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第38回「北海道チンタラ旅!」その前編……の巻
北海道チンタラ旅!」その中編…

 

<「4日目」>

 
 ザァーザァと、テントに当たる雨音で目が覚めました。ここは北海道の天塩町にある、鏡沼海浜公園キャンプ場。昨日の朝フェリーで小樽に上陸し、ここまで走ってきたのです。サァ、張り切って北海道を走るぞぉ!! なんて、意気込んでいたのですが、今日はいきなりの雨。朝から気分がブルーになってしまいました。

 
 飯ごうでご飯を炊き食事。びちょびちょのテントをバックに詰め込み、カバーを掛けたら、どしゃ降りの雨の中、8時過ぎにスタートです。

 
 キャンプ場のすぐ前を走る県道106号線に入ります。ここは全国のライダー憧れの、電柱もガードレールもない原野の中を走るルートなのです。

 
 ただただまっすぐに進む道……30本近く並んだ風力発電のプロペラ、北緯45度のモニュメント、パーキングシェルター等があったりはするのですが、ただただ、道がまっすぐ伸びているだけなんです。激しく打ち付ける雨の中、まるで滝行を行なう修験者のように進んでいくのでありました。


ドシャ降りの中、県道106号線、通称オロロンラインを走ります。途中に28基もの風力発電用のプロペラが並んでいました

鹿浜橋ランプから乗って,東北道に入ります。だって,関越道をイッキ走りする自信ないんだも〜ん
どしゃ降りの中、県道106号線、通称オロロンラインを走ります。途中に28基もの風力発電用のプロペラが並んでいました。 道幅を教える矢印以外、何もない真っ直ぐな道。雨も止み、少し明るくなってきました。

北緯45度のモニュメントが、ポツンとありました。晴れていれば、バックに利尻島が見えるそうです

ご覧のとおり、何もありません。車もバイクもほとんど通らないし、ただただアクセルを回すのみなのです
北緯45度のモニュメントが、ポツンとありました。晴れていれば、バックに利尻島が見えるそうです。 ご覧のとおり、何もありません。車もバイクもほとんど通らないし、ただただアクセルを回すのみなのです。

 9時を回る頃ようやく雨も止み、明るくなってきました。野寒布(ノシャップ)岬には9時50分到着。団体さんが去るのを待ち、写真を撮ります。

 
 その後、稚内(わっかない)へ。実は大昔、この稚内から網走まで自転車で走ったことがあるのです。その同じコースをいつかはバイクで走ってみたい……というのがワタシのささやかな夢だったのですが、今回、ついにそれを実現できるのかと思うとうれしくなってきました。

 
 海岸沿いの国道238号線をチンタラ走っていると、大昔の記憶が蘇ってきました。この地方独特の「宗谷丘陵」というらしいのですが、低いなだらかな丘が、ずっと続いているんです。初めて見たときの印象がかなり頭の中に残っていまして、本当に懐かしい感じがしました。

 
 お昼、宗谷岬に到着。写真を撮ろうとカメラを出したらなんと電池切れ。しょうがないので食堂に入り、「食事中だけ充電をさせてもらえませんか!?」とズーズーしくお願いしたのでありました。


野寒布岬。観光バスの人々が去るとワタシ一人に。水族館やおみやげ屋さんもガラッとしていました

稚内港北防波堤ドーム。昭和11年に完成したのですが、こういった形の物は世界で唯一なのだそうです
野寒布岬。観光バスの人々が去るとワタシ一人に。水族館やおみやげ屋さんもガランとしていました。 稚内港北防波堤ドーム。昭和11年に完成したのですが、こういった形の物は世界で唯一なのだそうです。

日本国再北端の宗谷岬。大昔に一回来たことがあるのですが、もっとおみおやげ屋さんが並んでいたような気が!?

食事中、デジカメの充電をさせていただきました。その節は本当にありがとうございました。助かりました
日本国最北端の宗谷岬。大昔に一回来たことがあるのですが、もっとおみやげ屋さんが並んでいたような気が!? 食事中、デジカメの充電をさせていただきました。その節は本当にありがとうございました。助かりました。

 

 しばらく滞在したあと、また海岸線を走っていきます。所どころしか大昔の記憶が残っていなくて、新鮮な風景です。

 
 カムイ岬が見えてきた頃、空が真っ暗になり、また雨が降り出してきました。気温も相当低くなっているみたいで、一枚重ね着しておきましょう。

 
 枝幸(えさし)、興部(おこっぺ)……どしゃ降りの中ただ前を見て走ります。体が冷えてきて、手の感覚もなくなってきています。あたりはもう真っ暗で、シールドに付いた雨のために視界が最悪。沙留(さるる)に入った時、冷たくてすごくおいしかった、沙留駅前の水飲み場の水の記憶が蘇ったのですが、現在はもう廃線になっているし、その跡地まで行く気力もなくなってしまいました。


小高い丘が続く宗谷丘陵。今回の旅で一番見たかったのが、この風景なのです
小高い丘が続く宗谷丘陵。今回の旅で一番見たかったのが、この風景なのです。

宗谷岬ウインドファーム。なんと57基のプロペラが回っているのです。国内最大規模だそうだよ
宗谷岬ウインドファーム。なんと57基のプロペラが回っているのです。国内最大規模だそうだよ。

またまた真っ直ぐな道を走ります。最初は楽しいんだけどだんだんダレてくるんだよなァ〜

鹿には要注意!! マジでワタシの前に一頭飛び出してきたんだよ
またまた真っ直ぐな道を走ります。最初は楽しいんだけどだんだんダレてくるんだよなァ〜。 鹿には要注意!! マジでワタシの前に一頭飛び出してきたんだよ。

こちらはおなじみのキタキツネ君。ワタシの目の前で、ネズミを捕らえて食べていました

アイヌ民族の神聖なシンボル、カムイ岬。この後、またドシャ降りとなってしまい、大変でした
こちらはおなじみのキタキツネ君。ワタシの目の前で、ネズミを捕らえて食べていました。 アイヌ民族の神聖なシンボル、カムイ岬。この後、またどしゃ降りとなってしまい、大変でした。

 夕方6時、紋別に到着。本来なら網走まで行く予定にしていたのですが、体力的にかなり限界。ここで泊まることにして、観光案内所で紹介してくれた、素泊まり一泊3000円のお宿にチェックインしました。

 
(本日の走行距離-317.5km)



紋別といえばカニのモニュメント(!?)。高さは12m、重さは7t。昭和50年に製作されたのだヨ

大昔に来たことのある紋別駅。平成元年4月で無くなり、現在は商業スペースになっていました
大昔に来たことのある紋別駅。平成元年4月でなくなり、現在は商業スペースになっていました。 紋別といえばカニのモニュメント(!?)。高さは12m、重さは7t。昭和50年に製作されたのだヨ。

 

<「5日目」>

 温かいお風呂とお布団で体力も回復。おまけに携帯とカメラの充電もバッチリできたし、天気も快晴。すばらしいスタートが切れました。

 

 今日もまた海岸線の国道238号線をチンタラ走ります。途中の川で、生まれて初めて、遡上するサケの姿を見ることができ、カンドーしちゃいました。

 それにしても、「もうシーズン過ぎている(9月末)し、ライダーは少ないだろうなぁ〜」なんて思っていたのですが、さにあらず。いろんなナンバープレートを付けたバイクが走っていましたよ。北海道ではすれ違うライダーには手を上げて挨拶するのがお約束(!?)なのですが、本当にたくさんの方がピースしてくださいました。 

 

 それに、自転車で旅をしている人もかなりいました。でっかい荷物を積んだ、でっかいおケツの人も見かけ、追い越したのですが、一人旅をしている金髪の白人女性でした。日本に対するデタラメな悪口を世界中に言いふらしているムカつく国が2つありますが、実際にこうして旅をしてもらって、ワタシたちの国がどんなにすばらしいか解っていただきたいと思います。


真冬になると、この海が凍るだなんて信じられないよね。その頃にまた来てみたいなあ〜
真冬になると、この海が凍るだなんて信じられないよね。その頃にまた来てみたいなあ〜。

湧別川。遡上するサケがピョンピョン跳びはねていました
湧別川。遡上するサケがピョンピョン跳びはねていました。

橋の上から撮った写真です。サケがうようよいるんだよね。カンドーしちゃいます

やっと網走駅にゴール!! 大昔、自転車で走った稚内〜網走間をもう一度走りたいという夢が叶いました♥
橋の上から撮った写真です。サケがうようよいるんだよね。カンドーしちゃいます。 やっと網走駅にゴール!! 大昔、自転車で走った稚内〜網走間をもう一度走りたいという夢が叶いました♥

 午前10時、やっと網走駅に到着。大昔に、3日半かけて自転車で走った道を完走したのですが、バイクでもけっこうキツかったのに、当時の自分はよく走れたなぁ、というのが正直な感想です。行く先々でいろんなことが思い出されてなんか涙が出そうになっちゃいました。

 
 網走では、お約束の網走刑務所を見学。実は初めて見るのです。木造の古い建物は美しく重厚です。当時、南下政策を進めるロシアに対抗するために早期の開拓が必要になり、労働力として全国各地から囚人が集められたのが、ここに建設されたきっかけだった……とは知りませんでした。

 
 また、お隣にある北方民族博物館も見学しました。日本をはじめ、北米やロシアなど極限に住む人々の生活を紹介した資料館で、特に服飾品のデザインがすばらしいなって思いました。


博物館、網走監獄。入場料は1080円だ。25もの建物があり、そのうち10棟が登録有形文化財なのだ

5つの建物が放射状に広がる舎房。世界最高で最大だそうです。重厚で美しかったぞ
博物館、網走監獄。入場料は1080円だ。25もの建物があり、そのうち10棟が登録有形文化財なのだ。 5つの建物が放射状に広がる舎房。世界最古で最大だそうです。重厚で美しかったぞ。

現在の監獄食も食べることができるぞ。本当の受刑者用はみそ汁が付いていなくて,カロリーは約600calだそうだ

北海道立北方民族博物館。世界中の北限に住む人々の暮らしや文化を知ることができるよ
現在の監獄食も食べることができるぞ。本当の受刑者用はみそ汁が付いていなくて、カロリーは約600Kcalだそうだ。 北海道立北方民族博物館。世界中の北限に住む人々の暮らしや文化を知ることができるよ。

 オホーツク海に別れを告げ、今度は国道39号線を南下していきます。本当は、まだ行ったことのない知床方面に向かいたいのですが、時間がなく断念。またいつかのために楽しみは取っておきましょう。


北海道のお約束!! といった感じの風景だな。来年の暑中見舞いに使おうかしら!?
北海道のお約束!! といった感じの風景だな。来年の暑中見舞いに使おうかしら!?

 
 思っていたよりかなりデカイ北見の街を通過し、3時頃に温根湯(おんねゆ)に到着。これから層雲峡に行くのは少し遅いので、ここで泊まることにし、無料の「つつじ公園キャンプ場」でテントを張ります。

 
 ここはトイレもキレイだし、近くにはスーパーも日帰り温泉もあるし、けっこういいとろです。なんたってタダだし、おススメですよ。
 今日は一日快晴で気持ちのいい走りができました。ビールを飲んで星空眺め、明日のコースを確認していたら、いつの間にか爆睡していたのでありました。

 
(本日の走行距離-215.1km)
 


温根湯にある、つつじ公園キャンプ場。トイレもキレイだし、なんてったタダだしここオススメですよ

キャンプ場近くの道の駅には、世界最大級のハト時計、果夢林(カムリン)ってーのがあったよ
温根湯にある、つつじ公園キャンプ場。トイレもキレイだし、なんてったってタダだしここオススメですよ。 キャンプ場近くの道の駅には、世界最大級のハト時計、果夢林(カムリン)ってーのがあったよ。

[後編へ続く]


ルリカミド
ルリカミドリ

九州、福岡出身のバイク大好き娘。

ヒマさえあれば相棒のシビちゃん(HONDA CB400SF)とともに旅をしている。

別のペンネームを使い、法律や料理にゴルフ、はては高校受験まで原作付きのハウツー漫画を中心に描いてきたマンガ家であるが、最近では開店休業中との噂も(泣く)……


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