湯めぐりみしゅら~ん

第47湯:九州大遠征:大分・熊本編(4日目)

 九州大遠征4日目。今日は熊本県のシンボルと言ってもいい阿蘇山周辺の温泉に入り、九州を横断して大分県に戻り、大分市内に宿泊する予定だ。出撃する前に、せっかく熊本県まで来たので、熊本駅構内の売店までお土産を買いに行くことにした。ホテルから1分もかからずに売店に到着。出勤時間帯とはいえ、駅前が騒がしいので人混みに近づいてみたところ、なんと熊本県のゆるキャラ「くまモン」がいるではないか。テレビでは観たことがあるが、目の前で「くまモン」を見たのは初めて。何かのキャンペーンのために熊本駅前を訪れたらしいのだが、地元の方も写真を撮りまくっている。私もその中に混じって撮影した。くまモンを見たら縁起が良さそうな気分になった。

 売店で無事お土産をゲットしていよいよ出発。国道3号線を宇土市方面に向かい、2キロほど走ったところで国道57号線に入り、阿蘇山方面に向けて進む。ここからはしばらく国道57号線を進むことになる。進むにつれて徐々に景色が開けてきた。阿蘇山に入る手前で、列車がスイッチバックすることで知られるJR九州の豊肥本線・立野駅近くにある大津温泉「岩戸の里」に立ち寄って朝風呂にしようかと思った。しかし、開店時間を過ぎても開店しないので、諦めて先に進むことにした。

 国道57号線はやがて阿蘇山周辺を反時計回り(宮崎県側)に進む国道325号線とに分岐する。私は迷わず国道325号線方面に進んだ。先ほどのリベンジを図るべく、阿蘇大橋を過ぎて5分ほど進んだところにある南阿蘇村総合福祉温泉センター「ウィナス」に入ることにした。南阿蘇村総合福祉温泉センター「ウィナス」は熊本県阿蘇郡南阿蘇村にある日帰り温泉施設だ。入湯料は300円。浴室は開放的で広々としており、内風呂も大きくて眺めがいい。露天風呂も広く、開放感ある作りとなっている。お湯は無色透明で、朝風呂にちょうどいい湯加減だった。

 朝から相変わらずの曇り空。もし晴れていれば、この周辺はかなり景色がいいはずだろう。「ウィナス」を出発して次に向かったのは「阿蘇下田城ふれあい温泉」。ここの特徴は南阿蘇鉄道「阿蘇下田城ふれあい温泉」駅構内にある、まさにエキナカ温泉だ。ちなみにこの駅名は日本で5番目に長いという。今までエキナカ温泉はJR中央本線「上諏訪駅」、JR北上線「ほっとゆだ駅」、わたらせ渓谷鉄道「水沼駅」に入ったことがある。場所によっては浴室内に列車が来ることを知らせる掲示板が置かれており、エキナカ温泉ならではの雰囲気が楽しめる。

 「ウィナス」から国道325号線に戻り、高千穂方面に進み、県道149号線を通って目的地に到着した。「阿蘇下田城ふれあい温泉」は熊本県阿蘇郡南阿蘇村にある日帰り入浴施設を併設した駅だ。駅舎はちょっとしたお城のような作りで、周囲に田んぼが広がるのどかな場所だ。入湯料は300円。内湯のみのこじんまりとした温泉だが、窓からはホームに入ってきた列車が見える。お湯は無色透明でちょうどいい湯加減。列車の本数も少なく、駅前も静かなのでのんびりと過ごせる。

 いい気分になったところで第3湯目に向かう。午前中までに3湯入れば順調なペースだ。第3湯目は国道325号線から山のほうに20分ほど走ったところにある垂玉(たるたま)温泉「山口旅館」を選んだ。林道の先にある一軒宿の垂玉温泉「山口旅館」は、熊本県阿蘇郡南阿蘇村河陽にある温泉旅館だ。立派な和風の建物が山あいに建ち並ぶ。入湯料は600円。立派な露天風呂があるが、日帰り入浴者は大浴場(内風呂)のみとなっている。受付から階段状の場内を歩き、大浴場に到着。立派な浴室に、広々とした湯船にはお湯がたっぷり注がれている。お湯はややエメラルドグリーン色をしており、ちょうどいい湯加減。あまりの気持ちよさに時間が経つのを忘れてしまう。いつか宿泊して露天風呂に入ってみたくなった。

 垂玉温泉を出たところでちょうど午後12時を過ぎたところ。途中適当なところでお昼を食べることにして第4湯目に向かう。国道325号線に戻り、高千穂方面に数キロ走ったところにある阿蘇白水温泉「瑠璃」に到着。阿蘇白水温泉「瑠璃」は熊本県阿蘇郡白水村にある宿泊もできる日帰り入浴施設だ。入湯料は300円。浴室は「こづみの湯」と「かけぼしの湯」が男女入れ替えとなっており、訪れた日は男湯が「かけぼしの湯」だった。「かけぼしの湯」はまるで体育館のような開放感のある大きい浴室が特徴。内風呂は広い。露天風呂は建物を囲むように設置されている。お湯は無色透明だが、泉温が約56℃と高めのためか、広い湯船にもかかわらず熱めとなっている。風呂上りに館内の軽食コーナーで軽めの昼食を摂り、阿蘇白水温泉「瑠璃」を出発した。

 時間は午後1時を過ぎていた。大分市までは距離があるので、後ろ髪を引かれながら阿蘇山周辺をあとにする。今度来ることがあったら晴れることを期待しよう。国道325号線から国道265号線に進み、国道57号線と交わったところで、国道57号線を竹田市方面に進む。1時間ほど走ったところにあった道の駅「すごう」で、休憩を兼ねて特製すごううどんを食べて腹ごしらえ。そろそろ第5湯目に入りたくなり、アプリで検索して国道442号線方面にある宮城温泉「出会いの湯」に向かうことにした。

 国道57号線から国道442号線を久住山方面に入り、道の駅「すごう」から約40分弱で到着した。宮城温泉「出会いの湯」は大分県竹田市上坂田にある共同浴場だ。入湯料は300円。建物はこじんまりとしており、野山に囲まれた中にひっそりと佇んでいる。秘湯的な雰囲気が漂う。適温の無色透明のお湯は、肌触りのいいちょいヌルスベ系で、源泉のまま湯船に供給されている。あまり知られていない穴場的な温泉だった。

 宮城温泉「出会いの湯」を出たのは午後3時過ぎ。あとは大分市内を目指すのみ。国道442号線を竹田市方面に戻り、そのまま国道442号線を大分市方面にひたすら進む。国道442号線から国道210号線、国道10号線を走り、途中コンビニで休憩しがてら宿探し。大分県庁の近くに温泉つきのビジネスホテルがあったので速攻で予約して宿泊先を確保。気持ちに余裕ができたので、周辺の温泉を検索してみる。中心地からそれほど離れていないところに天然温泉「天の川」という日帰り入浴施設があることがわかり、そこに向かうことにした。国道10号線を大分駅方面に向かい、大分駅を過ぎて国道210号線に交わったところで、国道210号線を竹田市方面に進み、大道トンネルを過ぎた先に目的地があった。

 天然温泉「天の川」は大分県大分市大字奥田にある日帰り入浴施設だ。先ほど入った宮城温泉とは一転して住宅街の中にある。入湯料は400円。出来てそれほど日が経っていないと思われる建物は、やぐらのようなシンボルが入口に建っている。館内、浴室ともに夕方なので地元の方でいっぱい。内風呂、露天風呂ともにスーパー銭湯のような作りだが、お湯は濁り湯で、源泉かけ流し。しかも湯温は熱めでなかなかの入り心地。自宅近くにこんな温泉がある大分県の方が羨ましく感じてしまう。

 天然温泉「天の川」をあとにして今宵の宿「ホテルクラウンヒルズ大分」に向かう。国道210号線を大分駅方面に戻り、国道10号線を過ぎて県道197号線に入り、そのまま真っ直ぐ進んだところにホテルはあった。大分県大分市都町にある「ホテルクラウンヒルズ大分」は天然温泉「都の湯」を併設するビジネスホテルだ。部屋に入って驚いたのは、部屋に供されているお湯まで温泉なのだ。温泉宿なら当たり前だろうが、ビジネスホテルでは珍しい。大分県は奥が深い。

 温泉はあとで入るとして、ホテル近くにあった居酒屋「味の蔵 天まで上がれ」で夕食。大分県(豊後)の郷土料理(琉球、とり天、焼しいたけ、じゃこめし、だんご汁、吉四六漬)がセットになったコースと、豊後を代表するおやつ「やせうま」を食べた。すべて初めて食べたが、どれも美味しい。やせうまが意外と量があって、お腹いっぱいになってしまった。せっかく大分まで来たのだからちょっと贅沢してしまった。

 ホテルに戻って大浴場に向かう。内湯のみだが、お湯は肌触りのいい黒湯で、源泉は熱めだが湯船には適温のお湯が供されている。宿泊者は入りたい放題なのはありがたい。4日目の入湯数は7湯。4日間で合計34湯入った。あと6湯入れば40湯だ。今までのツーリングでの最高入湯数を大幅に更新できる。こうなったら気力で頑張るしかない。

 翌朝、もちろん朝風呂に入る。朝起きていきなり温泉に入れるのは嬉しい。朝食をしっかり摂って出発。最終日となる5日目は、午後7時に船が出港するので、午後5時までが勝負だ。雲行きが怪しいが、別府方面に向かい、まずは国東(くにさき)半島を巡って、そこから攻めることにしよう。


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熊本駅前で偶然遭遇した「くまモン」。バランスの悪そうなボディーのわりに動きは俊敏だった(笑)。突然の登場に地元の方も大喜び
熊本駅前で偶然遭遇した「くまモン」。バランスの悪そうなボディーのわりに動きは俊敏だった(笑)。突然の登場に地元の方も大喜び。
阿蘇山の麓にある南阿蘇村総合福祉温泉センター「ウィナス」。立派な建物同様、内風呂、露天風呂ともに広々していた
阿蘇山の麓にある南阿蘇村総合福祉温泉センター「ウィナス」。立派な建物同様、内風呂、露天風呂ともに広々していた。
南阿蘇鉄道の「阿蘇下田城ふれあい温泉」駅は駅構内に日帰り入浴施設が併設されたエキナカ温泉だ
南阿蘇鉄道の「阿蘇下田城ふれあい温泉」駅は駅構内に日帰り入浴施設が併設されたエキナカ温泉だ。
ホームから駅構内にある浴室を見たところ。浴室の窓からは行き交う列車が見える。もちろんホームから丸見えではないでご安心を
ホームから駅構内にある浴室を見たところ。浴室の窓からは行き交う列車が見える。もちろんホームから丸見えではないのでご安心を。
山あいに佇む垂玉温泉「山口旅館」。日帰り入浴者は大浴場(内湯)のみだが、宿泊者には滝を眺められる露天風呂が楽しめる
山あいに佇む垂玉温泉「山口旅館」。日帰り入浴者は大浴場(内湯)のみだが、宿泊者には滝を眺められる露天風呂が楽しめる。
歴史を感じさせる落ち着いた雰囲気の「山口旅館」の大浴場。ややエメラルドグリーン色をした肌触りが滑らかなお湯が特徴
歴史を感じさせる落ち着いた雰囲気の「山口旅館」の大浴場。ややエメラルドグリーン色をした肌触りが滑らかなお湯が特徴。
国道325号線からほど近いところにある阿蘇白水温泉「瑠璃」。ここからでは見えないが浴室(かけぼしの湯)はまるで体育館のようだ
国道325号線からほど近いところにある阿蘇白水温泉「瑠璃」。ここからでは見えないが浴室(かけぼしの湯)はまるで体育館のようだ。
国道57号線にある道の駅「すごう」で食べた特製「すごううどん」。山菜、山芋、鳥ごぼうが満載。値段は680円なり
国道57号線にある道の駅「すごう」で食べた特製「すごううどん」。山菜、山芋、鳥ごぼうが満載。値段は680円なり。
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一見すると共同浴場に見えない里山にひっそりと佇む宮城温泉「出会いの湯」。しかしお湯はなかなかの良湯だった
一見すると共同浴場に見えない里山にひっそりと佇む宮城温泉「出会いの湯」。しかしお湯はなかなかの良湯だった。
大分市外の住宅地にある天然温泉「天の川」。お湯は熱めの濁り湯で、スーパー銭湯的な入りやすい雰囲気だった
大分市外の住宅地にある天然温泉「天の川」。お湯は熱めの濁り湯で、スーパー銭湯的な入りやすい雰囲気だった。
4日目の宿は、大分市の中心街にある「ホテルクラウンヒルズ大分」。大浴場だけではなく、部屋にも温泉が供されている珍しいホテルだ
4日目の宿は、大分市の中心街にある「ホテルクラウンヒルズ大分」。大浴場だけではなく、部屋にも温泉が供されている珍しいホテルだ。
ホテル近くの居酒屋「味の蔵 天まで上がれ」で食べた「郷土料理ふるさと」。琉球、とり天、焼しいたけ、じゃこめし、だんご汁、吉四六漬がセットになって1,680円なり
ホテル近くの居酒屋「味の蔵 天まで上がれ」で食べた「郷土料理ふるさと」。琉球、とり天、焼しいたけ、じゃこめし、だんご汁、吉四六漬がセットになって1,680円なり。
豊後名物のおやつ「やせうま」。小麦粉で作ったうどんを平たくしたようなものに、きな粉と砂糖をまぶしたもの。懐かしい味がして美味しかった
豊後名物のおやつ「やせうま」。小麦粉で作ったうどんを平たくしたようなものに、きな粉と砂糖をまぶしたもの。懐かしい味がして美味しかった。
先日、愛車ジェベル250XCの走行距離が10万キロを達成。今までこれで36都道府県を走破しているが、果たして47都道府県を制覇できるだろうか…
先日、愛車ジェベル250XCの走行距離が10万キロを達成。今までこれで36都道府県を走破しているが、果たして47都道府県を制覇できるだろうか…。

ブースカ的温泉評価
南阿蘇村総合福祉温泉センター「ウィナス」 ★★★★★
内風呂、露天風呂ともに広々としておりくつろげる。
阿蘇下田城ふれあい温泉  ★★★★
全国でも数少ないエキナカ温泉のひとつ。
垂玉温泉「山口旅館」   ★★★★
静かな山あいにある秘湯の雰囲気が漂う温泉。
宮城温泉「出会いの湯」  ★★★★
鄙びた里山にひっそり佇む良質の共同浴場。
天然温泉「天の川」  ★★★★★
大分県の奥深さを感じる住宅街にある温泉施設。
天然温泉「都の湯」  ★★★★
大浴場だけではなく部屋のお湯まで温泉のビジネスホテル。

毛野ブースカ毛野ブースカ
トイガンとミリタリーの最新情報誌『月刊アームズマガジン』の編集ライター。バイクに乗り始めてから温泉が好きになり、現在までの温泉踏破数は689湯。湯巡りツーリングの相棒はスズキ・ジェベル250XC。ちなみにマイカーもスズキのエスクードというスズキスト。


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