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さすらいの野宿ライダーになろうぜ!!の巻

「海底2万マイル」「十五少年漂流記」「ロビンソンクルーソー」「東海道中膝栗毛」「西遊記」「ガリバー旅行記」……etc。子供の頃は学校が終わると図書室に駆け込んでよく本を読んでいました。

 でも今思い出してみると、なんかみんな旅や冒険の本ばかりだったんですね。当時はそんなことまったく気にしないで読んでいたのですが。

 うちの田舎は九州福岡の山の中で、人口五千人くらいの過疎の町なんで、こんなとこ逃げ出したくてたまらなかったんです。とにかくどこか別のところに行きたかったというのは潜在的にあったのでしょうね。

 中学の頃は夜中にトラックドライバー向けのラジオをよく聞いていたし「トラックドライバーになれば日本中回れるかも……」なんて本気で考えていたこともありました。

 18で高校を卒業してすぐに都会の博多に出まして、ぼろアパートで待望のひとり暮らしをはじめたもののすぐに行き詰まり、仕方なく兄貴と3年ほど一緒に暮らし、その後漫画家を夢見て東京へ出てきたのです。
 そんな時、高円寺の古本屋で「さすらいの野宿ライダーになる本(山海堂 定価1000円)」なるものを見つけ200円で購入しました。

 これは「寺崎勉」さんという方が1983年に出版されたもので、野宿をしながらツーリングをするという楽しみ方を教えてくれた、ワタシにとって、その後の人生を変えることになったと言っても過言ではない一冊なのであります。

 16で原付免許を、21で中型免許を取り、ずっとバイクには乗っていたのですが、それで旅をするという発想自体はなかったんですよね。

 でもこの本をめくると、たくさんの写真やイラストでこと細やかに野宿ツーリングの楽しさが描かれており今すぐにでも出かけたくなるようなカンジにさせてくれたのです。

 持っていくものはどうだ、パッキングの仕方はこうだ、泊まる場所はこんなところがいい、ウエアの選び方、トラブル回避方法……等々、とにかくわかりやすいんですよ。

 特に丸ペンで描いたんであろうイラストがたくさん載っていて、それがホントによく描かれており、見ているだけで楽しくなっちゃうんです。

 寺崎勉さんのこと実はワタシ、今でもほとんど存じ上げていないのですが、林道を乗り継ぎ日本一周したり、厳冬期の北海道を走ったり、オーストラリアを一周&縦横断したりした人みたいなんですよ。その後一度だけバイク雑誌で記事を拝見したことがあるのですが、もしかして業界では有名なライターの方なんでしょうか?(※寺崎勉さんは旅やオフなどで活躍している有名なライターさんです。野宿に関しては公式サイト寺崎組新聞で 編集部注)

 ぼさぼさのひげ面でいかにもムサくるしいですが、誰にも頼らず一人で旅する姿は、孤高を感じさせ、当時はなんか憧れを感じていました。

「あなたの趣味は何!?」と聞かれれば「酒と現実逃避!!」と答えるワタシ。基本的に人間嫌いだし、一人でオートバイに乗って旅をする……というのがなんか性に合い、いつの間にか野宿ツーリングにハマってしまいました。

 これまで色々と恐いメにも遭ってきましたし、苦しかったことも、辛かったこともありました。でもその反面、旅先でまったく見知らぬ人に優しくしていただいたりして、カンゲキすることも多々あるんです。

 やっぱ旅っていいもんですね。ひとりぼっちの野宿ツーリングは死ぬまで止められないと思っています。

ワタシの野宿ツーリングのバイブル

 最近では若い人が旅をしなくなったというニュースを先日テレビでやっていました。海外旅行どころか国内旅行もしなくなり、近場や家の中だけで遊ぶ人が増えているのだそうです。

 ワタシ自身は昔から海外の文化や外国人には何の興味もないので、一生パスポート取るつもりはないのですが、若い人にはもっともっと出て行ってもらいたいなというのはありますよね。バンバン海外を回っていろんな経験をしてもらいたい。そしてその体験を生かしてニッポンの将来の為に役立ててもらいたいのです。

 えっ!! お前こそまだ若いんだから、お前がやれよ!! ですって!? ハハハ……遠慮しておきます。なにせ趣味が酒と現実逃避なもんで。

 でもね、とにかくニッポンは広いです。ワタシ自身まだ日本一周はやってませんし、まだまだ見てないところ行ってないところ、たくさんあるんです。若い方ももっともっと旅をしましょうよ、いろんな場所に行ってみましょうよ!!

 不況だし、お金も時間もないけど、ワタシ、とにかくヒマをみつけてはこれからもツーリングを続けていきたいと思っています。そして旅先でおもしろい体験とかあったら、このコーナーでお伝えしますね。

 ワタシに野宿ツーリングの楽しさすばらしさを教えてくださった寺崎勉さんには心から感謝したいと思います。本当にありがとうございました。

 ジメジメした梅雨ももう少ししたら明けます。そしたらちょいとオートバイに跨ってどこかへ出かけるとしますか!!

ストレスパパ


ルリカミド
ルリカミドリ

九州、福岡出身のバイク大好き娘。

ヒマさえあれば相棒のシビちゃん(HONDA CB400SF)とともに旅をしている。

別のペンネームを使い、法律や料理にゴルフ、はては高校受験まで原作付きのハウツー漫画を中心に描いてきたマンガ家であるが、最近では開店休業中との噂も(泣く)……


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