ライトウェイトクラスの出走までまだ少し時間があるのでその前に腹ごしらえだ。T夫妻もオレと同じくハンバーガーを買ってきたようだ。んっ!?
彼らは何やらケチャップかマスタードのようなものをかけているが・・・
聞くとこの手のソース類はハンバーガーなどを買った際にレジで言ってもらうらしい。なんてこった。オレ、もらってないし。そんな事、知らないし。自分のやつを開けてみると確かに何もかかっていない。またしても痛恨のミス。それでも空腹には勝てずそのまま食べてみるが・・・やはり、先日、教会で食ったトマトだけサンドイッチに勝るとも劣らない味気無さだ。とにかくひたすらコーラで流し込む。これはもはや食事というより作業である。
ひとまずカロリー補給という作業を終えたオレは観戦場所の物色にかかった。
サルビーストレート。
TTレース屈指の最高速アタックポイント。
距離にして5キロほどの直線なのだが実際は緩い超高速コーナーが点在しているため純粋なストレートはそれほど長くないとも言われる。しかも完全にフラットとは言えない狭くて荒れた路面。しかしトップクラスの連中はそんな事、お構いなしにここを300オーバーで駆け抜ける。中には「ここが休憩区間」などと言ってのける奴もいるとか。
やはりマン島TTにおいてトップであるという事は一番イカレてるという事なのである。
観戦場所としてはストレートの中間付近から終わりのあたりまで牧草地を歩いて移動できる。そして思っていたほど観客は多くない。しかもバラフブリッジのように柵を設けるでもなく観戦の規制がかなり緩い。大丈夫なのか?
ヘリの音が聞こえてきた。いつの間にかレースは始まっていたようだ。
まだ観戦ポイントは決めていなかったが手近なところで奴らの全開走行を見る事に。
ライトウェイトクラスは650cc2気筒のマシンで実質、カワサキ車両のワンメイクレースのようなものらしい。650のツインという事でトップスピードは280前後くらい。それでもほぼ300と言っていい速度ではありますな。コースをのぞき込むと先頭の車両が見えてきた。とりあえずその姿を捉えようとカメラを構えた。ファインダーをのぞき込み連写。するとその車両が目の前を通り過ぎた時、何かがオレの体にぶつかってきたような・・・。
風圧と呼ぶにはあまりにも強烈な一撃。これってもしかして衝撃波!?
まぁ手を伸ばせば届きそうな距離で目の前をバイクが300近いスピードで通り過ぎたのだ。そうなるわな。