- HERO‘S 大神 龍
(2010.11.22更新)※写真をクリックすると大きくなります。
気管支炎喘息。
ガキの頃、オレはこの病を患い死にかけた事があるそうだ。
それがある時、奇跡的に治まりその後、オレは現在に至るまで常人離れした健康体を維持し続けていたのだが30年を超える沈黙を破りそれは再びオレに襲いかかってきた。
時期は10月に入ったところでちょうどタバコが大幅に値上げされたばかり。
これは何かのお告げか!?
そんな事を考えつつも当然、タバコなど意志に関係なく体が受け付けず強制的な禁煙の日々が続いた。
そして時は待ってはくれない。
症状がまったく治まる気配を見せぬままにオレは出発の日を向かえる事となる。行き先は東北福島“狂宴”。祭日が絡んだ3連休。
当然予想される渋滞を考慮して前夜にスタートしたのだが天候は雨。まったくツイていない。
おまけにバイクで走っている時にはいくらか治まりを見せている気管支炎の症状も途中、停まって仮眠を取ろうと横になろうものならその鎌首を擡げてオレを呼吸困難に陥れる。
結果、オレは一睡もする事ができずバイクを走らせる事を余儀なくされた。
身体は疲れ果てて眠りたいのに眠れない。この辛さは半端ではない。
そんな最悪な体調で片道10000キロを越える距離を走ろうなどと思い立つ自分のバカさ加減に呆れかえる一方で「それでこそオレ!」と賞賛する自分がいる。
まったく実際の所はこっちの病気の方がかなり深刻な問題だ。
北陸道から磐越道を経由して東北道へ。二本松ICを降り、狂宴会場となる村民の森あいの沢を目指す。
雨は一向にやむ気配をみせない。今回は野宿宴ではない。施設内にある古民家を借り切っての宴会となる。
夕方近くに会場に着くとすでに何台かのバイクが建物の前に並んでいた。その後も関東、上信越、東北を中心にしたツワモノバイク乗りが次々にやって来た。
そのどれもが見知った顔だ。そんなやつらと乾杯しながら早々に呑んだくれるオレだが……すっかり日が暮れた頃、またしても気管支炎の症状が出始めた。咳き込み始めると止まらない。
しばらくの間、席を外しなんとか呼吸を整えようと務めるがこれがなかなかに治まらない。
そんな折、降り続く雨の中、到着した星野氏らが風呂に行くと言うのでオレも同行した。湯船に浸かり体を温めるとその症状は一気に軽くなった。
宴会場に戻り仕切りなおしだ。
どれくらい呑んだのか、いつ寝たのかなど今となってはまるで覚えていないがこの夜は咳き込む事もなくオレは貴重な睡眠を手に入れる事ができた。
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