曇り空の中、大分市内にあるホテルを出発。別府湾に沿って進む国道10号線を通り別府を目指す。数日前に意気揚々と上陸したことを思い出しながら別府を通過。国東(くにさき)半島を巡る国道213号線に入り、ここからは国東半島を反時計回りにひたすら進む。交通量が少なくてスムーズに走れる。相変わらず曇り空だが、時折日が差してくる。大分市内からおよそ2時間くらいかけて周防(すおう)灘に面している道の駅くにみに到着。ちょっと一服して、ここから内陸に入り、第1湯目に選んだ「あかねの郷」を目指す。
国道213号線から県道31号線に入り、林道を数キロほど進んだ先に「あかねの郷」があった。先客はいないようだが、入口に行ってみると、なんと営業時間が午前11時00分からとなっている。ガイドブックやアプリには午前10時00分からと表示されているのに…。営業時間が異なることはよくあることだが、旅人としては期待していただけにショックだ。営業開始時間まで40分以上ある。ここまで来たのだから待ってでも入りたかったが、時間を無駄にしないために、次の目的地に向かうことにした。
次なる目的地は、「あかねの郷」からそれほど離れていない「夷谷(えびすだに)温泉」。車1台が通れるほどの細い林道を、道案内をたよりに進み、県道653号線に入り、山奥の里山のようなところにポツンとあった。「夷谷温泉」は大分県豊後高田市夷にある日帰り入浴施設だ。駐車場に向かうと、建物は改装中で、もしかしたら営業していないのかと思ったが、建物左側に入口があり、営業中だった、ホッとして入湯料300円を払う。建物はリニューアル中で、訪れた時は内風呂のみ。建物はそれほど大きくないが、湯船はしっかりしている。お湯は泥系の濁り湯で、やや熱め。しっかり浸かり、先ほどのハプニングを癒す。ちなみに、夷谷温泉は去年の12月6日にリニューアルオープンし、露天風呂も併設されているようだ。いつの日かまた訪れてみたい。
何とか1湯目をクリアして次に向かう。夷谷温泉から県道653号線を戻り、県道654号線方面に進み数キロほど行ったところにある「真玉温泉スパランド真玉」に到着。「真玉温泉スパランド真玉」は大分県豊後高田市城前にある宿泊棟も併設した日帰り入浴施設だ。入湯料は300円。先ほどの夷谷温泉に比べて浴室、湯船は広々としており、ゆったりくつろげる。内風呂はかすかに濁りのある熱めのお湯。おそらく源泉と思われる。一方、露天風呂は茶褐色でややぬるめ。なかなか良質な温泉が300円で入れるところが、大分県の魅力と言っても過言ではない。
真玉温泉に入ったところでお昼近くだったが、雨が気になるので先に進むことにする。県道654号線を真玉方面に進み、西国東広域農道に差し掛かったところで宇佐市方面に向かう。県道29号線に進み、県道34号線との中間地点に第3湯目となる「花いろ温泉」があった。「花いろ温泉」は大分県豊後高田市美和にある日帰り入浴施設だ。入湯料は300円。外観はモダンで、浴室、湯船ともに広々としている。ここも露天風呂がリニューアル中で、昨年の10月18日からリニューアルオープンとのこと。広い内風呂に入る。お湯は無色透明、さっぱりした肌触りでゆっくり浸かるにはちょうどいい湯加減だ。
「花いろ温泉」を出ると時間は午後0時40分を過ぎたところ。雨が心配なので、昼食なしで湯巡りを続ける。第4湯目は宇佐市にある「まほろば温泉・菟狭(うさ)」。県道29号線から国道10号線に出て、国道10号線を宇佐市方面に進む。宇佐神宮を過ぎて県道215号線を左に進み、かんぽの郷宇佐の近くに目的地があった。「まほろば温泉・菟狭(うさ)」は大分県宇佐市川部にある日帰り入浴施設だ。入湯料は400円。内風呂、露天風呂ともに1つずつ。ここの温泉は炭酸塩泉とのことだが、お湯は泥系の濁り湯。海に近いがそれほど塩気が強くなく、すっきりしたお湯だ。午前中から天候が怪しかったが、外に出ると雨がポツポツ降ってきた。できればこれ以上、乗船するまでは雨脚が強くなってほしくないな…。
「まほろば温泉・菟狭」を出発し、すでに午後1時30分を過ぎていたので、ここからは別府方面に戻ることにする。国道10号線に戻って別府方面に進む。雨は降ったり止んだり。いちばん嫌なパターンだ。国道沿いにあったスーパーマーケットで小休止。別府に戻るまでにもう1湯入りたいと思っていたところ、この近くに「山香温泉 風の里」があることが判明。雨は止まないが行ってみることにした。
国道10号線から県道655号線に入り、少し走ったところに目的地があった。「山香温泉 風の里」は大分県杵築(きつき)市山香町大字倉成にある宿泊もできる日帰り入浴施設だ。入湯料は390円。建物は和風な作りだが、内部はモダンな作り。広々とした浴室は大きな円型(ドーム型)で、内風呂も円型のものが2つある。適温のお湯はぬるすべ系で、ちょっと塩気がある。露天風呂はひのき製の円型と、岩風呂風の2種類。内風呂、露天風呂ともゆったりくつろげる。
外に出ると、相変わらず小雨がパラついている。時間は午後2時40分を過ぎたところ。県道655号線から国道10号線に戻り、国道10号線を別府方面に進む。あと2時間くらい時間があるので、最後に上陸時から気になっていた別府市内にある「競輪温泉」に向かうことにした。国道10号線を進み別府市内に入り、初日に入った浜田温泉の近くに目的地である「競輪温泉」がある。「競輪温泉」とは、その名のとおり別府競輪場内にある温泉なのだ。競輪場内に温泉があるのは、おそらく日本でここだけだろう。
競輪場の入口付近まで来たのだが、どこにあるのか見当がつかない。警備員の方に聞いたところ、正門を入ったところにあるという。正門から駐輪場に進むと、この日は競輪開催日だったらしく、平日にもかかわらずお客さんが多い。目指す温泉は場内の中心部付近にあった。中に入ろうとすると「お兄ちゃん、中にロッカーはあるけど、荷物盗まれないように注意したほうがいいよっ!」と入口近くにいたおじさんがアドバイスをくれた。ちょっと物騒な感じだが、ここまで来て引き下がるわけにはいかない。通常は入湯料100円だが、競輪開催日は午前7時から午後5時まで無料とのこと。浴室、湯船ともこじんまりしているにもかかわらず、お湯は無色透明で熱め。無料のためか、とにかくひっきりなしにお客さんが入ってくる。ちょっとゆっくりしにくい。まさに競輪後にひと風呂浴びる感覚なのだろう。
数ある別府温泉の中でも特にユニークな「競輪温泉」に入ったところで、別府観光港に向かう。受付で乗船手続きを済ませて、まだ乗船まで時間があるので、あと1湯だけ入ることにした。最後に入ったのは、港から徒歩圏内にある「わくわく温泉かっぱの湯」。入湯料は390円。ここは24時間営業で、どちらかと言えば宿泊できる健康ランドのような作りとなっている。内風呂は複数あり、お湯は熱め。露天風呂もあり、こちらのお湯もちょっと熱めとなっている。港から近いので、乗船まで時間があったり、朝到着してひと休みしたい時に便利だ。