毛野ブースカの湯巡りみしゅら〜ん 番外編:ホンダ400Xに乗ってみた!

●文・撮影─毛野ブースカ
●タイトルカット撮影─依田 麗
●取材協力─Honda:http://www.honda.co.jp/motor/

 事の発端は、担当者である編集部のAさんへのメールだった。

 「先日ご相談したジェベル250XCの件ですが、オーバーホールせずに、ニューマシンを導入する方向で進めています。以前、濱矢さんがレポートしたホンダ400Xが現状、最有力候補です」
 これを見たAさんから「いよいよ新車導入ですか! では、購入前に広報車に試乗してツーレポを書いていただけますか」

 普段、トイガンのメーカーサンプルを撃つことは日常茶飯事だが、バイクの広報車には乗ったことがなかった。憧れの広報車に乗れる。メールを見た瞬間、嬉しくてたまらなかった。しかし喜び半面、不安もよぎった。免許取得以来、200〜250ccのオフ車一筋だった私にとって、400ccのネイキッド/クロスオーバータイプはCB400の教習車以来。果たしてうまく乗れるのだろうか。でも、こんな機会は滅多にない。二つ返事でホンダから広報車を借りてもらい、レポートを引き受けることにした。

 期待と不安が入り混じる中、ついに広報車を借りる日がきた。当日は私らしく雨。ホンダの青山ショールームでAさんと待ち合わせてから、いよいよ現車とご対面。「おお、これが400Xか…」写真で見るよりもスタイリッシュで、思ったよりコンパクトでスリム。いろいろ注意を受けて「じゃあ、楽しんできてね!」と言い残してAさんは去っていった。エンジンをかけると静粛性にびっくり。比較対象である10万キロジェベルと比べてはいけないだろうが、これなら快適そうだ。

 ひとまず跨ってみると、やはり目線が高くて、シートポジションが楽で座りやすい。長距離でも余裕で走れそうな予感がした。足つきもよく、重心も低めで重さを感じない。着装していよいよ出発。クラッチはミートしやすく、ライダーは緊張からギクシャクしているが(笑)、バイクはギクシャクした感じはない。公道に出てスロットルをあけると、心地よいエンジン音とともにスムーズに加速した。渋谷の街中を走っただけでも、乗りやすさを即座に実感した。

 シフトタイミングはジェベルとまったく違った。250単気筒であるジェベルの感覚でシフトアップしたら、速度とギアが合っていない。「う〜ん、これが400なんだな…」シフトタイミングに関しては慣れが必要のようだ。今回は広報車を一週間ほど借りられるというので、往復400kmほどの日帰りツーリングと、都内での使い勝手をチェックしてみることにした。天気予報とにらめっこして、広報車を借りた翌日に日帰りツーリングを決行した。行き先は尾瀬・日光方面だ。

インプレッション1:尾瀬・日光日帰りツーリング

 出発当日の天気は曇り。尾瀬・日光方面は晴れの予報が出ていた。装備はすべてバックパックに収納して出発。往きは中央自動車道→圏央道→関越自動車道を通るルートを選択した。国道20号線を府中方面に走り、中央自動車道に進み、本線に合流しつつ加速する。エンジンはスロットルにリニアに反応し、一気に100km/h台へ。ウインドスクリーンのせいもあって安定感バツグン。目線も高くて周囲が確認しやすい。

「うひょ〜! ナニこれ、乗りやす〜い!」

 6速からの追い越しも楽々、ってこれは当たり前だろうが、250ccのオフ車の場合は大変。だから400Xの走行フィーリングは、私にとって別世界だ。

 圏央道に入っても流れに乗ってスムーズに進む。ジェベルだと左側車線番長(笑)だったが、400Xなら追い越し車線も走れる(って当たり前なんだよな…)。関越自動車道をしばらく走り、上里SAで休憩。123km走ったところで、燃料ゲージがひとつ減っていた。まだまだ余裕だが、実際の燃費が気になるところだ。シートポジションにも慣れてきて、お尻も痛くなく、ゆとりが出てきた。

 上里SAを出発し、ほどなくして雨がぱらついてきた。仕方なく停車してレインウエアを着て走行したが、伊香保辺りを過ぎたところで雨が止み、晴れ間が見えてきた。天気予報はバッチリだった。沼田ICで下車。ここまでトータル175km走行し、燃料ゲージが2つ減った。ということは、おおむね100kmで1ゲージ減るようだ。ここから一般道だが、ライダー、バイクともまだまだ余裕だ。

 国道120号線を走って日光・尾瀬方面に行く前に、関東でも屈指の人気を誇る群馬県利根郡川場村にある道の駅「川場田園プラザ」に寄り道。長閑な県道64号線を走っていると、まるでテーマパークのような道の駅が忽然と姿を現した。平日、しかも梅雨の合間となって人影はまばらだが、休日は多くの観光客で溢れかえるという。ここでふと目に入ったおにぎり屋「かわばんち」でおにぎり2個をゲット。ライダーへの燃料補給も完了。

 道の駅「川場田園プラザ」を出発し、県道64号線をそのまま尾瀬方面に走る。やがて県道は林道のようになり、ヒルクライム区間へと突入。こういう道は250ccオフ車が有利だが、400Xも負けてはない。トルクフルなエンジンなので無駄にシフトチェンジする必要がなくグイグイ走る。サスがちょっと硬めのせいか、ラフな路面だと車体がちょっと跳ね上がる感じだが、路面には追従してくれるので不安はない。シフトタイミングもだいぶ慣れてきた。

 ダウンヒル区間では不慣れなこともあってシフトタイミングが合わないことがあったが、コーナーでのバランスは取りやすい。峠を攻めるっていう感じではないが、不必要な緊張感は生じない。湯巡りしていると、こういう林道に遭遇することが多いので、400Xのコントローラブルなキャラクターは助かる。

 そうこうしているうちに国道120号線に合流。なだらかなカーブが続く道をスムーズに進む。国道120号線から尾瀬方面に向かう国道401号線に入り、尾瀬の入口付近にある「尾瀬温泉 尾瀬ぷらり館」に入湯(入湯料500円)。無色透明の硫黄臭のするお湯を独り占めしながら、ここまでの疲れを癒す。

 「尾瀬温泉 尾瀬ぷらり館」をあとにして、国道401号線を戻り、国道120号線を丸沼高原・金精峠方面に進む。ジェベルの感覚で走っていると、ついうっかりスピードを出しすぎてしまう。メーターを見やりながら、車道がやや狭く、コーナーが連続する道をひたすら走る。ジェベルよりも約50kg以上重量があるものの、重心位置が低いせいかそれを感じさせない。

 丸沼高原、金精峠を通過して日光湯元温泉に到着。静かな温泉街で共同浴場を探したが発見できなかったので、温泉街の奥にある日帰り入浴可能な「源泉 ゆの香」に入ることにした。入湯料は700円。和風作りの内風呂にはエメラルドグリーンの硫黄泉で満たされていた。小ぶりだが露天風呂も用意されており、やや熱めの硫黄泉が淡々と注がれている。色といい泉質といい、いかにも温泉らしい硫黄泉は何度入っても心地いい。

 日光湯元温泉でのんびりくつろいだ後、国道120号線を日光市方面に進む。やがて景勝地・戦場ヶ原が見えてきたので小休止。戦場ヶ原は小学校5年生の林間学校で訪れて以来だ。当日も小学生が記念撮影でたくさん訪れていた。

 戦場ヶ原から中禅寺湖と華厳の滝を見学しようと思ったが、進入ポイントに気づかずに通過してしまい見学できなかった(戻ろうと思ったが、いろは坂が一方通行であることに今さら気づき、戻れなかった)。有名ないろは坂に入り、ノロノロ運転の中、ギアの選択に迷ったが、それほどストレスを感じなかった。

 いろは坂を通過して、いよいよ日光東照宮を見学。駐車場にバイクを置いて、徒歩で日光東照宮内に入ると、外国人観光客が目立つ。有名な三猿や眠り猫を見ていると、気分はまるで社会科見学。普段ツーリングで訪れることはないが、たまには楽しいものだ。

 日光東照宮を見学したところで、今回の見学ポイントは制覇。あとは帰京するだけだが、あと2湯くらいは温泉に入って帰りたかった。スマホで検索したところ、JR日光駅前に「駅スパ」というのがあるので入ってみることにした。国道120号線を走ってJR日光駅に向かい、駅前にある「日光ステーションホテルクラシック」内に駅スパはあった。入湯料は700円。浴室はヨーロッパ風の外観に即したモダンな作り。しかし、大きな円形の露天風呂は和風作り。お湯は無色透明で、湯疲れしない優しい肌触り。駅前にあるにもかかわらず静かで、ゆったり入れる。

 
 駅スパに入った後に、ここまで293km走って燃費が気になったので給油してみたところ、9リッターちょっとしか減っていなかった。燃費はリッター32km。老兵ジェベルよりもいい。う〜ん、最新400X恐るべし。

 給油後は国道120号線、国道119号線を走って宇都宮市内に向かう。途中、日光の杉並木の中で撮影すべく旧道内へ。旧道は車の往来がほとんどなく、道に沿って立つ杉並木を眺められる。宇都宮インターから東北自動車道に入る前に、道の駅うつのみや・ろまんちっく村内にある「湯処あぐり」に入って本日の湯巡りを締めることに。入湯料は510円。夕方のせいか地元の方がたくさん訪れていた。館内だけではなく浴室、内風呂、そして露天風呂も広々としている。お湯は無色透明で、すっきりとした肌触り。今日一日の疲れを癒すにはちょうどいい。

 外に出ると日が暮れていた。ここからは東北自動車道を通って都内に戻る。相変わらず高速走行は安定している。ジェベルに比べると、ライトの明るさがちょっと足りないような気がするが、問題にするほどではない。途中、江戸に町並みが再現された「鬼平江戸処」が出来たことで有名な羽生PAでたい焼きを食べて小休止。東北自動車道から首都高速道路に入っても、車の流れに即して安定したライディングできた。

 自宅に到着したのは午後8時40分。トータルで473km走行してしまった。燃料は約15リットル消費し、燃費はリッター約31kmとなった。お尻も痛くならず、とても快適だった。日帰りツーリングでの採点は、文句なしの100点満点だ。



川場田園プラザ
最初に訪れたのが、群馬県利根郡川場村にある道の駅「川場田園プラザ」。施設が充実しており、道の駅というよりもテーマーパークみたいだ。

かわばんち
道の駅内にある「かわばんち」というおにぎり屋さんで、かぐら味噌としゃけのおにぎりを購入。1個250円なり。地元産の「雪ほたか」というお米が使われており、味は絶品。

奇跡的に晴れた
梅雨時期にもかかわらず、この日は奇跡的に晴れた。気温もそれほど高くなく、ツーリングには最高だった。

尾瀬温泉 尾瀬ぷらり館
尾瀬の入口にある「尾瀬温泉 尾瀬ぷらり館」に入湯。シーズンにもかかわらず人が少なく、ゆったり入れた。

高原の駅 丸沼
国道120号線を走って一路日光へ。途中立ち寄った「高原の駅 丸沼」。400Xはワインディングロードでも扱いやすく、運転しやすい。

源泉 ゆの香
第2湯目は日光元湯温泉の源泉に近い場所にある「源泉 ゆの香」をチョイス。入湯料は700円だった。

源泉 ゆの香
内風呂、露天風呂ともにエメラルドグリーンの硫黄泉がたっぷり注がれている。なかなかいい湯だった。

戦場ヶ原

戦場ヶ原
日光の観光名勝として知られる戦場ヶ原。小学校5年生の林間学校で、雨の中をハイキングしたシーンを思い出す。 戦場ヶ原の記念撮影ポイントで、小学生に混じって撮影。400Xはツーリングシーンが似合うバイクだ。

日光東照宮

眠り猫
日光と言えば日光東照宮。ツーリングや社会科見学の定番ポイントだ。平日にもかかわらず多くの観光客が訪れていた。 日光東照宮と言えば「眠り猫」も日光東照宮に来たら見ておきたい。近くで見るとなかなか可愛らしい。学だ。

見ざる 言わざる 聞かざる

駅スパ
日光東照宮と言えば「見ざる 言わざる 聞かざる」で知られる三猿像が有名。気分はさながら社会科見学。 JR日光駅前にある「日光ステーションホテルクラシック」内にある駅スパに立ち寄ってみた。国道120号線からもアクセスしやすい場所にある。

日光街道の杉並木

湯処あぐり
往時の雰囲気を残す国道120号線の旧道(日光街道)の杉並木。何とも風情がある 道の駅うつのみや・ろまんちっく村内にある「湯処あぐり」。夕方だったため、道の駅はほとんど閉店していたので、今度来る時は昼間に来よう。

特製佐野ラーメン

羽生PA
東北自動車道・佐野SAで大きなチャーシューがトッピングされた「特製佐野ラーメン」(770円)を食す。佐野ラーメンは是非とも味わいたい。 最後に立ち寄った羽生PA。「鬼平江戸処」という江戸に町並みが再現されている。建物だけではなくグルメも充実している。

インプレッション2:都内での使い勝手

 尾瀬・日光へ日帰りツーリングに行った数日後に、今度は都内を巡ってみた。新宿から日比谷、銀座を通ってお台場に向かい、そこから銀座方面に戻って東京駅、秋葉原というルートだ。この日は土曜日だったため交通量は少なめで、さほど渋滞はしていなかったが、地方の国道や県道に比べればノロノロ運転だ。

 都内を巡って思ったのは車体のコンパクトさ、つまり取り回しがしやすいということだ。つまりライダーに不必要なストレスがかからない。原付スクーターのような「ゲタ」的な感覚までは至らないが、ちょっと近所に買い物に行こうかなというシチュエーションでも億劫にならない。高めのハンドルは、ノロノロ運転中でもライディングポジションをキープしやすい。オフ車のように目線も高いため、交通状況が把握しやすい。ツーリングでも有効なキャラクターは、都内でも有効だ。

 気になった点といえば、ギアの選択だろうか。私は通勤でバイクを使うのだが、渋滞やノロノロ運転のシチュエーションではジェベルのほうが扱いやすい。これは単純にそのバイクが得意とする速度域の違いにあると思う。なので400Xだと、都内における日中の交通状況の中でどのギアで、どのくらいエンジンを回せば適切なのか、今回の試乗だけでは掴めなかった。これは慣れの問題だろう。実際には2〜4速だけで十分対応できた。

 装備で気になったことは、いわゆる昔ながらのヘルメットホルダーが標準装備されていないことだ。最近多いワイヤーを使うタイプは標準装備されているのだが、使い慣れていないこともあって一手間かかってしまう。また、400Xはリアキャリアは装備されておらず、タンデムグリップの左右に荷かけフックがあり、それを利用して荷物を固定する。リアがフラットなので荷物は載せやすいが、私が普段使っているJ字型フックつきコードをかけようとしたが、なかなか固定できなかった。もし荷かけフックを活用する場合は、輪型フックのコードを使うか、フックにコードをかけるようにして固定しよう。


400X

400X

400X
ツーリングでの乗りやすさを考慮して、ウインドスクリーンが標準装備され、ハンドルは高めのポジション。ミドルカウル仕様でなかなかカッコいい。 取り回しやすいスリムな車体。クロスオーバーというコンセプトらしく運転ポジションはオフ車のようで、目線は高い。 エンジンは400ccの直列2気筒。燃費は都内、高速、地方の道路を含めてトータルで約30リッター前後だった。

400X

400X

400X
シートは前後一体型で長時間座っても疲れにくい。後ろはフラットなので荷物などが載せやすくなっている。 気になったのがタンデムグリップ下部に付属する荷かけフック。下方に向けてテーパー形状になっており、J字型のフックでは引っ掛けられなかった。 容量32リッターのバッグを載せてみたところ。横向きに載せるのは少々厳しい。1泊2日程度の荷物なら載せられそうだ。

歌舞伎座

東京ゲートブリッジ

秋葉原
リニューアルされた歌舞伎座の前でパチリ。400Xは都会のシチュエーションでもすんなりと溶け込むデザインだ。 お台場から東京港臨海道路を通り、変わった形をした東京ゲートブリッジを渡ったところ。遠くに東京ゲートブリッジが見える。 最近はエアガンショップが増えて、仕事柄行く機会が増えた秋葉原。いつ来ても通りは人で溢れかえっている。

1週間乗ってみて。

ホンダ400X

 1週間弱にわたり、地方、都内含めて合計で500km以上ホンダ400Xに乗ってみた。乗ってみた率直な感想は「乗りやすい」の一言。クロスオーバーというコンセプトどおり、ライディングポジション、エンジンの特性どちらもワイドレンジで扱いやすいようにデザインかつセッティングされており、オフ車一辺倒だった私でも無理なく乗れた。400ccという排気量とサイズ感は、日常でも扱いやすい。

 そして燃費のよさにも驚いた。ジェベルと同じかそれ以上の数値が出せる。おまけに高速巡航も楽にこなせる。17リットルのタンクや標準装備されるウインドスクリーン、前後一体型シートとあいまって、長距離ツーリングの強い味方だ。

 ツーリング前提だと、ノーマルのままでキャンプ用品などの荷物を載せるのは正直厳しい。オプションでラインアップされているトップケースやパニアケース、あるいは社外品のリアキャリアは必須だ。それらを装着すれば完璧なツーリングマシンになる。

 250ccでは物足りない、でもリッターバイクでは持て余してしまう、ツーリングだけではなく通勤でも乗りたい…そんなオールマイティーなキャラクターを求めている方に、ホンダ400Xは選択肢のひとつに加えてもいいのではないだろうか。特にリターンライダーの方や、私のようなアラフォー、アラフィフのライダーにはうってつけだと思う。



ブースカ

 今回の試乗を経て、ホンダ400Xの購入熱が一気に高まってしまった。完全に熱病に冒されてしまった。果たして購入なるかどうか。その答えは、次回の湯巡りみしゅら〜んをお楽しみに(笑)。


[第49回へ][スペシャル編][第50回へ]
[湯巡りみしゅら〜んバックナンバー目次へ]
[バックナンバー目次へへ]