東北六県ROLLER

『もう6月!早くも6月!
今年は冷夏と聞きましたが連日暑い日が続き作業するには汗だくだく!
携帯電話をスマホにして20日もしないで船上から浜に落としてしまいました。
海底に沈み行く黄色いスマホには沢山の画像やデータが入っていたのに……おれの馬鹿バカっ!!!』
第21話「ブラザー・ダイスケ西方より来たる。心地よきかな北の夜」

 おれにはソウルブラザーと呼べるバイク乗りの仲間がいます。
 大阪の『なんぼのもんやねんダイスケ』さんと言います。
 岩手に生息するおれには考えられないのですが、ダイスケさんは自家用車がなく、移動は全てバイク。毎日バイク。雪の積もる時期が長いこちら岩手では真似出来ません。

 そんな根っからのバイク乗りのブラザーダイスケさんが突然久慈市に自慢のカワサキで乗り付けました!!! 事前連絡一切なし! あまりにも突然過ぎて笑うしかありませんでした笑っ♪

 ブラザーダイスケさんは宮城県からずっと海岸線を走り被災地を見ながら北上し、久慈市まで走って来てくれました。
 ブラザーダイスケさんは阪神淡路大震災を経験し、震災の恐ろしさを理解していたので、東日本大震災の際にも精力的に動いてくれた一人です。個人的にもハニーと大阪に遊びに行った時には熱烈に歓迎してくださり、真夜中まで大歓迎の接待をして頂きました。

 おれがブラザーダイスケさんを大好きなのは、同じバイク乗りってだけじゃなく、優しさと思想かな? 言葉では上手に説明出来ないのが悔しいんだけど、同じ匂い・臭いを感じる方って感じかな? ブラザーダイスケさんを知ったのは他の二輪誌面に載ってたのがきっかけなんだけど、そこからネットワークが出来て連絡する仲になり、今ではブラザーと慕う仲なんだけど『日常とは、非日常の繰り返し』 だとか、『ご当地お散歩ライダー』 とか、ブラザーの思想や言動が面白くて好きでして!
 そんな人間味溢れるブラザーダイスケさんが久慈市にアポなしできて一言めが『まいど!』でした笑っ。ブラザーまいど! って軽く言われても、こっちはビックリだって!!!

 ブラザーとの夜は笑い話は勿論、真面目な話もしたし、お互いの近況報告だったり、話は尽きなくて♪ ブラザーが吸うガラムの匂いと、関西弁が心地好い時間をくれました。おれは大阪には飛行機で行きましたが、ブラザーは自慢のカワサキで来てくれて。翌朝は二人で走ろうってネムネムしました。

 バイク乗りって、跨がった感じや、走る姿にオーラ? 雰囲気が出ませんか? ブラザーにも独特のオーラがありました。馴れてるって感じかな? 人馬一体って感じかな?
 ブラザーはあんまり体が大きくないけど、余裕がある雰囲気を出して走ってて、おれはヘルメットの中で終始嬉しくて笑っていました。
 大阪に生きてるブラザーがおれと走ってる! これが嬉しくて嬉しくて。

 大して観光した訳でもないけど、長い時間ではなかったけど、ブラザーと一緒にいた時間は、並んで走った時間はニコニコが止まらない状態でした!

 歴史を学校の授業で習った時に、『敗北とは戦に敗れて北に逃げることから産まれた言葉だ』って先生が言ってました。ブラザーダイスケさんは戦に敗れた訳じゃないけど北に向かって走り『今』の東北を見て感じてくれました。
 ブラザーの言葉で一番印象的だったのが『津波で壊された橋のたもとで、家族で潮干狩りしてて。その景色を見た時に凄く嬉しかった』って。まだ壊れたままの浜に人が戻り日常を取り戻しつつあるんだって優しい顔で話してくれました。

 ブラザーダイスケさんとの写真は今海底に沈んでしまい一枚もありません。素晴らしい笑顔と綺麗なカワサキを撮影したのに、船上から落としてしまいました。だけどまた必ずブラザーとは笑顔で逢うからいいんだもーん。次にブラザーと逢う時にもお互い笑顔で逢いたいなー。

 優しい人に逢うと自分まで優しくなった気分になるから不思議です。
 ダイスケさんに元気をもらって毎日海の上で波に命を揺らして作業しています。
 ダイスケさんが帰ってから3日くらいガラムの匂いが部屋に残っててなんだかダイスケさんがいるみたいで嬉しかった♪ 
 ブラザーダイスケさん、遠路岩手県久慈市まで走りおれに元気を有り難う御座います。やられました笑っ! お互いの日常を大切にまた笑顔で握手しましょうね!!! ダイスケさんの歩く空がこれからも晴れていますように!!!

※6月5日発売される道楽NO.7に、今回の顛末が掲載されています。あわせてご覧下さい。ちゃんと写真も出ています(笑)。(編集部)


デブ輪

福島県いわき市生まれ。
1975年式。岩手県久慈市在住。好きな食べ物『豚バラ肉』体重110キロ。
座右の銘『礼に始まり、礼に終わる』皆さん宜しくメカドックですっ!
デブ輪

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