Hi-Compression Column

BIKE好いとっちゃん!!

(2010.9.7更新しました)

北海道ツーリング

北海道と言えば、誰でも一度は車やバイク、自転車で走ってみたいって思うのではないでしょうか?

まぁ、でも今の若い人は(ワタシはババァか)運転そのものに興味を持たない人が増えているらしいし、北海道行くよりも海外旅行の方が安いから、やっぱ外国に行くんだろうなぁ~。

ワタシはと言えば、テレビの深夜映画でたまたまやっていた、「駅 Station」と言う、高倉健さん主演の映画を初めて見たとき、北海道の広さ、極寒の真冬の厳しさ、そして短い夏の美しさを感じて、強烈に北海道への憧れを強くしていました。 いつかは絶対にバイクで走りたいって思っていたんです。

そもそも九州の狭い山の中の町育ちだしね。

でも、それを実現させることができず、その後上京したこともあり、ただ生活をこなすだけで月日が過ぎていったんです。

ある年の秋のこと、たまたまそのとき、実家に戻っていたんですが、ベッドで寝ていたらT先生が夢の中に出てきたんです。

実はその頃ある雑誌にマンガの連載を持っていまして、T先生とはそのマンガの原作を書いてくださっている方なのです。

そしてワタシに向かってこんなことをおっしゃったのです。

「ワタシがあのときあなたのことを選んだのは、あなたならやってくれると思ったからなんですよ、これからもがんばってくださいね」

目が覚めたあと、へんな夢を見たなぁ~、なんて思ってたんですが、ただの夢だし、そのことはすっかり忘れていたんですよ。

ところがその日の昼過ぎ、東京の担当さんから電話があり、T先生が亡くなったと聞かされたんです。58歳という若すぎる死でした。

優しくて律儀な方だったのですが、まさか死んでからも挨拶に来られるなんて……。

ワタシがやらせてもらっていた連載は、当初3人の候補がいたそうなんです。

その中から、T先生はワタシの絵柄を見て、「この人でいきましょう」と選んでくださっていたんですよ。

ワタシの恩人なんですよ。

その先生の突然の死には本当に驚かされ、東京に戻ってからも本当に泣きました。

次の年の5月末、ワタシは茨城県の大洗港にいました。苫小牧行きのフェリーに乗るためです。

私以外には2~3人しかバイク乗りはいませんでした。まだ時期が早いからでしょう

T先生の葬儀は身内だけでひっそりと行われ、その後「お別れ会」という形でさよならをしていました。

でも、なにかそれだけでは、先生のご恩に対して、物足りないような気もしていたんです。

だから、先生のご出身地である、北海道は根室市まで足を運んで、そこでお礼をしようと思ったんです。

長年の夢であった北海道ツーリングがまさかこんな形で叶うことになろうとは……人生とは皮肉なもんですよ。

約20時間の船旅を終え、苫小牧に着いたのは夜でした。

その日は駅前のビジネスホテルに宿泊し、次の日の早朝から、憧れの大地を疾走します。

苫小牧から日高、帯広……。建物の形も九州とは違うし、風も気持ちいいし、まだ山には雪が残っているし、わくわくしながらアクセルを開けます。

MAP

驚いたのは、あっちこっちに昔の蒸気機関車の残骸が放置してあることでした。

錆びてボロボロになったSLがホントにそのへんにころがっているんですよ。

MAP

「鉄子」のワタシなので、バシバシ写真撮りまくりでした。

帯広を過ぎたあたりで一泊し、翌日朝から出発。そして昼過ぎ、ようやく根室へ到着です。

今夜の宿を確保しておき、根室の町を散策してみます。

街自体は 大きく、活気もあります。でもロシア系だろう白人がたくさん歩いているし、街割や建物をみていると、雰囲気は「地の果てまできたんだなぁ~」って感じでした。

ここまで来て言うのも何なんですが、実はワタシ、先生のご実家の住所とかはまったくわからないのです。

ただ根室出身ということだけは知っていて。

だから夜、ホテルの部屋の中でビールを注ぎ、夜空に向かって、「先生どうもありがとうございました。どうぞ安らかにお眠りください」って手を合わせるだけでした。

、夜空に向かって手を合わせました

休みがあまり取れず、駆け足の旅だったのですが、本当に忘れられないツーリングになりました。

納沙布岬を回り、弟子屈から阿寒湖、そして松山千春の地元、足寄。

襟裳岬の強風を体感できる資料館にも行ったし、楽しかった。

今、思い返してもムチャクチャ楽しい旅でありました。

あの楽しかった北海道ツーリングから、もう10年がたちます。

「今年こそはまた北海道に行くぞぉ~!!」なんて思いつつも、あっという間に夏が過ぎていきました。 (おしまい)

今、思い返してもムチャクチャ楽しい旅でありました

ルリカミドリ
ルリカミドリ
九州、福岡出身のバイク大好き娘。 かなり無理してCB1300SFに乗っていたが15回目の立ちゴケを機に、 昔乗っていたCB400SFに乗り換え、 ヒマさえあれば旅をしているOL兼漫画家。

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