BIG-1 20周年記念特別企画Vol.3 BIG-1誕生20周年記念フォーラムBIG-1 20周年記念 CBを大いに語ろう

 1991年、初の来場者200万人を突破した「第29回 東京モーターショー」、広い会場の中でも一際人だかりが出来ていたのがホンダブースだ。一段高い位置に設けられたターンテーブル上に置かれたその姿はまさに衝撃的だった。ファンが待ち望んでいた威風堂々とした迫力あるフォルム。CB1000SUPER FOURが初めて日の目を見たその一瞬でノックアウトされたホンダ党多数。そのDNAは最新のCB1300SF/SB/ST(SC54)まで連綿と受け継がれ、今もBIG-1好きオーナーを増やし続けている。

 会場にはBIG-1オーナーズクラブのメンバーをはじめとして約150名もの観客とCB1000SF、そして現行CB1300SFのデザインを担当した本田技術研究所・二輪R&Dセンターの岸 敏秋さん、CB1300SFシリーズの開発責任者代行の工藤哲也さん、そして司会を宮城 光さんという面々。

 始まりは本田技術研究所・朝霞研究所内の好き者が集まり極秘裏に進めていたというBIG-1プロジェクト。実は400ccクラス初の水冷4気筒ネイキッドスポーツとして1989年にデビューを飾ったCB-1が販売的に躓いたことがBIG-1誕生のきっかけという話からスタート。同時期に登場したカワサキZEPHYRが支持される一方で、性能的には他を凌駕するCB-1が思ったほどの結果を残せなかったことからCB400SFの開発が本格化。

こちらで見られない場合は直接YouTubeサイトでご覧下さい。

岸:「あのデザインは元々1000用に描いたものなのです。しかし、当時の状況はいきなり1000ccクラスのネイキッドを研究所内の審査に通すことは難しく、それならばまず400ccクラスのネイキッドを開発するという名目でプロジェクトを立ちあげて、その裏で1000ccのモデルも並行して開発しようと。ようやく形になったところでCB400SFと一緒に東京モーターショーに半ば強引に展示させてもらい、現在に続くBIG-1というネイキッドスポーツが確立された次第です。もちろん、何とかしてモーターショーに並べることが出来れば絶対にそのプロポーションを見た観客、報道された各バイク専門誌を見たライダーから支持されることを見越しての作戦でしたが、まさにその通りになりました」

BIG1シリーズ誕生20周年特別企画Vol.3
BIG1シリーズ誕生20周年特別企画Vol.3
CB1000SF/13000SFのデザインを担当した本田技術研究所・二輪R&Dセンター:岸 敏秋さんと二輪R&Dセンターの工藤哲也さんによる開発当時の写真やレンダリングも交えてのトークショー。あまり知られていないような秘話も。聞けた人は本当にラッキー!

 こうした20年目にして初めて聞く逸話に会場は感心しきり。途中から元BIG-1オーナーズクラブ会長として現Mr.Bike BG編集部・安生もステージに上がり、クラブ誕生のいきさつなどを披露(クラブ発足の詳細などはミスター・バイクBG11月に出ていますので、そちらもぜひどうぞ)。

 巨大な“ピース“の文字とともに1993年ミスター・バイク12月号の誌面を飾った「BIG-1オーナーズクラブ」第1回ミーティング。小雨に煙る秋の箱根・大観山駐車場に集まったBIG-1、その数166台! 事前に参加申し込みを受け付けてのイベントにもかかわらず、申請70名のところに倍どころか約100台も多く集まり現地はパニックに。北海道から、そして神戸からも駆けつけてくれた参加者の熱きパワーはその後も衰えること無く、‘92年11月の初代BIG-1、CB1000SF(SC30)デビューから20年が経過した今年も全国から同じ思いを持つBIG-1乗りが浜松に集合した。


 BIG-1と言えば浜製。今でこそ二輪車の生産は熊本製作所に一元化されてしまったが、本田技研工業・浜松製作所で生産されたBIG-1の生まれ故郷はそれでもやはり浜松なのである。そう、これもいわゆるホームカミングというワケだ。

 その後‘98年に排気量を拡大してCB1300SF(SC40)にモデルチェンジ、’03年には現行SC54へと進化を遂げ、常にトップセールスを記録し続けている。結果としてSC30登場から20年が経過した今もオーナーズクラブには毎年新メンバーが加わり、新陳代謝が進むことで活性化につながっているという。中には第1回大観山ミーティングから一度も欠かすこと無く皆勤賞のメンバーもいるくらいだから平均年齢は若干高くなりつつあるようだが、20年もの間、一台のバイクを愛する人がいるという事実に圧倒される。BIG-1とはそういうバイクだ。

1992年当時、ミスター・バイク誌の編集部員だった安生が’91年開催の東京モーターショー会場でCB1000SFに一目惚れし、誌面を私物化……ではなく発売前からBIG-1の情報をかき集めて誌面を通じて広く仲間を集めたのがBIG-1オーナーズクラブの始まりだった。発起人であり初代会長の安生も大いに語った。
語るだけでは物足りなかったようで、宮城さんを巻き込んでのBIG-1に似合うファッションショーも!? しかし、下の写真(初代BIG-1の試乗会で撮影)と比べると否応なく20年という月日の長さを感じさせます。
岸 敏秋さんと工藤哲也さんは揃って「次のBIG-1には期待してください」と明言。会場にはCB1000SFの開発責任者を務めた原 国隆さんも訪れた。

■PROJECT BIG-1二十周年記念特別企画
[VOL.0 ハタチのBIG-1にスペシャルエディション誕生]
[VOL.1 今、もういちどBIG-1を語ろうか 初代LPL原 国隆氏インタビュー]
[VOL.2 BIG-1大全 その1 CB1000SUPER FOUR(1992~1996)]
[VOL.3 BIG-1誕生20周年記念フォーラム(動画付)
[VOL.4 BIG-1大全その2 CB1300SUPER FOUR(1998~)]
[VOL.5 「HRCにケンカ売ろうぜ1」 2003年8耐参戦]
[VOL.6 CB1300STで「秋をおいかけて」(前編)]
[VOL.7 BIG-1大全その3 CB1300SUPER FOUR(1998~)]
[VOL.8 CB1300STで「秋をおいかけて」(後編)]
[VOL.9 BIG-1大全その4 CB1300SUPER FOUR(2005~)]
[VOL.10 BIG-1大全その5 CB1300SUPER FOUR(2008~)]


●[CB400SUPER FOUR(1992〜2010)大全はWEBWEB Mr.bikeの旧サイトでご覧になれます。]

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