東北六県ROLLER

こちら岩手県久慈市にも桜が花咲く季節になりました!
おれは残りの人生であと何回この桜が咲き誇り、潔く散り行く景色を見られるかなー。
年齢を重ねるごとに桜が綺麗に見えるのが嬉しい春です!
『泣きなーさぁいぃ~笑いーなさぁーい、いつの日か、いつの日か、花を咲かそうよ』
しょうきち先輩の『花』をヘルメットソングに鉄馬で駆けたいなー
第28話「ベスト・オブ・ベスト」

 ライダースの中には心意気があります! そして、ライダースの上にはカットオフを羽織ります。おれらのカットオフは全て同級生の『タカ』の製作です。タカは器用でセンスが良く、走らせてもカッコいい同級生です。

 生まれた時からカットオフなんて着ていないけど、原付を転がして膝スリしてた仲間でトレーナーを揃えて着ていました。走り屋もどきです。原付から自動二輪にレベルアップする17歳の時にタカが、『キリンって知ってるか? カッコ良くてよー。おれらもカットオフにすんべ!』ってキリンを見せてくれました。

 タカは看板を全て一人で手描きして仲間5人に渡してくれました。おれの看板もタカの手描きで、17歳でこの看板を身に付けてから39歳の今日まで一度も洗濯したことがありません! タカに申し訳なくて洗えないし、雨で洗濯されてっからいーべって。おれの自慢の22年間洗濯してないカットオフは他人から見たら汚ないかもしれないけど、おれに言わせれば何台も鉄馬は変わっても、どんなに歳を重ねても、このカットオフだけはいつも同じだ! って誇りはあります!

 10代は転んでも転んでも走っていました。とにかく走るのが楽しかった。20代は合計3回、事故で救急車に搬送されました。30代は肩の力が抜け出した走りが出来たかな? なんて思っていたら東日本大震災の影響で、震災から4年はおそらく1万キロも走行していません。今年迎える40代はどんな鉄馬ライフなんだろ?

 カットオフはバイクに乗らない人間から見たら『歌舞伎者』に見えるかもしれません。でもおれのカットオフは17歳のタカが、少ないはずの小遣いからポスターカラーを買って手描きで仕上げた魂のこもった一着です。人に何を言われようがおれはこれからもタカのカットオフと共に鉄馬にて道を楽しみたいなー。

 おれらが高校生の時に見た大人のバイク乗りはカッコ良くて渋かった。おれも今年で40。衰えの魅力を醸し出して走り続けられれば最高だなーって。歳は食ったし、鉄馬も変わったし、結婚して息子も産まれたけど、17歳の頃の魂と、17歳のタカの製作したカットオフは変わっていないぜ!!!

 まずは越冬した鉄馬のオイル交換からおれの今年はスタートしました。22年間洗濯してないカットオフと共に今年も無事故で駆けたいなー。鉄馬鼓動快楽! バッテリーはビンビンだぜ!


カットオフ

デブ輪

福島県いわき市生まれ。
1975年式。岩手県久慈市在住。好きな食べ物『豚バラ肉』体重110キロ。
座右の銘『礼に始まり、礼に終わる』皆さん宜しくメカドックですっ!
デブ輪

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