湯めぐりみしゅら~ん


第19回 岐阜・富山湯巡りツーリング(1日目)

 今年もゴールデンウィークの季節がやってきた。ゴールデンウィークと言えば毎年恒例の「春の集会」が開催される。昨年は東日本大震災直後だったために中止となったが、今年は例年どおり開催するとの情報が伝わってきた。場所は富山方面だという。富山と言えば、2009年の夏に能登半島一周ツーリングを行なって以来、訪れていない。ただ、その時は石川県が中心だったので、富山県はほとんど走らなかった。富山県の温泉を少しでも制覇するためにも、今回の集会は是非参加したいと思っていた。

 集会の日程が5月2日に決まったところでプランを立て始めた。渋滞を避けつつも、せっかくなので3泊4日はしたいと思い、4月30日に出発、5月3日に帰京というプランにした。問題はどのルートを走るかだ。ツーリングマップルと何時間もにらめっこした結果、ゴールデンウィーク前後に開通する黒部峡谷鉄道に乗るべく、岐阜を通って富山に入り、集会が開催される2日の朝に黒部峡谷鉄道に乗り、最終日は夕方にかけて富山を離脱するというプランにした。入湯数は20湯(1日5湯)を目標とした

 黒部峡谷鉄道はテレビではよく見かけるが、今まで乗ったことはなかった。HPなどを見ると、例年ならゴールデンウィーク前から全線開通するのだが、今年は記録的な豪雪のため除雪作業がままならないとのことで、途中(猫又駅)までで折り返し運転とのこと。本来ならトロッコ列車の席は予約か当日早い者勝ちなのだが、折り返し運転のせいか予約はしていないとのこと。トロッコ列車に乗って、途中にある黒薙温泉に入りたいのだ。こうなると現地に行って勝負をかけるしかない。

 ゴールデンウィーク明けから全開で仕事をするという算段のもと、何とか出発日までに仕事のケリをつけて準備開始。何だかんだで夜中までかかり、起床は午前4時、午前5時には自宅を出発した。いつものとおりブースカの朝は早い。

 環八から東名高速に乗り、朝焼けの中、先日開通したばかりの新東名を走行。タイヤから聞こえるロードノイズがグッと減って走りやすい。朝飯を食べようとNEOPASA駿河湾沼津にピットイン。時間は午前6時、大抵のSAやPAならそばくらいは食えるはずなのに、フードコートはほとんど開店していなかった。開店してても値段が高い。いきなり出鼻をくじかれたようだった。傷心のまま浜松の手前にある遠州森町PAにピットイン。遠州製麺所が開店していて、安倍川うどんを食す。ようやくメシにありつけた。

 腹も心も満たされたところで、東名高速をひたすら走って一宮JCTから東海北陸道に入り、高鷲ICで下車した。時間は午前10時30分。ほぼ予定どおりだった。ここからは一般道を富山方面に向けて走っていく。まずは朝風呂ということで、高鷲ICからほど近い「湯の平温泉」に向かった。

 湯の平温泉は奥長良と呼ばれる岐阜県郡上市高鷲にある日帰り入浴施設だ。周囲は遅咲きの桜が咲き、里山のようなのんびりした雰囲気が漂う。入湯料は500円。浴室は和風な作りで、岩風呂風の露天風呂は広い。源泉の温度はぬるめだが、お湯はぬるすべ感があり、肌触りが気持ちいい。朝風呂にはちょうどいい。

 しばし湯に浸かったところで次の目的地へ。国道156号線を富山方面に40分ほど進み、白川郷の手前にある大白川温泉に入ろうと思ったが、そこへ繋がる県道451号線が冬期通行止め。仕方なく引き返して、道沿いに看板が出ていた「大白川温泉しらみずの湯」に入ることにした。

 大白川温泉しらみずの湯は、国道156号線沿いにある道の駅・飛騨白山に隣接している日帰り入浴施設だ。山深い岐阜の自然に囲まれたのどかな場所にある。入湯料は600円。出来たばかりとおぼしきお洒落な館内と、モダンな作りの浴室が印象的。無色透明のお湯は源泉の温度が約92℃と熱め。国道沿いとは思えないほど静かな露天風呂からは新緑の山々が一望できる。

 温泉から上がってきたところで昼食にしようと道の駅を覗いてみる。道の駅には地元産のお弁当などが売っていることが多いのでチェックしてみたら、飛騨牛を使った焼肉弁当が1個だけ残っていた。すかさずゲットして外で食べる。うまし。

 またまた腹も心も満たしたところで、近くにある白川郷に立ち寄った。白川郷は世界遺産として登録されている合掌作りの集落があるところ。国道からも合掌作りの集落が見える。とりあえず荻町合掌集落を見学していると、「白川郷の湯」という看板が目に入った。駐車場整理をしていた地元の方に場所を聞いたところ、国道156号線の交差点の近くにあることが判明。早速行ってみた。集落に続く道沿いにあるものの、奥ばったところで周囲に溶け込んでいるせいか、すぐには分からなかった。

 白川郷の湯は岐阜県大野郡白川村にある日帰り入浴施設だ。先ほども述べたように木造風の建物は周囲の景観にマッチしている。入湯料は700円。浴室は木の香りがしており、合掌作りのジオラマが置いてある。しっとりとしたやや緑かかった濁り系のお湯に浸かる。露天風呂は小さいが、眼前には庄川が流れており、奥には合掌作りの集落が見える。道路には集落を見学する人が大勢いるにもかかわらず、館内は入浴者はすくなく、ちょっと穴場的な雰囲気だった。

 お湯から出ると、時間は14時になろうとしていた。ここまでで3湯入っており、1日目としては上々の出来栄え。あと2湯入れば1日のノルマが達成される。白川郷を出て、国道360号線を通って古川方面に向かおうとしたのだが、あえなく冬期通行止め。引き返して国道156号線をひたすら富山方面へ走ることにした。

 約1時間ほど走り、気がつくと富山県に入っていた。五箇山が近づいてきたところで、国道沿いに「くろば温泉」という看板が見えた。身体は十分クールダウンしており、休憩ついでに入ることにした。くろば温泉は富山県南砺市にある日帰り入浴施設だ。五箇山と白川郷と並ぶ合掌作りの世界遺産・菅沼合掌作り集落が近くにある。入湯料は600円。浴室からちょっと飛び出た露天風呂の眼前には、ダムによってできた湖と山々が広がっていて眺めはいい。お湯はぬるめで、わずかながらお湯は白濁している。

 交通量の多い国道の喧騒を忘れるかのようなくろば温泉を後して、そろそろ今宵のキャンプ地を見つけなくてはならない。ツーリングマップルとにらめっこして、国道156号線から少し入ったところにある「閑乗寺高原夢木香村」にあるキャンプ場に決めた。右に庄川峡を見ながら国道156号線を走り、途中にあった大牧温泉観光旅館(対岸になる施設まで船で行く)に入ろうとしたが、予約なしでは乗船できないのでパス。

 目的のキャンプ場は道の駅・井波からほど近いところにあり、迷うことなく見つかった。料金500円を払ってテントサイトへ。ゴールデンウィークにもかかわらず、キャンプする人はわたしだけのようだ。先日買い換えたテント(小川キャンパル製ミルフォード12)を張り、落ち着いたところで買い物がてら本日最後の温泉に入りに行くことにした。

 実は今回、温泉ツーリング用に新兵器を導入した。それはiPhone4Sだ。今まで買うかどうか悩んでいたのだが、日帰り温泉が検索できるアプリがどうしても欲しくて、出発1週間前に機種変更したのだ。まさに温泉ツーリングのために機種変更したといっても過言ではないiPhone4Sに、いきなり出番が回ってきた。

 今回2種類のアプリを入れておいたのだが、とりあえず検索してみると…おおっ! 現在地から近くにある温泉がポイントされた。買って間もないので、ルート検索してみたがうまく使えず、なかなか目的地まで着かない。気を取り直して国道156号線まで出て、もうひとつのアプリで検索すると、国道156号線を岐阜方面に少し戻ったところにあるおまき温泉「スパガーデン和園」が出てきた。iPhoneも使い方をマスターして活用すれば、かなり使えるのではないかと思った。

 おまき温泉スパガーデン和園は富山県礪波市庄川町にある日帰り入浴施設だ。名称からは健康ランドのような作りかと思われるが、館内は和風作りの落ち着いた作りだ。宿泊用ログハウスも用意されているという。入湯料は600円。眼前に流れる庄川峡が一望できる露天風呂は広く、夕暮れ時だったために夕焼けに映える山々が印象的だった。本日5湯目となるお湯は熱めで、朝から約580キロも走った(そして湯に入りっぱなしの)身体の疲れを癒した。

 おまき温泉をあとにして、国道156号線と国道417号線が交差するところにあるスーパーマーケットで買い物をしてキャンプ場に戻った。空は晴れていて絶好のキャンプ日和だった。さすがに午前4時起きだったので、食べたら眠気が襲ってきた。21時前には寝てしまったが、夜は寝袋に入らないと寒いくらいまで気温が下がった。

 翌朝、天気は快晴。まさに清々しいという言葉にピッタリの朝だ。2日目富山県の夏の恒例行事である「おわら風の盆」が開催される八尾地域の温泉を絨毯爆撃のごとく集中的に入り、3日目の朝イチで黒部峡谷鉄道に乗るべく、夕方には集会の開催地である宇奈月温泉近くの墓ノ木自然公園内のキャンプ場に前日入りすることにした。

 さあ、2日目も入りまくるぞ!

 

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新東名の遠州森町PA内にある遠州製麺所で見つけた安倍川うどん。特製の揚げ餅がトッピングされている。朝食にピッタリ。価格は700円なり
新東名の遠州森町PA内にある遠州製麺所で見つけた安倍川うどん。特製の揚げ餅がトッピングされている。朝食にピッタリ。価格は700円なり。


第1湯目の湯の平温泉。建物の周囲は山に囲まれており、周囲には遅咲きの桜が咲き誇っていた。ぬるすべ感のあるお湯は長湯したくなる
第1湯目の湯の平温泉。建物の周囲は山に囲まれており、周囲には遅咲きの桜が咲き誇っていた。ぬるすべ感のあるお湯は長湯したくなる。


道の駅・飛騨白山に隣接している大白川温泉「しらみずの湯」。交通量の多い国道沿いにあるとは思えないほど館内は静かで落ち着いている
道の駅・飛騨白山に隣接している大白川温泉「しらみずの湯」。交通量の多い国道沿いにあるとは思えないほど館内は静かで落ち着いている。


道の駅・飛騨白山で発見した飛騨牛の焼肉が載った「次平の弁当」(750円)。次平って何だろうと思ったら、道の駅の近くにある定食屋さんだった
道の駅・飛騨白山で発見した飛騨牛の焼肉が載った「次平の弁当」(750円)。次平って何だろうと思ったら、道の駅の近くにある定食屋さんだった。


世界遺産・白川郷にある荻町合掌集落。立派なかやぶき屋根の住居は日本人の郷愁を誘う。背景にある新緑の山々にとてもマッチしている
世界遺産・白川郷にある荻町合掌集落。立派なかやぶき屋根の住居は日本人の郷愁を誘う。背景にある新緑の山々にとてもマッチしている。

荻町合掌集落の入口にある「白川郷の湯」。周囲の景観に沿うように木造風の建物となっている。ちょっと見ただけでは日帰り温泉とは分かりにくい
荻町合掌集落の入口にある「白川郷の湯」。周囲の景観に沿うように木造風の建物となっている。ちょっと見ただけでは日帰り温泉とは分かりにくい。

「白川郷の湯」のお湯はやや緑がかった濁り系。露天風呂は小さめだが、目の前を流れる庄川と左方向には合掌集落が見える
「白川郷の湯」のお湯はやや緑がかった濁り系。露天風呂は小さめだが、目の前を流れる庄川と左方向には合掌集落が見える。

国道156号線沿いにあるくろば温泉。近くに世界遺産・菅沼合掌作り集落と五箇山がある。開放感のある露天風呂からの眺めは気持ちいい<br />
国道156号線沿いにあるくろば温泉。近くに世界遺産・菅沼合掌作り集落と五箇山がある。開放感のある露天風呂からの眺めは気持ちいい。

第1日目の最後は、これも国道156号線沿いにあるおまき温泉「スパガーデン和園」。露天風呂から見える庄川峡の眺めを見てリラックス
第1日目の最後は、これも国道156号線沿いにあるおまき温泉「スパガーデン和園」。露天風呂から見える庄川峡の眺めを見てリラックス。

道の駅・井波の近くにある「閑乗寺高原夢木香村」内のキャンプ場。今回から今まで使っていたテントを同じ小川キャンパル製のミルフォード12を投入
道の駅・井波の近くにある「閑乗寺高原夢木香村」内のキャンプ場。今回から今まで使っていたテントを同じ小川キャンパル製のミルフォード12を投入。


ブースカ的評価
(5段階評価)
●湯の平温泉
★★★★★
地元の人が集う里山のような山々に囲まれたのどかな温泉

●大白川温泉「しらみずの湯」
★★★★
国道156号線沿いにある熱めのお湯が特徴

●白川郷の湯
★★★★
世界遺産・白川郷を楽しんだあとにゆっくり入りたい温泉

●くろば温泉
★★★★★
五箇山方面へのツーリング途中で入るのに最適な温泉

●おまき温泉「スパガーデン和園」
★★★★
庄川峡を眺めながらくつろげる露天風呂が特徴

毛野ブースカ毛野ブースカ
トイガンとミリタリーの最新情報誌『月刊アームズマガジン』の編集ライター。バイクに乗り始めてから温泉が好きになり、現在までの温泉踏破数は516湯。湯巡りツーリングの相棒はスズキ・ジェベル250XC。ちなみにマイカーもスズキのエスクードというスズキスト。


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