新刊が出ました
3年目の3·11 を前に、地域にとっての真の復興を問う
『泥だらけのカルテ』
(柳原三佳著)
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みなさん、いかがお過ごしですか? |
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被災地にお住まいの方、そうでない方も、この3年間はこれまでとは違って特別な思いで過ごされてきたことと思います。 |
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この本の舞台は、人口約6000人のうち600人もの死者を出すという甚大な被害を出した岩手県釜石市鵜住居地区のある歯科医院です。 |
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下の写真は、先日解体作業が行われた『鵜住居防災センター』の避難室にたたずむ主人公の佐々木憲一郎先生です。(2012.3.11に撮影しました) |
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2011年3月11日、鵜住居地区を襲った津波は、佐々木先生が院長をつとめるささき歯科医院にも壊滅的な被害を与えました。
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津波前の鵜住居町(左)と、最大波(左)。 ■撮影-両川吉信氏 | ||
ささき歯科医院は、天井まで津波に襲われ、医院の中の医療器具は全滅。
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ささき歯科医院の被害状況。 | ||
このような過酷な状況の中、佐々木先生がまずおこなったことは、がれきと泥の中から患者さんの歯科カルテを1枚1枚拾い出し、極寒の中、泥を洗い流す作業でした。そのカルテが、後で重要な役割を担うことを知っていたからです。 |
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泥だらけのカルテ
家族のもとに遺体を帰しつづける歯科医が見たものは?
柳原三佳 著(ノンフィクション作家)(講談社・1200円)
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[本書の内容]
600人を超える犠牲者を出した岩手県釜石市の鵜住居地区。ここで歯科医を営む佐々木憲一郎さんは、あの日、半壊した医院を再建しながら壊滅状態の町にとどまることを選択しました。それは、遺体の歯によって故郷の人々の遺体を家族のもとに帰す照合作業に取り組むことを決意したからです。 そして、それを可能にしたのは、妻の孝子さんが津波から逃げる前に守ったカルテの棚でした。「泥だらけのカルテ」につまった患者さんの情報こそ、地元の人たちが、たいせつな家族の死を受け入れ、明日への一歩を踏み出すのに、大きく役立っているのです 「3年も経って家族が見つかってない人たちは、どれだけ辛いだろう……」 この思いを胸に作業をつづける佐々木さんを見て、地元の人たちも勇気をもらい、故郷にとどまりました。そして、「もういちど、鵜住居地区の復興を」と、みなが立ち上がったのです。 ユネスコ世界遺産に推薦された釜石市で、ひとりの歯科医の信念が生み出した、感動のドキュメンタリー。3年目の3·11 を迎えようとするいまも、岩手県釜石市の鵜住居地区で、地元の歯科医が、遺体を家族のもとに帰す照合作業をつづけています。 津波の被害を受けながら残った〝泥だらけのカルテ〞こそが、遺族たちが家族の死を受け入れ、明日へと歩き出す手助けをしているのです。 ユネスコ世界遺産に推薦された釜石市を舞台にしたドキュメンタリー。 |
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●アマゾンでのご注文はこちら。 ●『泥だらけのカルテ』ご注文チラシはこちら(そのまま印刷して書店にお持ちいただけます)。 ●2012年に出版した『家族のもとへ、あなたを帰す』(柳原三佳著・WAVE出版)もぜひ合わせてお読みくださいませ。 |
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鵜住居地区の一日も早い復興をお祈りしています!
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佐々木ファミリーと著者(中央)と。 (2012年秋に盛岡市内で撮影) |
●柳原三佳のホームページ |
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