湯めぐりみしゅら~ん


第15湯 四国一周湯巡りツーリング(その2)

四国一周湯巡りツーリング3日目。足摺岬、宿毛を通過して、四国最西端の佐田岬まで向かうスケジュールだ。本来なら佐田岬は4日目でもいいのだが、4日目以降のスケジュールを考えると、どうしても3日目に佐田岬に行っておかなければならないのだ。やや強行スケジュールだが、自分で考えたのだから仕方がない。

 朝風呂にキャンプ場近くの「四万十いやしの里温泉」に入った後は、四国を代表する岬である足摺岬に向けて出発した。足摺岬は一度だけ来たことがあるが、途中の道の様子などあまり記憶にない。国道321号線を進み、途中県道27号線に入り、1時間かかって足摺岬に到着した。途中重苦しい曇り空だったのが、足摺岬に到着したら雲の合間から日が差してきた。

2日目に訪れた室戸岬同様、ここにも四国八十八ヶ所巡りのお寺がある。日曜日だったためか観光客が多く、ガラガラだった室戸岬とは大違い。とりあえず岬のビューポイントで撮影した後、足摺岬の近くに生家があったジョン万次郎の像を見て、すぐ近くにある第38番札所「金剛福寺」に参拝してお守りを購入。足摺岬はかつて一度訪れたことがあるので、そそくさと出発。

足摺岬からは県道27号線を海岸線沿いに進み、国道321号線に戻って宿毛(すくも)を目指した。いかにも南国風の穏やかな道を進み、お昼近くには高知県を代表する都市である宿毛を通過。国道321号線から国道56号線に進み、高知を通過して、3日目にして早くも愛媛県に突入した。

 そろそろ休憩を兼ねて温泉に入りたいと思っていたところに、国道56号線沿いに「一本松温泉 あけぼの荘」を発見した。一本松温泉「あけぼの荘」は愛媛県愛南町にあり温泉宿泊施設だ。入湯料は400円。開館時間は午前11時から21時となっている。露天風呂は併設されていないが、内風呂は広々としている。湯船に注がれているお湯は肌触りのいい無色透明。足摺岬から走りっぱなしだった身体を癒した。

 本当はもう少しゆっくりしたいところだが、スケジュールを考えると巻き巻きで進まなければならない。一本松温泉でちょっと一服した後、国道56号線を進み、宇和島を目指した。国道56号線を進むにつれて徐々に雲行きが怪しくなってきたと思ったら、案の定降り出してきた。土砂降りの中、じゃこ天の店を見つけて、おやつ代わりにじゃこ天を購入。さらにうどんコーナーを併設しているローソンを発見し、これは珍しいのでレインウェアを着たままうどんを食べた。

 その後も不安定な天候の中、宇和島を通過し、県道25号線を進んで佐田岬へ向かう玄関口である八幡浜に到着。時間はすでに15時を過ぎていたが、本日の主要目的地である佐田岬に向かうことにした。

 八幡浜市内から佐田岬に向かう唯一のルートである国道197号線を進んでいくと、しっかり整地された幅広い道路が延々と続くのにびっくりしてしまった。今まで訪れた地方の道路の中で1、2位を争うほどの立派な道路だった。通行量がまばらなのになぜこんな立派な道路があるのかと思ったら、途中に伊方原子力発電所が見えてきた。

 もうこれ以上詳しく言わないが、こういうことなんだと合点がいった。あまりにも気持ちいい道路なので、ややもするとオーバースピードになりがちなところをセーブして、国道197号線をひらすら進み、国道197号線の終点である三崎からは狭い県道256号線になり、約1時間ほどかけて佐田岬に到着した。

 駐車場に止めてすぐ岬に行けるのかと思ったら、ここからビュースポットである岬の灯台までは徒歩で約20分かかるという。ここまで来て諦めて帰るわけには行かないので、歩くことにした。アップダウンのある山道を進み、ようやく灯台に到着した。

 佐田岬に来るまで曇り空だったのが、私を歓迎するかのように青空になった。室戸岬、足摺岬、そして佐田岬…台風中にもかかわらず訪れた岬すべてで晴れるという「ブースカ岬の奇跡」がここに生まれた。

 撮影を済ませて駐車場に戻ってきたら、時間はすでに17時30分を過ぎていた。無事目的を達成したものの、これから今晩の宿泊地を決めなければならない。佐田岬半島や八幡浜周辺にキャンプ場はほとんどない。そうなるとホテルか民宿しかない。とりあえず八幡浜市内まで戻ろうと、国道197号線を引き返した。

 途中、迷った挙句、後悔先に立たずと思い、三崎と八幡浜との中間地点、伊方原発の近くにある「亀ヶ池温泉」に入ることにした。「亀ヶ池温泉」は西宇和島郡伊方町にある日帰り入浴施設だ。威風堂々とした外観も立派だが、館内も広々としている。

 日曜日の夕方だったので館内は地元の人でいっぱいだった。浴室はもちろん湯船も広く、露天風呂も併設されている。お湯は弱アルカリ性の無色透明。ゆっくりしたいところだが、宿泊先を決めなくてはならない。そそくさと風呂から上がり、携帯電話で検索して出てきた八幡浜市内にあるビジネスホテルに決めた。

 外に出るとすっかり日が暮れており、おまけに雨がぱらついてきた。ほとんど街灯がない国道197号線を走り、ちょっと道に迷って20時過ぎにようやくホテルに投宿した。とりあえず佐田岬を制覇できたが、3日目ですでに予算オーバー。台風なのでキャンプできないだろうとは思っていたが、なかなか厳しい。

 4日目の朝。天気は曇り。ホテルで朝食を食べて、8時過ぎにはホテルを出発した。4日目は愛媛県の県庁所在地である松山市に立ち寄り、愛媛県新居浜市周辺で宿泊するスケジュールにした。

 八幡浜市から国道387号線に出て、瀬戸内海沿いに松山市に向かった。平日ということもあってか通行量が少なく、穏やかな瀬戸内海を左手に見ながら快調に進んだ。松山市内に入る手前で朝風呂代わりに国道378号線からちょっと入ったところにある「いよ温泉」に入ることにした。

 「いよ温泉」は愛媛県伊予市にある日帰り入浴施設だ。いよプリンスホテル内にあると示されているので分かりやすいかと思った。しかし、なかなか着けず、30分ほど迷った挙句、ようやく見つけた。プリンスホテルと言っても地方にあるビジネスホテルのような建物で、名前から想像していたものとは違った。

 とりあえず入口で450円の入浴券を買い、銭湯の番台のような受付で入浴券を渡して2階にある浴室に向かった。浴室は銭湯のような作りだが、露天風呂もある。湯船を満たしているお湯はナトリウム炭酸水素塩温泉で、やや熱めの茶褐色系。上がった後もなかなか汗が引かなかった。

 いよ温泉を出て、国道378号線から国道56号線に入り、もうひとつぐらい温泉に入っておこうと思い、松山市のすぐ近くにある「古川温泉 湯楽」に向かった。「古川温泉 湯楽」は愛媛県松山市にある日帰り入浴施設だ。住宅街の、しかも大型スーパーの駐車場の一角にあり、どちらかと言えば銭湯に近い。入湯料は450円。

 浴室も銭湯のような雰囲気で、小さいながらも岩風呂が併設されている。お湯は無色透明で、肌触りもよく気軽に入れる。お客さんも地元の人が中心で、買い物ついでに立ち寄るような温泉だ。

 古川温泉から数キロ走って、ようやく目的地である松山市に到着。ここでは珍しく観光らしいことをしようと、バイクを置いて松山城を見学。松山市と言えば道後温泉が有名だが、以前入ったことがあるので、今回は外観を資料用に撮影するだけで入浴はせず。時間が13時を過ぎていたので、とりあえず今治市に向かうことにした。

 本当は海岸線を走る国道196号線を通って向かう予定だったが、道を間違えて内陸を通って今治市に向かう国道317号線に進んでしまった。引き返すのも面倒なのでそのまま進んでいると「鈍川(にぶかわ)温泉」という看板が目に入ってきた。災い転じて福となすではないが、せっかくなので入ることにした。やや寂れた温泉街の奥にあった「鈍川温泉ホテル」に立ち寄った。

 「鈍川温泉ホテル」は愛媛県今治市にある温泉宿だ。入湯料は400円。日帰りの入浴時間は午前6時から17時までとなっている。館内を通った先にある浴室は、温泉宿らしく開放感のある作り。渓流を眺められる露天風呂はこじんまりしているが、内風呂は広々している。滑らかな肌触りの無色透明なお湯は、ゆっくり浸かるにはちょうどいい。

 鈍川温泉に入り、国道317号線を進んで今治市に到着。ここから素直に新居浜市に向かおうと思った。しかし「瀬戸内しまなみ街道」という標識が目に入ってしまい、ついカッとなってしまなみ街道方面にハンドルを向けてしまった。しまなみ街道のよさは噂では聞いていたが、実際に走ってみるとなかなかのもの。途中で引き返そうか思ったが、ほんのちょっとだけ広島の尾道に上陸してから戻った。

 だんだん雲行きが怪しくなってきたと思ったら、雨が降り出してきた。高速道路なので途中で止まる訳にも行かず、結局レインウエアを着られずに今治市に到着。雨は本降りになり、新居浜市に向かう国道196号線を走りながら今夜の宿泊地を考えた。

 17時を過ぎて悶々としながら走っていたら、伊予西条市に入ったところでビジネスホテルを数軒発見。その中で素泊まり3700円のところに決定。夜はずぶ濡れになったウェアを乾燥機にかけて乾かした。

 4日目もハードな一日だったが、鈍川温泉に入ったところで入湯数は9湯。1日約2湯と想定どおりだ。台風とはいえ、あまり天候に左右されていないのが救いだが、5日目以降はどうなるか分からない。500湯目まであと3湯。四国で500湯達成できるのだろうか。

 翌朝、天気は雨。5日目は今回のツーリングの大きな目的である香川県のとあるうどん屋に向かう日だ。果たして計画どおりにうどん屋を制覇できるのだろうか。


ブースカ的評価
(5段階評価)
●一本松温泉「あけぼの荘」
★★★★★
ツーリング途中でも気軽に入れる国道沿いの温泉
●亀ヶ池温泉
★★★★★
佐田岬に行ったら立ち寄っておきたい立派な日帰り温泉
●いよ温泉
★★★★★
場所は分かりにくいが、お湯は泉質良好で銭湯感覚で入れる
古川温泉「湯楽」
★★★★★
温泉が身近に感じることができる住宅街の温泉
●鈍川温泉
★★★★★
歴史がある温泉らしい落ち着いた雰囲気が味わえる
その名のとおり足摺してしまうほど断崖にある足摺岬の灯台。室戸岬同様、台風にもかかわらず雨は降っていなかった。

その名のとおり足摺してしまうほど断崖にある足摺岬の灯台。室戸岬同様、台風にもかかわらず雨は降っていなかった。



国道56号線沿いにある「一本松温泉 あけぼの荘」。宿泊施設も兼ねているので、宿探しに困った時に便利だ(天候が不安定なためにレンズが曇ってしまった)。

国道56号線沿いにある「一本松温泉 あけぼの荘」。宿泊施設も兼ねているので、宿探しに困った時に便利だ(天候が不安定なためにレンズが曇ってしまった)。



国道56号線沿いにあったローソンの店内で売られていたさぬきうどん。かけうどん(190円)に野菜かき揚げ(120円)をトッピングした。

国道56号線沿いにあったローソンの店内で売られていたさぬきうどん。かけうどん(190円)に野菜かき揚げ(120円)をトッピングした。



今回のツーリングで行ってみたかった佐田岬を制覇。ここに来るまでの国道197号線の凄さにはびっくりした(国道197号線の写真を撮り忘れてしまった…)。

今回のツーリングで行ってみたかった佐田岬を制覇。ここに来るまでの国道197号線の凄さにはびっくりした(国道197号線の写真を撮り忘れてしまった…)。



室戸岬、足摺岬、そして佐田岬と、台風にもかかわらず、なぜか岬に到着すると晴れ間が見えた。それをして「ブースカ岬の奇跡」と名づけた(笑)。

室戸岬、足摺岬、そして佐田岬と、台風にもかかわらず、なぜか岬に到着すると晴れ間が見えた。それをして「ブースカ岬の奇跡」と名づけた(笑)。



国道197号線沿いにある「亀ヶ池温泉」。国道197号線同様、かなり立派な建物だった。ゆっくり入れなかったのが残念だった。

国道197号線沿いにある「亀ヶ池温泉」。国道197号線同様、かなり立派な建物だった。ゆっくり入れなかったのが残念だった。



八幡浜市で泊まったビジネスホテルの前にあった「ちゃんぽん亭イーグル」で食べた八幡浜ちゃんぽん。値段は550円とリーズナブルだった。

八幡浜市で泊まったビジネスホテルの前にあった「ちゃんぽん亭イーグル」で食べた八幡浜ちゃんぽん。値段は550円とリーズナブルだった。



伊予市にある「いよ温泉」。建物は小さいが、茶褐色系のお湯は本格派。ちょっと分かりにくいところにあるので事前に調べてから行きたい。

伊予市にある「いよ温泉」。建物は小さいが、茶褐色系のお湯は本格派。ちょっと分かりにくいところにあるので事前に調べてから行きたい。



松山市に近い大型スーパーの駐車場の一角にある「古川温泉 湯楽」。和風作りの凝った外装だが、銭湯感覚で温泉に入れる。

松山市に近い大型スーパーの駐車場の一角にある「古川温泉 湯楽」。和風作りの凝った外装だが、銭湯感覚で温泉に入れる。



松山市のほぼ中心部にドンとそびえる松山城。場内は広く、天守閣まで登ることができる。天守閣からは松山市を一望できる。

松山市のほぼ中心部にドンとそびえる松山城。場内は広く、天守閣まで登ることができる。天守閣からは松山市を一望できる。



愛媛県の温泉と言えば道後温泉。歌舞伎座のような立派な建物は温泉には見えない。私は入らなかったが、訪れたら入ってみてほしい。

愛媛県の温泉と言えば道後温泉。歌舞伎座のような立派な建物は温泉には見えない。私は入らなかったが、訪れたら入ってみてほしい。



今治市の近くの内陸部にある鈍川温泉ホテル。露天風呂はこじんまりしているが、内風呂は広々としていてゆったりくつろげる。

今治市の近くの内陸部にある鈍川温泉ホテル。露天風呂はこじんまりしているが、内風呂は広々としていてゆったりくつろげる。



伊予西条市のビジネスホテルの近くにあったうどんチェーン店「得得」のカツカレーライスセット(960円)。がっつり系のメニューが豊富なお店だった。

伊予西条市のビジネスホテルの近くにあったうどんチェーン店「得得」のカツカレーライスセット(960円)。がっつり系のメニューが豊富なお店だった。


毛野ブースカ
トイガンとミリタリーの最新情報誌『月刊アームズマガジン』の編集ライター。バイクに乗り始めてから温泉が好きになり、現在までの温泉踏破数は487湯。湯巡りツーリングの相棒はスズキ・ジェベル250XC。ちなみにマイカーもスズキのエスクードというスズキスト。


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