを通って帰るかで迷った。行きと同じように国道17号線で三国峠を通過して帰るか、湯沢インターから乗って帰るか…。とりあえず国道17号線ルートを選んだ。JR越後湯沢駅から数km走行したところで雨がひどくなって断念。引き返して湯沢インターから関越自動車で帰ることにした。びしょ濡れになりながら関越トンネルに差しかかり、トンネルを抜けた瞬間、なんと群馬県側はまったく雨は降っておらず、晴れ間がのぞいていた。「トンネルと抜けるとそこは晴れていた」。山を隔ててこんなに天気が違うものか…。

 あまりの天候の差に、急遽予定を変更。水上インターで降りて、まだ入ったことのない「猿ヶ京温泉」に向かうことにした。走りながら装備を乾かし、国道17号線に出てから三国峠方面に向かう。三国峠に向かう途中の山あいに猿ヶ京温泉があり、日帰り入浴施設「まんてん星の湯」に向かった。

 猿ヶ京温泉「まんてん星の湯」は群馬県利根郡みなかみ町にある日帰り入浴施設だ。入湯料は3時間で670円。モダンな館内は広々としており、「里の湯」と「七夕の湯」があり、日替わりで男女入れ替わる。この日は「里の湯」だった。窓が大きい浴室は開放感がある。お湯は源泉かけ流しの無色透明。栃尾又温泉とはうって変わって熱めのお湯だ。露天風呂からは赤谷湖や周囲の山々が望める。すっかり晴れ渡った空を見ながら湯に浸かる。栃尾又温泉と猿ヶ京温泉、どちらがいいか選ぶのは酷だが、2つとも魅力的な温泉だ。
 雨で疲れた身体は温泉に入ってすっかり回復。猿ヶ京温泉を後にして、国道17号線を群馬県方面に走り、月夜野インターから関越自動車道で帰宅した。
 ようやく入湯できた栃尾又温泉。全国には宿泊できないと入れない温泉が数多くある。今後はそのような温泉を丁寧に巡り、少しでも入湯数を稼ぎたい。さあ、再び湯巡り開始だ!


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爆弾おにぎり
JR越後湯沢駅構内にある「ぽんしゅ館越後湯沢店」内の「雪ん洞」名物の「爆弾おにぎり」。さすがにお米1合分あると重量感ハンパない。
大爆おにぎり
爆弾おにぎりに加えて、お米4合分を駆使したその名も「大爆おにぎり」が加わっていた。写真だけではスケール感が伝わらないのが残念。
栃尾又温泉の看板
2008年に訪れた際に撮影した栃尾又温泉の看板。この時からすでに栃尾又温泉センターの日帰り入浴は廃止されていた。
栃尾又温泉
栃尾又温泉は私が泊まった神風館(写真左)、自在館(写真左)、さらに写真には写っていないが宝巌堂の3つの宿で形成されている。
湯治の宿 神風館
今回お世話になった「湯治の宿 神風館」。写真でもわかるように、到着した時は雨は本降りだった。
奥の湯
かつて日帰り施設だった栃尾又温泉センター内に2015年に完成したという「奥の湯」。ぬる湯のラジウム泉が特徴だ。
うえの湯
「奥の湯」と同じ館内にある「うえの湯」。奥の湯に比べて開放感があり、広々している。お湯は飲泉できるのでコップが置いてある。
したの湯
そして自在館の下にある栃尾又温泉の1号源泉である「したの湯」。他の2湯に比べてこじんまりしているが風情がある。
夕食
夕食は地の物を中心としたもの。普段こんなヘルシーな和食を食べないので、これだけで湯治した気分になれる。
朝食
朝食も温泉宿らしい和食。お櫃いっぱいにご飯が盛ってあったので、それだけでお腹いっぱいになってしまった。
木造の湯治場
神風館の横に立てられた木造の湯治場。今では温泉地でもお目にかかることが少なくなった。湯治と温泉の文化が感じられる。
栃尾又温泉センター
湯治場の奥にあるかつて日帰り入浴施設だった栃尾又温泉センター。この中に「うえの湯」と「奥の湯」が設けられている。
越後十日町小嶋屋
JR越後湯沢駅構内にある「越後十日町小嶋屋」で食べた魚沼地方発祥のへぎそば。つなぎに布海苔という海藻を使っているのが特徴だ。
関越トンネルと抜けて群馬県側 まんてん星の湯
関越トンネルを抜けて群馬県側に入ったら雨はすっかり止んでいた。十数分前まで土砂降りの雨だったのが嘘のようだ。 猿ヶ京温泉にある日帰り入浴施設「まんてん星の湯」。国道17号線から少し入ったところにある。露天風呂からの眺めはいい。

ブースカ的温泉評価
栃尾又温泉 ★★★★★
日本有数のラジウム泉は泊まってでも入湯の価値あり。
猿ヶ京温泉「まんてん星の湯」 ★★★★
眺めのいい露天風呂と熱めのお湯がベストマッチ。

毛野ブースカ毛野ブースカ
トイガンとミリタリーの最新情報誌『月刊アームズマガジン』の編集ライター。バイクに乗り始めてから温泉が好きになり、現在までの温泉踏破数は746湯。湯巡りツーリングの相棒はホンダ・400X。ちなみにマイカーはスズキのエスクードだ。


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