記録的な降雪に見舞われた2月を過ぎて、3月後半に差しかかってようやく春らしくなってきた。そろそろ2014年の湯巡りシーズン開幕かと思っていた矢先、タイミングよく3日間ポッカリと時間ができた。3日間のうち、母親の墓参りに1日使うとして、残りの2日間、できれば1泊2日かけて湯巡りしたいと考えた。
山間部はまだ厳しい季節なので、必然的に平野部になる。そうなると東日本より西日本方面になる。全国地図をジッと見ながら選んだ先は奈良県。奈良県の温泉は2湯だけ入っているが、古墳や寺院などが建ち並ぶ奈良県中部から北部にかけては、修学旅行以来立ち寄っていない。距離も片道500km弱なので、1泊2日の行程ならちょうどいい。ということで、行き先は奈良県の中部・北部に決まった。
関東方面から奈良県にアクセスするには、東名高速道路から伊勢湾岸道、東名阪自動車道、伊勢自動車道を経由して、名阪国道(国道25号線)、国道165号線、国道166号線のいずれかの国道を通って三重県を横断しなければならない。高速道路を使ってダイレクトに奈良県に行けないのだ。迷った挙句、昨年三重県を訪れた際に利用した伊勢自動車道の勢和多気インターで降りて国道166号線を進み、吉野地域の温泉に入って橿原市付近で宿泊、2日目は桜井市や奈良市の温泉に入り、夕方には奈良を出発して帰京することにした。
季節的に営業しているキャンプ場を見つけるのが難しいので、今回もホテルに宿泊しようと思って空室を探したところ、土曜日で連休中のせいかどこも満室。やむを得ず出発日を一日ずらして、ネットで見つけた1泊朝食つき5400円のホテルに決めた。
出発当日、天候は晴れ。冷え込んではいるものの、耐えられないほどではない。第1湯目のたかすみ温泉「たかすみの里」に午後0時くらいには到着したいので、午前5時に自宅を出発。環八、東名高速道路ともに順調そのもの。伊勢湾岸道に進む頃には暖かくなり、すっかり春の陽気。途中渋滞があったものの、勢和多気インターに到着したのは午前11時ちょうど。ここから国道166号線を奈良方面に向けて進む。途中、前回訪れた「いいたかの湯」を通過して、県道28号線に入って第1湯目のたかすみ温泉「たかすみの里」に午後0時過ぎ。まさにオンタイムだった。
たかすみ温泉「たかすみの里」は奈良県吉野郡東吉野村にある日帰り入浴施設だ。入湯料は500円。林業が盛んな地域なだけに、浴室、内風呂ともにひのきと思われる木材が贅沢に使用された風情ある作り。早速、身体を流して内風呂へGO。お湯は無色透明で適温。露天風呂は内風呂とは異なりワイルドな岩風呂風。照りつける日差しは強く、日焼けしそうだ。約7時間走って疲れた身体が蘇った。
「たかすみの里」を出て、第2湯目に選んだ国道166号線沿いにある「高見山の湯 みのや」を探したが発見できなかった(後に調べたところ、数年前に廃業したとのこと)。あきらめて県道220号線沿いにある「やはた温泉」に向かうことにした。国道166号線から県道221号線に入り、県道220号線を七滝八壷方面に進み、「たかすみの里」から約30分ほど走ったところに「やはた温泉」はあった。
「やはた温泉」は奈良県吉野郡東吉野村にある日帰り入浴施設だ。建物前に四郷川が流れる山あいのどかな場所にある。入湯料は500円。浴室、湯船ともにそれほど広くなく内風呂だけだが、大きな窓からは四郷川と山並みが見渡せる。湯船は「たかすみの里」と同様のひのき作りと岩風呂の2種類。この日はひのき作りだった。お湯はまろやかな肌触りの無色透明で、やや熱め。浸かっているとほんのりひのきの香りが漂ってくる。
「やはた温泉」を出ると、午後2時を過ぎていた。ホテルのチェックイン時間を午後7時に設定しているので、まだまだ時間がある。次の目的地をどこにするか迷ったが、透明度バツグンの高見川を見ながら、とりあえず県道16号線から国道370号線に進む。周囲は山と森に囲まれており、林業が盛んなのがわかる。国道169号線に向かうべく、国道370号線から県道39号線に進み、「やはた温泉」から約1時間かかって「中荘温泉」に到着した。
「中荘(なかしょう)温泉」は奈良県吉野郡吉野町にある老人福祉センター内にある日帰り入浴施設だ。入湯料は700円。内風呂のみだが、湯船は木製となっており、この地域のこだわりのようだ。ちょうどいい湯加減のお湯は、きしきしとした肌触り。大きな窓からは、眼前に流れる吉野川と周囲の景色が見渡せる。
そろそろ日が暮れてきたが、できればあと2湯入って合計5湯にしたい。4湯目は「中荘温泉」からほど近い津風呂湖温泉「龍神の湯」に向かう。「中荘温泉」から約10分、県道39号線から津風呂湖方面に進んだところにあった。津風呂湖温泉「龍神の湯」は奈良県吉野郡吉野町にある日帰り入浴施設だ。入湯料は700円。浴室、内風呂ともにモダンな作り。お湯はやや濁り系。露天風呂は、建物の周囲が池のようになっているためか、まるで半島のように建物から突出している。湯船そのものはそれほど大きくないが、周囲の景色がよく見える、なかなかユニークな作りだ。
津風呂湖温泉「龍神の湯」を出ると、すでに午後4時30分近くになっていた。ホテルのある橿原市まではここから20km以上はあるので、遅くとも午後5時30分までに5湯目を入っておきたい。ツーリングマップルをジッと見ながら、国道309号線近くにある下市温泉「明水館」に向かうことにした。