Hi-Compression Column



初秋、新潟娘四国襲来!! 迎撃初日は大波乱
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翌朝、オレはえっちゃんを先導する形で星野邸をあとにした。次の宿泊先である香川のE島邸への道案内である。

しかし、彼女のリクエストに答える形でのこの日の道案内は四国カルストと国道439号を経由したかなり大回りなガッツリツーリングとなった。

四国カルストへの道程は延々と続くハードなワインディングロード。大丈夫か!? オレ自身、事故の後という事でマシン的にも多少の不安があったがそれよりも彼女だ。小柄な女の子が初めて走るという事を考慮してどの程度のペースで引っ張るか悩んだが山道に入ってからはとりあえずは迷う事のない一本道なので“攻める”の一歩手前なペースで走った。

時折、ミラーで後方をチェックすると彼女はしっかりと付いてきている。なるほど、ただ頑張って長い距離を走るだけの器ではないというわけだ。そういえば去年、新潟であのめちゃめちゃタイトで勾配がキツく狭い魚沼スカイラインを一緒に走った時も彼女はちゃんと付いてきていた。オレはその事をすっかり失念していた。

彼女の旅2日目の案内役として登場のオレはマシン共々、満身創痍。出勤前に立ち寄ってくれたじゃくさんに見送られ星野邸を出発
彼女の旅2日目の案内役として登場のオレはマシン共々、満身創痍。出勤前に立ち寄ってくれたじゃくさんに見送られ星野邸を出発

淡々と走り、四国カルストに着くとその雄大な景色がオレたちを出迎えてくれた。四国カルストはちょっとした天候の崩れですぐにガスってしまう。この日、予報で天気は下り坂と言っていたので少し心配だったがなんとか間に合ったようだ。えっちゃんは初めて見るカルスト地形独特の景色に感無量といった面持ちである。

四国カルストを堪能したあと、彼女の次のリクエストは国道439号線。通称“ヨサク”と呼ばれる四国の山間部を西から東へ抜ける名物3桁国道である。女の子のバイク乗りに「四国のどこを走りたい?」と訊いてヨサクと答えるコなど普通に考えてタダモノではない。

33号を経由して439号へ。間に194号を挟んで再び439号を大豊方面へ。途中の道の駅でこの日の接待をお願いしておいたE島家のみか凛姉さんと待ち合わせ合流した。四国の名物男ANかつ氏も一緒だ。翌日に外せない仕事がありオレは一回帰らなければならなかったためここでバトンタッチである。

四国カルストへ向かう途中での一コマ。うしろに見えるシェルパはオレからの虐待を受け、ボロボロになりながらも健気に走ってくれます。何気にオフ車ってスゲェ。
四国カルストへ向かう途中での一コマ。うしろに見えるシェルパはオレからの虐待を受け、ボロボロになりながらも健気に走ってくれます。何気にオフ車ってスゲェ。

オレの不手際によって段取り的に迷惑をかけてしまったにもかかわらず接待を引き受けてくれたみか凛姉さんに感謝しつつも遠方からの客なのでくれぐれも粗相のない様にと別れ際にお願いしておいた。

ところが・・・・翌日、仕事を片付けて再び四国へ向かう際、E島邸の留守番役であるホリ氏に連絡をいれると「おっさんとまだ連絡がとれてないんよ」と。

おっさん? いったい誰の事を言ってるんだ。訊くと昨夜からE島邸ではあろう事かえっちゃんをおっさん呼ばわりしていたらしい。確かにその行動力とタフネスぶりはおっさんのそれに値するかもしれないが20代の小柄な可愛らしい女の子につける呼び名としてはあまりにもヒド過ぎる。

E島氏の店でホリ氏と合流し、その事について問いただすと「最初にそう呼んだのはひーろー君って聞いてるけど」と。

ちょっと待てぇ~い!! 

一体、何のことやらさっぱりわからん。さらには前日の事故の件にしてもオレは悪質な当たり屋として扱われてるし。これだけ短い時間の中でこれほど情報が捻じ曲がって伝わるとはどうゆう伝達機能なんだ!? まぁオレの事はいいとしてもえっちゃんはおっさん呼ばわりされて気を悪くしたりしていないか心配だ。1時間ほどして彼女も店にやって来てその事について話していると彼女自身、まんざらでもない様子で面白がっていたので一安心といったところではあるが・・・。

この日、えっちゃんは雨の中を高知へ行っていたようだ。悪天候にゴチャゴチャした街中。お目当ての場所へ辿り着けなかった事などを悔しそうに語ってくれた。明日は朝から金刀毘羅宮へ行く予定なのだと言う。予期せぬ不祥事、結果オーライを繰り返し、新潟娘迎撃ウィークはそのフィナーレを迎えようとしていた。

翌朝、E島邸で目覚めるとえっちゃんはすでに出発した後だった。

そう、これは彼女の一人旅。自分で決めた好きな所を走り回ればいい。オレは宿泊先の繋ぎをつけるだけだ。彼女には自分の目的が一段落したら連絡をくれと言ってある。

そしてこの日の宿泊はキャンプ。俺節で顔を合わせた事のある何人かでも集めて地味な野宴で四国最後の夜を締めくくろうという計画だった。

当初、週間予報で発表されていた天気予報があまり良くないものだったので環境の良いキャンプ地として紅葉温泉を予定していたのだがこの日の天気は晴れ。そして奇しくもこの日、高知県の帰全山キャンプ場で四国バードヘッド主催の月見宴が行われるという事でそれに被せる形でオレはキャンプ地を帰全山に変更した。どうせなら賑やかな方がいい。

昼の2時を回った頃、えっちゃんからの連絡を受けてオレは待ち合わせ場所となる32号沿いの大歩危にあるパーキングへ向かった。その途中、猛烈な勢いで見覚えのあるZZ-R1400に抜かれた。

昼間の陽気とは裏腹に秋の夜は思いのほか冷え込む。これからの野宴に欠かせない焚き火。バイク乗りの宴にはやはり焚き火がよく似合う。
昼間の陽気とは裏腹に秋の夜は思いのほか冷え込む。これからの野宴に欠かせない焚き火。バイク乗りの宴にはやはり焚き火がよく似合う。
行動こそがすべて。走った者だけが知る世界がここにある。そんなバイク乗りが集まり至福な時間がゆったりと流れていく。
行動こそがすべて。走った者だけが知る世界がここにある。そんなバイク乗りが集まり至福な時間がゆったりと流れていく。

パーキングに着くと先程、オレを抜いていったZZ-Rが停まっていた。京都の川越氏である。今年5月和歌山でのじゃばら宴以来だ、コンビニで買い物をしていた川越氏を捕まえてえっちゃんが到着するまでの間、しばし話し込んだ。それから15分ほどして到着したえっちゃんを加えて一路帰全山へ向かう。

夕方、現地に着くとすでに何名かのお馴染みな面々が店を広げて始めていた。夜にかけて初日に彼女の接待を引き受けてくれた星野氏をはじめとする愛媛組、そして広島のコウタンも駆けつけてくれて気がつけば今年夏の新潟俺節に参戦した中四国勢のほとんどが集まっていた。

秋の夜長に川沿いのキャンプ場にはとびっきりなゲストを囲んでバイク乗りの笑い声が響き渡る。連日の旅の疲れも見せずえっちゃんはその輪の中で満面の笑顔でみんなと深夜遅くまで語り合っていた。

そして翌朝、いよいよお別れの時である。

えっちゃんはこのあと最後の目的である瀬戸大橋を渡り京都のライダーハウス『ボーダー』へ向かう。京都では荒走り君が出迎えてくれるはずだ。そして今回、月見宴に来ていた川越氏が、家がボーダーの近くと言うこともあって京都まで彼女を引っ張って行ってくれる。

もう何の心配もない。オレの役目は終わった。夏の新潟での何気ない会話から端を発したこの約一週間。彼女の今回の旅は旅慣れた男のオレから見ても本当に羨ましいくらいイイ旅だったと思う。

一週間にわたる旅を全力で駆けたえっちゃん。いい思い出になった事だろう。帰り着いた新潟はメチャメチャ寒かったらしい。本当にお疲れ様でした。
一週間にわたる旅を全力で駆けたえっちゃん。いい思い出になった事だろう。帰り着いた新潟はメチャメチャ寒かったらしい。本当にお疲れ様でした。

最初は半信半疑だった。本当に来るのか? 新潟~四国は距離的に見ても決して楽な道程ではない。

だが彼女は来た。オレたちのサポートありきで彼女が動いたのではない。彼女の旅ありきでオレたちが動いたのだ。そして迎えたオレたちも素晴らしく楽しい時間を過ごすことができた。

北の地からきた小さな旅人は大きく手を振りながら帰路についた。旅は人を成長させる。走り去るその後姿には勇者の風格すら漂っていた。

PS・・・事故直後から5日間そのまま酷使されシェルパは現在、入院中。近日、復活予定。皆さん、事故には十分注意!! 人を大切に、自分を大切に、そして・・・バイクを大切に。



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