- HERO‘S 大神 龍
(2011.7.29更新)※写真をクリックすると大きくなります。
2年前、島根のバック・ジャパンミーティングである事件が起きた。その時、参加していたばってん君というハーレー乗りがこのオレと大激論の末、取っ組み合いを演じ、その結果、入院してしまったと言うアレだ。そして今年のバック・ジャパン。同じ時期、同じ場所でオレはそのばってん君と顔をつき合わせる事となった。だがそれは決して険悪なものではなく友好的なものとして再会だ。
2年ぶりに会った彼は以前よりふっくらとした面持ちでオレの前に姿を現した。あの時の事はあの時の事として後腐れる事無くその場で決着のついていた事でもあるし、互い大人げなかったなと今では笑い話として受け入れている。
この日も当時の事を語りながら他の参加者も交えて呑んでいたのだがその中で当時、明かされる事のなかった事実が発覚した。今にして思えばあんな些細な事でなぜ彼はあれほどまでに激しくオレに喰ってかかってきたのかという疑問が湧いてくる。
この日、ばってん君が語ってくれた内容によるとその時の参加者の一人が彼と一緒に来ていた仲間のマシンにケチをつけるような発言をしていたのだと言う。
その参加者はこのオレもよく知った人物である。だから庇うというわけではないがおそらく彼は決して悪気があったわけではなく冗談のつもりでそんな発言をしたのではないかと思う。だがその時、初対面であった彼らにそれが冗談と通じるはずもなく単純に愛機をけなされたと受け取ったのだろう。
そしてそれに対するフォローもないままに宴のピークを迎え、誰も彼もがかなり酔いのまわった頃、ノコノコと現れたオレをそいつと取り違えたというのが真相だそうな。
オレにしてみればいいとばっちりという訳だがばってん君はさらにそのオレからのはねっ返りをモロに喰らって入院したという事になる。まぁ今となってはいい笑い話で楽しいだけのネタではあるが・・・
やはり言葉というのはニュアンス一つでとんでもない誤解を招くものなのだなと実感させられたよ。軽はずみな発言は軽はずみな行動とまったく同じという事だ。
そうは言ってもそれぞれにプライドを引っさげたアツいバイク乗り同士で酒が入ると仕方がないって部分もあるんですがね。この日は特にそんな事もなく少しだけ理解が深まった者同士のまったりとした一夜となった。
まったりと呑んだ翌週はどっさりである。
風神祭。2年に一度の開催でミーティングとしては完全にプライベートでありながら100人越えの参加者を集めるバイク乗りのお祭だ。
開催地は広島のほぼド真ん中に位置するキャンプ場。このところ長距離走の多かったオレにとっては超近場での集会となる。この日は奇しくも高速道路ETC休日特別割引最後の日。遠方の人間にとっては長距離を格安の料金で高速移動できる最後のチャンスということで相当数の参加が予想されていた。
そんな中、オレはというと自宅から会場まで100キロにも満たない距離ではそんな事は関係ないとばかりに開催地とは反対方向へ数十キロ離れた友人宅で前日に前夜祭モドキをこなす余裕っぷりである。しかもマシンはホーネット900。愛知や山形にエイプやシェルパを駆り出しておきながらマシンの選択がおかしくねぇか?と言われそうだが今回は場所とか時間といった状況を抜きにしてコイツで走りたい気分だったのだよ。
本祭当日、朝方に降っていた雨が止むのを待ってスタートし、昼を過ぎた頃にのんびりと会場入り。この時点で数十名のバイク乗りがすでに集まって来ていた。
しかもそれから日が暮れる頃にかけて数珠繋ぎ式に切れ目なくバイクがやって来る。たちまち二輪駐車スペースは満車状態でキャンプ場は満員御礼。集まったバイクのナンバーは九州から関東まで様々で挙句には会津、福島、宮城といった震災被災地からの有り得ないナンバーまでいる始末だ。
そして夕暮れ時、主催である広島の風神ことコウタンの音頭で乾杯。まぁ2年前の前回もそうだったが・・・グジャグジャである。毎回、メインの酒席となる東屋はもちろんの事、今回それとは別に設けられたイベント用の大型テントの下にも人は溢れかえって入りきらないといった有様だ。
次々に差し出される酒に乾杯の嵐が昼間から夜にかけて延々と続いている。まさしくお祭である。参加してる面子もとにかく個性派ぞろいで先週、会ったヤツから数年ぶりという再会まで色々。最近、雑誌で見かけたバイク乗りもいる。
そして意外に多かった初対面。まったく持って退屈はしない。しかし・・・あまりに人が多すぎてその一人一人とゆっくり話し込むという事がなかなかできない。じゃぁどうするか?ということになると次回の風神祭で、または次はどこそこの集会でという事になる。まぁ中には一睡もする事無く朝まで語り明かした者もいたみたいですが・・・。
翌朝、怒涛のように集まったバイク乗りが散り散りに帰路につく中、オレは数名の仲間と昼食に学校給食を食べるため、岡山県北の久世へ向かった。
いい歳をぶっこいたバイク乗りが給食を食いにとはどういうことか?と疑問に思う人もいるだろう。実際の所、オレも詳しい事まではよく分かっていない。このツーリングの主催となるマッツンから聞いた話だと久世にある古い小学校の校舎で昔ながらの学校給食を食べさせてくれるという催しが期間限定で行われているのだという。
どういうわけかこのネタに対する喰い付きがよく、結果、大宴会の翌日でありながら10名ほどでの久世まで高速ETC特別割引爆走ラストランという事になった。
だがあまりにも調子に乗りすぎたハイペースな走りにマッツンのZZ-Rがエンジントラブルで途中ストップによる無念のリタイヤ。主催者不在という異常事態の中、あとの面子はなんとか無事に目的地に到着。辿り着いた校舎はいかにも戦後といった風情で映画「ALWAYS 三丁目の夕日」の撮影に使われたそうだ。
中に入り一食800円という高額な給食費を払う。オプションで男子には学ラン、女子にセーラー服の貸し出しがあったのでオレ達は迷う事無くそれを身に纏った。最初は面白半分であったがこれがどういうわけか皆、妙に似合っている。その印象を簡単に言ってしまうなら何十年にも渡って留年し続けた不良たちといったところか。
教室の方へ行くと何十人もの客がこの催しに集まっていた。
ところが学生服のコスプレはオレ達だけで違ったコスチュームでも黒い集団は妙に目立つ。他の客はまるで動物園の珍獣でも見るかのようにオレ達を眺め中にはカメラを向ける者までいた。
で、肝心の給食はというと・・・まぁ味は可もなく不可もなくといったところ。前夜、黒いレザーを纏いビール片手に呑んだくれていた人間が学生服着て教室の席に座り牛乳片手にパンを齧ってる姿はなんだか不思議な光景だったよ。
と、これが梅雨の真っ只中に近場で遊んだ骨休め的なオレのバイクライフだ。
そして足早に近づいてくる夏。また少し辛口な走りで長い距離を走る事になる。
だがETCの特別割引はなくなった。さぁどうする!?まぁ元々にはなかったものだ。なんとかなるさ・・・・・・たぶん。
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