ふつーのおとーさんのバイクライフ シーズン2

「単気筒バイク礼賛」

 今でこそ2台あるバイクは両方とも単気筒であるけれど、そもそもは僕だって「高性能こそバイクの命」とゆー風に思っていた。10年位前までは人並みにリッターの水冷4気筒だったし。
 ところがその後、「シリンダー4個もいらねー。」「ラジエターいらねー。」「重いバイクはイヤ。」「カウルはがすのめんどくせー。」「自分で整備出来る簡単なやつ。」とまあどんどん横着になってきて、結局今の600のオンロードと250のオフロードに落ち着いた訳だ。このまま更にエスカレートすると最後は「エンジンめんどくさいから自転車にしよう」と言い出すかもしれない(事実バイクやめて自転車に転向ってヒト、中高年に結構多いらしい。僕だって、バイク止めようとは思わないけれど本格的な自転車乗りたいな、と思うもの)。

 
 さて、単気筒エンジンのみを所有する身の上となってみて、シミジミと「やっぱしバイクは加速と最高速があってこそだよなあ」と思わざるを得ない。
 加速と最高速を失うのは百も承知で、「単気筒イノチ」と心を定めたにも関わらず、やはり気持ちはブレる。
 1人で走っている時は「まあこんなモンかな」と納得も出来るのだけれど、何人かで集まって走るとなるとそうもいかなくなる。高速ではあっと言う間に置いて行かれ、くねくね道でも中高速では早い奴等は見えなくなり、まあはっきり言って、「勝負にならない」のである。
 昔、クラブマン誌でよく「単気筒バイクでリッターSS(スーパースポーツね)に勝つ」みたいな特集をやっていたが(この頃の単気筒特集号が出ると、僕は絶対に買っていたのだ)、今やぜ~ったいに勝てっこねえよ全く、とゆー状況である。だって国産じゃ’90年代前半のSRX以降、500~600クラスじゃ新車なんて1台も出てないもんね。
 今僕は、SRXのエンジン強化をすべきか、それともKTMの新型デューク690を購入すべきか真剣に考えている。

  
 何でそこまで単コロバイクに情熱を捧げるのか? と言うと、加速が悪くとも、最高速が伸びなくとも、めっちゃんこ楽しいからである。
 今回のこの駄文の目的は、1人でも多くの単コロファンを増やすことである。

  
 単コロバイクの楽しさとは、言うまでもなくその軽さにある。
「軽いってゆーなら600SSなんて充分軽いししかもめちゃめちゃパワーあるしよっぽどおもしれーぞ」と言い返されそうだが、「そう言われるとそうだよねえ」と答えてしまいそうな自分もいる(のが情けない)。
「いやいや単コロの軽さはエンジンの非力さとセットで一層楽しいのだ!」と反論? しても、う~ん誰も納得してもらえないよなあ。
 負け惜しみを言う訳ではないが、単コロは限られた性能を一生懸命引き出しながら走った時の達成感がハンパなく気持ち良いのです。
 例えば僕のSRX君の場合、くねくね道でそれなりに走るためには4000回転以上は廻してないと勝負にならないのだが、レッドが7000回転なので、4000~7000のせまーいバンドをキープするよう工夫してかなきゃならない。ちなみに現在のマイSRX君は5000回転以上廻らない病が治っておらず、3000~5000回転で戦っておりますが、それでもこの回転数をキープするように工夫しながら走っているとめっちゃ面白いのです。

  
 この感覚過去にどこかで感じていたな~と思い返すと、そうそう僕らがバイク乗り始めた頃は、限定解除が余りに難しくて400CC以下のバイク(特に学生はお金がないのでみんな250CCだった)で如何に早く走れるか工夫してた感覚と一緒なんですねー。
 当時、もうちょっと馬力があったら、とかもうちょっと最高速が出たら、とか不満を持ちながらも知恵と工夫でバイクを上手に操るのが楽しかったんですよねー。
 結局、今のバイクだと高性能過ぎて手に負えないっていう不満(悩み、かな)が、僕みたいな一般ライダーには蔓延しちゃったんでしょうね。一方で、「より高性能へ進化しなければバイクじゃない!」という思いもある訳で、バイクメーカーにとってもナカナカ難しい問題なんでしょうね。
 ここ10年(ひょっとしたら20年?)、ツーリングしていても新型のバイクより絶版車の方が多い(しかも安いから古いバイクって訳じゃなく新車より遥かにお金が掛かっているバイクだらけだ!)状況が続いている。
 なんだかもう高性能に高いお金を掛けるヒトがホントに少なくなってしまったみたいだ。

 そんな中でホンダのNC700XやNC700Sが成功したってのはとっても素晴らしい事だと思う。
「4気筒いらね」「高回転もいらね」「乗って気持ち良ければOK」「バイクにひゃくまんえんなんて絶対出せねえ」「荷物入れる場所欲しい」「燃費は大切」
 うん、絶対にいいと思います。僕の単コロ好きと考え方全く一緒ですし。
 先程、この文章の目的は1人でも多くの単コロファンを増やす事、と書きましたが、2気筒エンジンも一緒ですねー。長く乗っていく相棒にぴったりではないでしょうか?

 
 まあ僕の場合は、とにかく今はマイSRX君を完調に治して夏のくねくね道をひたすら走り回りたい気持ちで一杯だ。

 
 入道雲と青い空。いいね。


タカヤスチハル
タカヤスチハル
「もう30年以上バイクに乗ってます」と威張れるくらいず~っと乗り続けているのにちっともうまくならないへたれライダー。ふつーのお父さんは逆境にも負けず、ささやかなバイク生活を営んでいます、が…… 

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