オオカミ男のひとりごと


HERO‘S 大神 龍
年齢不詳

職業フリーライター

見た目と異なり性格は温厚で性質はその名の通りオオカミ気質。群れるのは嫌いだが集うのが大好きなバイク乗り。

時折、かかってこい!と人を挑発するも本当にかかってこられたら非常に困るといった矛盾した一面を持つ。おまけに自分の評価は自分がするものではないなどとえらそうな事を言いながら他人からの評価にまったく興味を示さないひねくれ者。

愛車はエイプ100、エイプ250、エイプ900。

只今、準備中。 シェルパの悲劇、そして復活!!

 ゴールデン・ウィークである。今年に入りすでに一年の三分の一が過ぎた事になる。時間の流れと言うのはいつでも容赦がない。その間、このコーナーもずいぶんと更新をサボっていたわけだが・・・・。なんせ前回紹介した話が年末年始の話でそこから春をすっとばしてもう初夏といった感じである。その間、オレが何をしていたかというと特に目立った行動はしていない。かつてのように寒さに震えながらバイクで関東を往復したり雪山に分け入ったりしていないという事だ。
 その理由はたいして複雑なものではない。マシンの調子があまりよろしくない。昨年の暮れあたりからなのだが3台のマシンが揃いも揃って調子を崩していたのだ。エイプはまぁまぁな調子で絶好調時と比較したならトップスピードのあたりで多少のバラつきがあり完調とは言えないまでも普通に走ってくれる。他の2台と比べたら車体を構成するパーツの数も少なくシンプルなつくりでしかも一つ一つのパーツが安価で対処はいたって容易であるがゆえにだ。
 問題はホーネットとシェルパだ。ホーネットはそろそろタイヤの交換時期なのだがサスがまだ抜けてはいないもののヘタり気味で、このままの状態で高性能な新しいタイヤを入れても宝の持ち腐れになってしまうし、見方によってはタイヤのハイグリップさが仇になる危険すらある。シェルパはエンジン、フロントフォークからのオイル漏れなどかなり重症だ。これでも結構、マメにメンテはしていたのだが長年の酷使はそんなオレの素人整備など追いつかないほどのダメージをマシンに与えていたというわけだ。しかもそれがここへきて一気に噴出してきた。なんにしても今後もいままでのようなバイク遊びを楽しもうと思うならここらで一度、この辺の問題を整理する必要がある。ホーネットのサスに関してはその道のスペシャリストであるオクムラに出す事にした。その見積り額にタイヤ、チェーンなどのパーツ代を足すとまぁこれが結構、高額なものになる。シェルパにしても必要なパーツをひと揃えするとエイプのそれとは桁ひとつ上の金銭が必要となった。というわけで今年に入りここまでの数ヶ月間、オレはその資金を捻出するためにせっせと働いていたというわけだ。


ここへきてやっとシェルパ再生へ向けて作業スタート。しかし始めてみると次々に出てくるトラブルで前途多難
ここへきてやっとシェルパ再生へ向けて作業スタート。しかし始めてみると次々に出てくるトラブルで前途多難。

 GWを目前に控えてオレはシェルパの整備に取り掛かった。出来る部分においては自分でやらないといくら金があっても足りない事態を引き起こしかねない。フロントフォークをバラしシール類をすべて交換する。専用工具が必要なためオレは世話になっているバイク屋のガレージの一画を借りて作業を行った。
 エンジンのオイル漏れに関しては以前、クラックが入っているのが判明しその部分を溶接してもらっていた。しかしフレームが被っている部分がわずかに溶接しきれておらずそこからまだ漏れていたようだ。これについてはひとまず応急的に塞ぐしかない。かなり強力と定評のある某メーカーの液ガスが余っているので使ってみたらとバイク屋の兄ちゃんに薦められてとりあえずはそれを塗りたくる。液ガス自体がすでに硬化が始まっていたのでその効果は幾分疑わしかったが元々がさほどひどく漏れているわけでもないのでこれで様子を見ることに。
 エンジンを掛けてみるとエンジンそのものは特に目立った異音もなく調子はまぁまぁと言ったところ。これでなんとか翌週からのGWに走ることが出来そうだ。シェルパを自宅に持ち帰り新品のバッテリーを搭載する。とりあえず燃料を満タンにしておこうと近所のガソリンスタンドへ向けてシェルパを走らせたところでひとつめの悲劇が起きた。
 距離にして3キロほど走り信号を曲がりスタンドまであと数百メートルの地点でシェルパはいきなり失速。エンジンは元気に回っているのにまるで誰かが勝手にブレーキを掛けているようにスピードが落ちていく。いや、実際、握ってもいないのにブレーキが掛かったままの状態になっていたのだ。シェルパは完全に停止して、見るとブレーキレバーは全く遊びがない状態でキャリパーは完全に固着している。しばらく引きずったせいでキャリパーからは煙が出てるし。
 なんてこった。ブレーキの固着ゆえに押す事もできない。仕方なくシェルパを路肩に停めて家まで軽トラをとりに3キロちょっとの道のりをマラソン大会である。この時、オレは悟った。オレ自身の身体も調整が必要である事に。シェルパのキャリパーを強引に外し、その車体をなんとか軽トラに積み込んですぐさまバイク屋にブレーキのオーバーホールに必要なパーツの発注を依頼するが全部揃うのに一週間近く掛かるという。これでGW前半での走りは絶望的となった。



フロントフォークを外しフォークブーツを取っ払うとオイル漏れもさることながらインナーチューブも汚れ放題。そりゃシールも破れるわ


フロントフォークを外しフォークブーツを取っ払うとオイル漏れもさることながらインナーチューブも汚れ放題。そりゃシールも破れるわ
フロントフォークを外しフォークブーツを取っ払うとオイル漏れもさることながらインナーチューブも汚れ放題。そりゃシールも破れるわ。


フロントサスユニットを全部バラしてシール類およびドレンボルト等の消耗品をすべて交換。この作業に半日を費やした。さすが素人なオレ


フロントサスユニットを全部バラしてシール類およびドレンボルト等の消耗品をすべて交換。この作業に半日を費やした。さすが素人なオレ
フロントサスユニットを全部バラしてシール類およびドレンボルト等の消耗品をすべて交換。この作業に半日を費やした。さすが素人なオレ。


エンジン本体、オイルパン部分のドレンボルト穴横付近のクラックからオイルが滲んでいる。酷い漏れではないのでガスケットを盛って対処する
エンジン本体、オイルパン部分のドレンボルト穴横付近のクラックからオイルが滲んでいる。酷い漏れではないのでガスケットを盛って対処する。

当初予定していたメニューを終えて修理完了と思われたのもつかの間、新たなブレーキトラブルによりシェルパはあえなく軽トラの世話に
当初予定していたメニューを終えて修理完了と思われたのもつかの間、新たなブレーキトラブルによりシェルパはあえなく軽トラの世話に。

 GW前半初日。パーツが揃ったとの連絡を受けてオレは再びバイク屋のガレージにシェルパを持ち込んだ。キャリパーのピストンを外すとその底のほうにはヘドロのようなスラッジが溜まっていた。そりゃブレーキもマトモに機能しねぇわ。キャリパーとマスターシリンダーのすべての消耗品を交換しブレーキを組み付ける。後はフルードを入れてエア抜きをするだけだ。
 ここでひとまずエンジンを回しておこうとイグニッションをONに。しかし・・・インジゲーターのランプが何一つ点灯しない。バッテリーは一週間前に新品を入れたばかりだ。一体、何が? 考えられるのは大きな漏電による急激なバッテリー上がりか断線。メーター周りを外して付近をテスターで調べるとやはりキーボックスに電気が来ていない。一つ一つ見ていくと一箇所青さびが浮いた状態で断線しているのが見つかった。
 これまでギリギリで繋がっていたのが今回の一連の作業中に完全に途切れてしまったようだ。これが出先であったならブレーキの時以上の悲劇となっていただろう。やれやれ。まぁ年式的にはもうかなり古い部類に入るので無理もない話しなのだがよくもまぁ次から次へと。断線箇所を繋ぎ他の箇所もざっと点検をし、ブレーキの調整を終えて作業完了。シェルパはやっとの事でマトモな姿にして息を吹き返した。


紆余曲折の末、なんとか復活したシェルパ。しかしこれによりGW前半はオシャカに。まだまだ不安材料は多いがいよいよ再スタート

紆余曲折の末、なんとか復活したシェルパ。しかしこれによりGW前半はオシャカに。まだまだ不安材料は多いがいよいよ再スタート
紆余曲折の末、なんとか復活したシェルパ。しかしこれによりGW前半はオシャカに。まだまだ不安材料は多いがいよいよ再スタート。

 さて、想定外なトラブルが頻発したため本格的に走り出す前にいくらかのテストランが必要になってきた。オレはGW前半残りの時間をそれに費やした。近場を走り回りブレーキの感触を始めとするマシンの調子を確かめる。なんとか大丈夫そうだ。結局、GW前半はこれで潰れてしまったがまだ後半がある。さてどこへ行くか。日数的な面を含めてもまだまだ長距離を走るには不安材料が多い。ならば・・・この局面でコイツをシェイクダウンするのにふさわしい手ごろな場所といえば四国以外ありえないだろう。というわけでGW後半はシェルパを相棒に林道王国四国へ。


やはりコイツがもっとも似合っているステージはこんな場所だ。シェルパの復帰第一弾四国編、次回お楽しみに
やはりコイツがもっとも似合っているステージはこんな場所だ。シェルパの復帰第一弾四国編、次回お楽しみに。

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