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HERO‘S 大神 龍
■Page.02 4月第一週 京都・笠置キャンプ場
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4月の第一週目、オレは京都を訪れていた。京都と言っても市内ではない。京都と奈良の県境付近に位置する笠置キャンプ場だ。
大阪市内から167号を経由して現地に向かったのだがちょうど花見シーズン真っ盛りということでやたらと交通量が多い。途中途中の公園などではヒドイ渋滞が起きていた。
で、辿り着いた笠置キャンプ場はというと……ここもモロに花見スポット。正午近くに到着してみるとすでに一般の花見客で溢れかえっていた。
まぁ、この時の集まりは大阪のオークボ君の呼びかけで花見をしようということでやって来たわけで花見のスポットである事に異を唱えるつもりはまったくないのだが、ここまで多くの花見客で賑わう人気のスポットを選ぶ事もなかろう。
おまけに途中のコンビニで出くわした大阪のフクちゃん以外は誰も来ていないし。
このキャンプ場はオレも気に入ってる所なのだがこれほど多くの一般客で賑わう中、利用した事がないのでちょっとした違和感を覚えてしまった。
しかし、オレはこの後、ここで予想もしなかった人物との再会を果たす事となる。川よりのサイトにテントを張りくつろいでいると今回言いだしっぺのオークボ君がやってきた。その後も関西圏を中心にしたバイク乗りが次々と。
そんな中、がんじーは笠置駅がキャンプ場のすぐ近くにあるのをいい事に電車での現地入り。新幹線、在来線と呑みっぱなしの道中だったらしい。
オレ達以外にもここを利用するバイク乗りは多い。咲き誇る桜には目もくれず昼間から呑みまくるオレ達を横目にBMW,ハーレーと言ったマシンがキャンプ場を横切っていく。そんな中でW650が一台、オレ達の目の前で止まった。
バイクの主はメットのシールドを開けオレに向かって「ヒーローズだよね?」と語りかけてきた。誰だ?W650でGT-Rをチギッてしまうイカレ野郎をオレは1人知っているがどう考えてもヤツではない。
誰?とオレが聞き返す前に彼は興奮した口調で「ベンです。ベン」と。
8年前の記憶が鮮明に甦る。
かつてエイプで全国を放浪中、沖縄の那覇港で石垣行きのフェリーを待っている時、恐る恐るオレに話しかけてきたのが彼だった。
彼はまだ大学生でカブでの日本一周中で石垣島から西表島までの1週間近くを同じキャンプ場で過ごした。それがまさかこんな所で再会するとは。ベンちゃんは先ほど通り過ぎたBMWのグループと知り合いで誘われてきたらしい。
いったん、そのグループに合流した後、日が暮れてからオレ達の所に酒を持ってやってきた。積もる話は山ほどある。
当時、学生だった彼も今では結婚して立派な家庭を築いたようだ。オレがミスターに登場するようになってからはちゃんとチェックしていてくれたらしいのだが……地元のバイク仲間にオレの記事を見せながら「この人、知り合いだよ」と言うと「この人、ヤバイから関わらない方がいいよ」と真剣にアドバイスされたらしい。
一体、オレはどういったイメージで見られているんだ!?
神奈川在住のベンちゃんは割りと近くに住んでいるがんじーと意気投合して連絡先を教えあい地元で呑む約束なんかをしている。オレとベンちゃんの出会いが8年の時を経て枝分かれし、新たな方向へ繋がっていく。
この面白さ、経験のない者にはわかるまい。そんなサプライズを交えながらオレ達の花を見ない花見宴会は深夜遅くまで続いていった。
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