オオカミ男のひとりごと


HERO‘S 大神 龍
年齢不詳

職業フリーライター

見た目と異なり性格は温厚で性質はその名の通りオオカミ気質。群れるのは嫌いだが集うのが大好きなバイク乗り。
時折、かかってこい! と人を挑発するも本当にかかってこられたら非常に困るといった矛盾した一面を持つ。おまけに自分の評価は自分がするものではないなどとえらそうな事を言いながら他人からの評価にまったく興味を示さないひねくれ者。

愛車はエイプ100、エイプ250?、エイプ750?。
第70回 海外編第17章 Chinese noodles

 
シニアクラスの予選は何ともスッキリしない形で終わってしまった。このあとに予定されていたゼロクラスの予選もこの事故の影響で翌日に持ち越しとなった。ここまで天候や事故に左右されながらプログラムはかなり変更になっている。オレの持っている予定表などもはやなんの役にも立たない。そしてオレにとってその事自体はもうどうでもよくなっていた。毎日、朝起きてから観光するにしてもレースを観るにしてもその日、その日が常にドキドキ、ワクワクしている。おまけに予期せぬ出来事の連続。この目まぐるしい時間の流れの中に退屈という言葉は存在しない。そしてそれは実にエネルギーを使うのですよ。
つまり腹が減る。

帰り道で立ち寄ったスーパーで棚に陳列された食品を前にオレは悩んでいた。今さら悩んだところでどうなるものでもない。おいしくなくても我慢して腹を満たせばそれでいいのだ。わかっている。しかし、オレはとっても往生際が悪い。この期に及んでまだ何か手はあるはずと思案してしまう。そして思いついた。
単品でダメなら抱き合わせてみてはどうかと。とりあえずオレはこれまでで一番マトモだったような気がするカレーのようなものを手に取った。そしてもう一品。カップ麺である。
日本でも弁当や丼物に組み合わせることの多い鉄板メニュー。試してみる価値はある。
日本のカップヌードルがあれば一番良かったのだがあの世界基準はこのマン島にはなぜか置いていない。地元のものらしきやつを二品ほど購入した。

カップ麺

 
かなり怪しいものではあるが。家に戻りさっそくに夕食である。カレー(のようなもの)をレンジに入れカップ麺にはお湯を注ぎ、待つ事、3分。封を開けると双方ともスパイシーな香りが立ち上り、食欲だけはそそられる。食欲だけは。まずは未知なるカップ麺を一口。これは味のベースがコンソメなのか。マズくはないがやはり味が薄いためコショウがやたらと舌にピリピリくる。麺も食感は日本のものと変わらないが味はほとんどないといっていい。だがこれは想定内。問題はカレーと一緒に食べた時の相性だ。お互いの味気無さがそれぞれの隠れたうま味を引き出すのではないかと・・・思って・い・た・の・だ・が。

カップ麺とカレーを交互に口に運んでみると。はい、深読みしすぎましたと。
おいしくないものとおいしくないものを組み合わせるとただただ、おいしくないものの量が増えて食する時間が長引くだけです。答えというのはいつだって実にシンプルなものなのだ。このカップ麺をホームステイのメンバー何人かで一口ずつ試食したがみんな、口を揃えて日本のカップ麺が食べたい!と。そりゃそうだ。
するとその中の一人が「今日、昼飯でラーメンを食べてきた。」と話し出した。これは実に興味深い話である。彼が言うにはダグラス市内にニュー香港という中華料理屋があってそこのメニューにあったそうだ。麺は日本のひやむぎのような感じでイマイチ。スープはまぁまぁ。具材としてのっていたチャーシューが美味しかったらしい。値段の方は10ポンド(約1500円)とラーメン一杯の値段としてはかなり高額。日本のラーメン屋ならば全部乗せのトッピングが可能な金額である。それでもこれは食べてみたい。島の環境に慣れてくると耳にする情報であれもこれもと色んな欲が湧いてくる。しかし、この時点でマン島生活も残り2日を残すのみとなっていた。


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