- HERO‘S 大神 龍
(2011.6.1更新)※写真をクリックすると大きくなります。
はじめに今回の旅のプランを簡単に説明しておこう。
コースは岡山~愛知~大分~岩国、そして帰宅。全行程、2000キロ。マシンはエイプ。
別にウケを狙ってこんなプランをたてたわけではない。いや、正直に言ってしまえばそれも多少はある。
だが一番大きな理由としてはお金の問題だ。
5月後半に予定しているロングランに備えてここで散財できないというオレの状況が足となるマシンとしてエイプを選択させた。
他のマシンに比べて別格とも言える経済性を過去にも見せつけてきたエイプだが乗り手にはかなりの負荷がかかる。それでも・・・まぁ、たまにはいいだろう。
このところ、オレはマシン的にラクをし過ぎた(トラブル続きで実際はラクな訳ではなかったのだが)。
旅において“冒険”と言うキーワードは外せない。
スタート時、メンテナンス不足が少し気にはなったがそんなオレの不安な気持ちをよそにエイプは相変わらずのポテンシャルを見せつける。
過積載気味でありながら最高速100キロオーバー。そして姫路を過ぎた所で1回目の給油。走行距離約150キロに対して給油量2.7リッター。1リッターあたりの燃費50キロ越え。スバラシイ!!
最初の目的地は番頭さん主催の星空ナイト。開催地は愛知県北の桃太郎神社。
頑張って走れば一日で行けない事もないが本祭は翌日と言う事で無理して走るようなアホなマネはしない。この日は無難に琵琶湖辺りで一泊する事にした。
牧キャンプ場付近の湖畔に入り込むとテントが一つ、その横にはカブ。テントの前に座っているカブの主は特に旅人という感じでもバイク乗りという雰囲気でもない。
どこにでもいるオジサンとでも言おうか。他に人気もなくせっかくなので「ご一緒させてもらってもよろしいか?」と声をかけると快く応じてくれた。
訊くと長野県の諏訪からこのGWに大阪の友人に会いに行く途中なのだと言う。
長野で農業を営んでいるという彼が乗ってきたカブは50ccで普段、仕事や日常の足に使っているものらしい。
それを裏付けるようにキャリアには農作物収穫用の大きなカゴが付いている。そのカゴにテント、寝袋を積み込んでの旅の道中だ。
走る距離を考えたら旅慣れたオレの目から見ても結構、無謀に思えるのだがそんな事を思い立った理由を尋ねると「なんとなく」と一言。
オモシロイ!
普段、まるで違う世界で生きている者同士でありながらオレ達は焚き火を前に深夜遅くまで飽きる事無く語り合う事となる。
退屈であろうと思われた途中泊は一転しオレの旅の初日は嬉しい誤算から始まった。
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