バイクの本質に立ち戻るというCB1000で始まったプロジェクトBIG‐1の姿勢は、このCB1300でもきちっと引き継がれていたのだ。そしてそれこそが巨大なCBでありながら使い勝手の良さの元となり、またたく間にこのクラスのベストセラーへと導いた要因になったといえる。
CB1000でホンダ乗りたちに、バイクとともに生活することの楽しさの記憶を呼び戻させることに成功したホンダが、このCB1300では、多くのバイク乗り 、そしてバイク乗り予備軍たちの目をもバイクに向かせたのだった。
ただ、BIG‐1 の基本姿勢は保ったものの、CB1000ほどオーソドックス、シンプルさを貫き通せていたわけではない。空冷フィン復活に象徴されるように、メカニズム的な美しさも追求しようという動きが随所に見られるモデルでもあった。
その最大のものに、コンベンショナルな2本サスとスイングアームの組み合わせというきわめてオーソドックスな技術を、ホンダのメカニズム魂で 進化させようとした ダブルプロリンク機構がある。これはショックアブソーバーを直接スイングアームに固定せず、プッシュロッドと三角プレートをはさんだリンク機構を介して結びつけ、レシオの設定の自由度を高める一種のプログレッシブサス特性を実現するメカニズムだった。