Hi-Compression Column

ゆきゆきて道祖神


  ★アフリカ大陸(オンボロ)バスの旅  (その1)


5~6年前の話、南アフリカのヨハネスブルクからケニアのナイロビまで、往復約2万キロを車で旅行したことがある。

車は8年落ちの中古・南アフリカ製ワーゲンのミニバス。

このモノガタリはこのオンボロバスで(後でイヤというほど知ることになるのだが、超が付くオンボロ車だったのだ!)南部アフリカ、東アフリカを旅した男性4名、女性4名の、涙ナシには語れない“行き当たりばったり出たとこ勝負・オンボロバスの旅”の話です。

なぜこんな無謀なツアーを作ったか?

ガイドも道案内も付けず、車のメカもたいして解らないまま、8カ国に渡る往復2万キロのアフリカのデコボコ道を、何も知らない参加者を乗せたまま、走りきれるのだろうか……?

元を正せば、然る有名な作家T氏のアフリカ縦断バイク旅のサポートカーとして、単に南アフリカで購入した車をケニアに送る、 という仕事を請け負ったのがコトの始まり。

ヨハネスブルグで準備したミニバスをケニアまで陸送し、西アフリカから飛んでくるT氏のグループを待ち受けミニバスを渡す。 スタッフはこのミニバスを運転し、喜望岬を目指すという計画だ。

予算の関係でこの1万キロ、8カ国を通過する1ヶ月に及ぶ陸送に参加者を集い、掛かる費用、ガソリン代や保険代などを皆で割り勘にすれば、かなりコストの安い陸送になるはずだった。

片道の陸送、運転は私がやればいい……と気楽に考えていた。

当時ヨハネスブルグの駐在員はYさん。早速そのYさんに希望の車種を伝え、なるべく安く程度の良いミニバスを探して欲しいと依頼した。

ところがコレが大きな間違いの始まりだったのだ。

最低1ヶ月は掛かると思っていた車探しだが、なんとメールを送った2、3日後にYさんから「新聞の個人売買欄に載っていた車を見に行ったら、年式も比較的新しく程度も良く、街の中古車屋の相場より2~3割は安いので、この車でどうだろう!? 南アフリカ製のワーゲンのミニバス、7人乗り!」と返信があった。

Yさんは30年近く車に乗り続けているベテランドライバーだ。アフリカ駐在も既に7年を越えている。車を見る目は確かだろう……とそのときは思っていた。

でも一応「タイヤとか、イスとかは大丈夫?」とメールした。

返事はすぐに来た。「タイヤもハンドル、イスもちゃんと付いているよ」と。

売り手の中国人(実はここが怪しいのだが)も、問い合わせが一杯来ているので早く決めてほしいそうだ。

この仕事が終わったら、この車はYさんの社用車になる予定だし、程度も良い(?)とのコトなので購入を決めてもらった。

代金を支払い、パスポートのコピーを送り私の名義に変更してもらい、カルネ(無税通行手帳)を申請し、全ての準備が完了した。

ガーデンルートの町

たぶんほとんどの人が持っているアフリカの町のイメージとは異なるであろう、ガーデンルートの町。

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ガーデンルートの風景たぶんほとんどの人が持っているアフリカの風景イメージとは異なるであろう、ガーデンルート近くの風景。


と、そこで作家のT氏から“事情によりツアーを1年延期する。”と驚きの連絡が入った。

「エェーッ」と思わず声が出た。

車の手配はT氏の了解の下進めていたことなので最低限の費用は支払ってもらうことが出来るが、いまさらツアーをキャンセルは出来ない。既に知人を中心に参加者も決まっている。

どうしよう……

やむなく当時社長のKに相談すると、「ケニアからの帰りも、参加者を集めて、またお前がまた運転してくるしかないんじゃないか……」

「でも……3ヶ月近く掛かりますよ」

「いいな~楽しそうで」

「毎日自炊、キャンプの予定なんですけど……」

「……うらやましいな~」

「………………」

出発まで後2週間ほどしかない!宣伝などしているヒマもない。

毎晩ヒマそうな旅仲間(お客さんです)に電話をし
「……こんな行き当たりばったりのキャンプツアーなんだけど……一緒に行かない?気に入った場所では何日か滞在しちゃって……キット楽しいと思うけど。基本料金は○○で、後は全部現地払い、食事も基本的には自炊。まぁ~適当に食堂とかにも入るつもりだけど、エッ、運転手? オレ、ガイドも兼任。エへへ……」

などとイイカゲンな話をしているうちに、アッという間に復路のバス旅も満員になってしまった。

なんとメンバーのうち2名は往復することになった。

(続く)

 

喜望峰たぶんほとんどの人が持っているイメージを越えるであろう、有名な喜望峰。


       
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