東北六県ROLLER

『岩手県はもう朝晩は寒くて、所によっては氷点下の朝もあります! お互い体調に留意しまして今年を乗り切りたいですね!
 おれ海洋土木作業員から、大抜擢されまして、先月末から起重機作業船に乗船しまして海上の第一線でバリバリ稼いでいます!!! 三年後には『機関士』の試験を受けるために毎日が勉強です! 浜の復興に生涯をかけて挑みます!
 岩手県、朝晩はもうストーブ無しでは生活出来ません! 震災の被害を受けた建物を取り壊すとあちらこちらで聞きますけど、建物は無くなっても想いはなくなりません! 口先だけあーだこーだ言うのは嫌いです。おいらは生涯をかけて浜の復興にフルスロットルだぜ!!!』

 NSRでプレイバック16歳です

 皆さんの正式に免許を取ってからの鉄馬ってどんな鉄馬でしたか? おいらは柔道部の夏の合宿が終わった16歳の夏休みに原付免許をゲッチューしました! 人生で一番嬉しかった誕生日は勿論『16歳』の誕生日でしたっ!

 選んだ鉄馬は大好きなスペンサーも跨がっていたHONDAの『NSR』でした! 50ccでしたけど(笑) 。

 おいらの従兄の敏克兄ちゃんが5万円で売ってくれたNSR50。学校にバレないように地元で受験をしないで、一泊二日で隠れて取得した原付免許! そして免許を取得したその日にNSRを受け取り、自宅まで走った120キロの道のりと数回のエンスト(笑)。全てが青春で原付免許をゲッチューしてからおいらの行動範囲は格段に広がりました!!!

 今37歳の中年になり、またNSR50を同級生から激安で購入しました。16歳には戻れないけど、NSRをレストアしながら凄く嬉しくて嬉しくて。当時はチャンバーを交換すれば速くなるもんだと思い込みセッティングもしなかった事や、オイルにもプラグにもこだわらずに走行していたなぁ〜なんて、37歳の現在のおいらが16歳のおいらを回想する時間がNSR50をレストアする時間と共にありました。

 おいらより20キロも軽量なNSR50。しかし走る・曲がる・止まるは正真正銘のHONDAの鉄馬です。一通り整備して市役所で登録し自賠責保険を3年かけて走行した時のおいらは16歳の夏休みに隠れて原付免許を取得した時のおいらに戻れたような嬉しさがありましたっ!

NSR50

 原付を制する者は鉄馬を制する!!! 誰もそんな事を言ってないけど原付はおいらの『原点』であり『青春』なんですよ。110キロで37歳の中年にいつしかなっちまったけど、この青春のキラメキってものが原付にはあるんですよね〜♪ 2ストロークフォエバー! 白煙よ永遠なれ! 激速のダックス88ccに乗る不良中年のとしつぐ先輩にこのNSR50で喰らいついてやるっ! 4ミニも楽しいのは充分知ってるけど、おいらの青春は2ストだぜ! ミニトレと共に生涯メンコメンコしてやるからなNSR♪ 焼き付きなんかすんなよな(笑)。

 

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『被災地は何も進んでいない』なんて報道をされているとおいらは『なんだよ〜そんな事ある訳ねーべよ』って毎回思ってしまいます。

 被災地は前に前に進んでいます。壊れたものは整理して、次の段階へと一歩一歩ですが進んでいます。ただペースが遅いのはありますけど『何も』進まないなんて有り得ませんから!!!

 おいらは先月末から起重機作業船の乗組員になりました。今までは海洋土木作業員でしたが親方に『お前は通勤にバイクで来るが何台バイクを持っているんだ?』って聞かれまして、「スーパーカブは不動状態で2万円で買って直して乗っています、ミニトレも3万円で買ってあちこち直して乗っています、NSR50は同級生から不動で激安で買いまして直して乗っています」と答えたら親方が『お前は作業船の機関士を習え。機械に明るいならチャレンジしてみろ』と言われて乗組員になりました!

 バイク乗りで少し整備が出来る事が仕事に繋がった嬉しさと来たらっ♪ まだ乗船して2週間しか経過していないけど、毎日が勉強勉強です。浜のオヤジ連中はみんな短気で怒鳴られます(笑)。ロープの結び方一つから勉強の毎日ですけど、死んだじいちゃんも、離婚したオヤジも船乗りだったのでおいらも浜で生きる事に嬉しさがあります。

 壊れ果てた堤防を撤去したり、新たに堤防を構築するための基礎工事として巨大な石を並べたり、波を消す役割をするテトラポットに代表される波消しブロックを据え付けしたり。こんなやりがいのある仕事を出来る事に感謝します! 学生時代は馬鹿で馬鹿でろくに高校も卒業出来なかったけど、おいらには世界を復興する技量はありません。日本を復興する力量もありません。だけど自分の街の自分の浜の復旧復興なら現在進行形でしています!!! 乗船してわずか2週間ですけど、船長からは『お前は返事と笑顔だけは良い』と言われました(笑)。 せめて返事だけはハッキリとして、怒られても怒鳴られても笑顔で頑張ろう『顔晴ろう!』と常日ごろ行動しています。

 今はまだ乗組員一年生で微力にも満たないパワーしかないけど、いつの日か『この浜はおれらが工事してよ〜!』なーんてタバコふかして自慢してやりてー(笑)! おれ顔晴ってます(笑)。

起重機作業船
起重機作業船 起重機作業船

 おいらの乗船している作業船は自分で航行出来ません。

 朝日と共にタグボートに曳航され沖に向かい、現場で休憩時間もなく働き波を頭からかぶる日もありました。

 でも夕日を見ながら港に帰る時間は本当に『ホッ』とします。いまだに家に帰っても体が揺れているような錯覚はあるんだけど、おれらが浜を復旧するんだ! って心意気だけは揺らぎません!!! バイク乗りで体を張って復旧復興作業している全国のまだ見ぬ仲間の皆さん! 魂こがして踏ん張ろうぜ! 健康安全第一で踏ん張ろうぜ! いつもにこにこ笑顔で顔晴ろうぜ!!! おれの人生毎日フルスロットルだぜっ!目指せ日常っ!!!

起重機作業船

デブ輪

福島県いわき市生まれ。
1975年式。岩手県久慈市在住。好きな食べ物『豚バラ肉』体重110キロ。
座右の銘『礼に始まり、礼に終わる』皆さん宜しくメカドックですっ!
デブ輪

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