|
11月、12月とかなり忙しく、バタバタしておりまして、ちっともバイクに乗ることができません。本当はどこかへ逃げだしたくてたまらないんですけどね。
そんなこんなで、このコラムも新しいツーリングレポートを載っけたいのですが、なんせネタがないんです。しょうがないので今回はワタシが実際に体験した怖い話なんぞをお読みいただきやして、お茶を濁そうかな……と。どうかしばしお付き合いくださいませ。
本当にあった怖いツーリング……その1
富山県の滑川に「穴の谷(あなんたん)の霊水」という、名水百選にも選ばれた水場があるのをご存知ですか? 実はここの水、ただおいしいだけじゃなく、なんと病気を治す効果があるということでかなり有名なところなんです。
|
10年ほど前に取材を兼ねて行ってきたのですが、途中で道の選択を間違えてしまい、民家も対向車もまったくない、狭い林道を延々と走ることに……。
数時間後、富山県と岐阜県の県境にある有峰湖というのが見えてきました。もう夕方だし心細い中、一軒だけなんかの施設があったので、中の人に聞くと、5km程山を登ると無料のキャンプ場があるというのです。
行ってみるとそこは、山に登る人のためのベースキャンプになっているらしく、車は数台止まっているのですが、まったく人影がないんですよ。でもしょうがないので広場の奧の隅っこにテントを張ったのでした。
ところが、炊事場といい、トイレといい、あたり一面「熊、出没注意!!」の張り紙や立て看板だらけなんです。「大げさだなぁ〜」なんて笑っていたのですが、たまたま通りかかった営林署のおじさんに聞いたら、真顔で「今年はいつもよりかなり多く目撃されているから、できるだけ皆んなで固まってテントを張るようにしなさい」と言うのです。
げぇー!! だってワタシ1人きりだよぉー!? あわてて、テントを車の近くまで移動して、1人ガタガタ震えながら夜を迎えました。その後は土砂降りの雨になるし、ちょっとした物音でもビクッとなって、怖くてほとんど寝れないし、夜が明けたらすぐにその場を離れたのですが、あの時はほんとうに怖かったなぁ〜。熊だけにベア(出あ)わずにすんでよかった!?
|
|
|
|
「穴の谷の霊水」。万人に効くと伝えられており現在でも全国から水汲みの方が集まってくるのだ。
|
|
|
|
たくさん水を汲んでも、荷物用エレベーターがあるしお年寄りの方でも安心だ。
|
|
|
|
富山県、立山の近くにある折立キャンプ場。車はあるけどひとっ子1人いないのだ。熊恐いよォ〜。
|
|
|
|
バイクの目の前を、ゆっくりと、カモシカの親子が横切り山の中へ消えていきました。
|
|
本当にあった怖いツーリング……その2
これも富山県を回ったときの話です。白川郷とか藤子F不二雄先生の地元、高岡や、藤子不二雄Ⓐ先生の地元、氷見に行ったりして、夜は黒部あたりのキャンプ場に泊まったのです。
|
ここは本当にキレイな、よく管理された芝生の敷地で、すぐ裏が海だし、サイコーのキャンプ場だったんですよね。
でもその当時、某「北○○」による拉致のニュースが連日テレビで報道されてまして、広いキャンプ場に客はワタシ1人だけだし、夜になって雨は降り出すし、急に怖くなってきてしまったのです。なんか、海岸から工作員が上陸してきて、ワタシも拉致されちゃうんじゃないか……って考え出したらもうたまんなくなってきちゃって眠れないんですよね。
しょうがないから、とりあえず炊事棟の中に移動して隠れるように夜を明かしたのですが、この時もほんとに怖かったよなぁ〜。
|
|
|
|
世界遺産、白川郷だけではなく近くにはたくさんの古民家が点在してましたヨ。
|
|
|
|
北の工作員に見つからないように(!?)息を潜めて一晩をすごしたのであった。だって恐かったんだよォ〜。
|
本当にあった怖いツーリング……その3
|
十数年くらい前、九州福岡の実家に帰省ツーリングをしたときの話です。大阪まで下道を走り、泉大津から阪九フェリーといういつものコースです。
実家の母と近所に出かけたのですが、母は思い出したように「そういやここの家のK姉ちゃんが亡くなったよ」と言ったのです。
K姉ちゃんとは、父の遠い親戚にあたる人の娘さんで、ワタシより5〜6歳上なんです。近くに住んではいるものの、実際に会ったのは2〜3回だけだったと思います。でも、やさしくておとなしくて真面目な本当にステキなお姉さんでした。ワタシも大好きな人だったのです。
その後看護婦さんになったという話は聞いていたのですが、まったく会うこともなかったのです。結婚されて、お子さんもいたらしいのですが、突然の病気によりまだ若くしてこの世を去ったということでした。
|
その話を聞いた日、ワタシは用事で博多の方へ行き、夜になってまた八女市の実家に戻ってきたのでした。
すると、実家の屋根の上に一匹だけホタルが舞っていたのです。ワタシの家は山の中腹にあり、川はもっと下の方に流れているのです。近くに水路はあるしホタルがいてもおかしくはないのですが、ここで見るのは初めてでした。
そのときワタシは直感で「もしかしたらこのホタル、K姉ちゃんかもしれないな」と思ったのです。そして「どうか成仏してくださいね……」なんて心の中で手を合わせ祈ったのでした。
夜……。帰省したらいつも仏間のある座敷に1人寝るのですが、なぜか夜中に目が覚めてしまったのです。時計を見たら午前2時。「オシッコでも行こうかな」と、ウトウトしつつ思っていると、突然、サッシの窓の外から声が聞こえてきたのです。はっきりとした声で「ここを開けなさい……」と。
女性の声でした。でもうちは田舎なんで、外は広い庭と畑だけだし、隣の家とも離れているし、こんな時間にそこに人がいるハズは絶対にないんです。
|
|
|
|
ワタシの田舎はこんな所です。正面の山の中には白いヘビが住んでいて、見た人は目がツブレると伝えられているぞ。
|
|
|
|
地元には120年以上昔に架けられた石の橋が他にもたくさんあるのだよ。
|
|
|
|
約30億円のムダ使いと言われている地元の橋。現在は完成しているけど、1日に数台の車しか通らないのだ。バカバカしい!!
|
もう、ゾ〜ッとしましたよ。もちろん開けるハズはありません。ふとんをかぶりガタガタ震えながら夜を明かしたのですが、あの声はなんだったのでしょう? やっぱりK姉ちゃんの霊だったのでしょうか?
K姉ちゃんのご冥福を心からお祈りしております。
|
|
ルリカミドリ
九州、福岡出身のバイク大好き娘。
ヒマさえあれば相棒のシビちゃん(HONDA CB400SF)とともに旅をしている。
別のペンネームを使い、法律や料理にゴルフ、はては高校受験まで原作付きのハウツー漫画を中心に描いてきたマンガ家であるが、最近では開店休業中との噂も(泣く)……
[
第25回へ][第26回][
第27回へ]
[バイク好いとっちゃん
バックナンバー目次へ]
[
バックナンバー目次へ]