Hi-Compression Column

順逆無一文

見苦しい点数稼ぎなんかやめて市民からの感謝状の数で報酬決めてはどうですか、警察のみなさん

それはある日突然起こった。まあ、故障というものはいつでも突然なのだが“通勤快足”のヘッドライトが消えた。

会社のバイク置き場は屋上にある。バイクごとエレベーターで上がり下がりするのだが、エレベーターに乗り、出庫に備えて向きを180度変えているときに突然ヘッドライトが消えた。ハンドルを左にフルロックすると消え、ハンドルを元に戻すと点灯する。右はフルロックしても問題は起こらない。

ちなみにわが家の“通勤快足”くんは1993年生まれなのだが「あ~あ、もうワイヤハーネスのトラブルか」と、今後の大仕事が頭の隅をよぎる。

消えたままならばバルブ切れをまっさきに疑うのだが。古いバイクでは良くあるステアリングヘッド周りの配線切れが起こりつつあるのかと考えた。ヘッドライトが復活するのはフルロックで引っ張られて離れた配線が、元に戻って通電するのだろう、と。

点いたり点かなかったり、動いたり動かなかったり、という故障はやっかいだ。時間を作って断線箇所を見つけなければ、と思いつつ一応念のためとバルブを外してみた。

昔ながらのダブル球というやつで目視でもフィラメントの状態が分かる。良くよく見てもハイ、ローともフィラメントは無事。

「やはりねぇ~」と先のことを考えて暗くなる。配線のトラブルは時間がかかる。こりゃ覚悟を決めなければ。金がないから自分で出来るところは当然自分でやっているが、時間が読めないのは困る。

とりあえずバルブを元に戻そうとしたところでバルブの接点側がおかしいことに気が付いた。なんだか“崩れて”いる。半田盛りが溶けて流れてしまった感じで、本来の丸頭じゃなく、だらしなく“踏まれた大福”のようになっている。

なんのことはない、接点不良だったのだ。端子の形状を修正するとともにソケット側の端子もキレイに磨いたら不具合は跡形もなく消え去ってしまった。

それにしても、ハンドルを左に切ったときだけ、切れたり点いたりしたのは何でだろう。もちろんバルブはきちんとホルダーに収まっていた。“溶けてしまった”原因は?

接触不良から高熱になり最後はスパーク状態で溶け出して点いたり点かなくなったりしたのだろうか。それにしても不思議なトラブルだった。それはそれで、原因とにらんだワイヤーハーネスの断線じゃなくて幸いだったが。

小宮山幸雄
komiyama
“雪ヶ谷時代”からMr.BIKEにかかわってきた団塊ライダー。本人いわく「ただただ、だらだらとやって来ただけ…」。エンジンが付く乗り物なら、クルマ、バイクから軽飛行機、モーターボートとなんでも、の乗り物好き。「霞ヶ関」じゃない本物!?の「日本の埋蔵金」サイトを主宰する同姓同名人物は“閼伽の本人”。

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         ※

最近は夜間の歩行者死亡事故の原因としてやたらと“ロービーム”がやり玉に挙がっている。確かに地方の道路でならすれ違い時などにのみロービームにして、普段はハイビームで走行すれば路肩を歩く歩行者にも早く気が付く。

ごもっともな正論なのだが、都内や市街地を走る場合はどうだろう。「夜間の基本はハイビーム。ただし、対向車、先行車がいるときはロービームにする」というマナーをきちんと守れば、ハイビームに出来るチャンスはほとんどまれで、常にロービームで走らざるを得ないことになる。

「夜間はハイビームが基本」ということ自体を知らないドライバーが増えてしまって警察には危機感があるのだとか。

だからといって、あたかもロービームが事故の原因である、みたいな一般マスコミの論調にはひっかかるものがある。夜間の歩行者死亡事故増加をヘッドライトのせいにしてしまっていいのだろうか。

特に暗い色の服を着た歩行者は注意していても気が付きにくい。だからこそ、まっとうなドライバー&ライダーなら、裏路地などでは当然そんな見えにくい歩行者もいることを前提にそれなりのスピードで走っている。

が、それを知ってか知らずか漫然とスピードを出しているドライバー&ライダーにこそ問題がある。歩行者の安全に対する配慮が出来ない運転者を野放しにして、ハイビームで走らせればすべてが解決するが如くマスコミを誘導する当局の無責任さ。問題の本質を考えないで「対処してます」と言えさえすればいいのだろうか。

         ※

またまた話が飛ぶが、バイク・メーカーさんがこのところ撮影会でよく利用している東京・お台場の潮風公園南駐車場が二輪車の利用を拒否するようになってしまった。「警察の指導」とやらで、“バイクの進入と駐輪の禁止”という札が貼り出されている。

そもそもの原因は、例によってタコ踊りの集団だか公道をレース場と勘違いしている阿呆どもだか知らないが、駐車場で傍若無人に走り回ったことが発端とか。

ならばその阿呆どもを一網打尽に引っ括って“厳しく指導”すればいいだけのこと。なのに点数の稼げない“イレギュラー”な取り締まりにはまったく見向きもしない現在の警察は、例によって安直な二輪車排除の理論を押し通したというわけ。

お台場といえば、一度でも二輪車で出かけたことがある方ならお分かりだろうが、あれだけスペースがゆったりして余裕のある地域なのに、駐めたいところには二輪駐車場が全くない。だいぶ離れてしまうが、それでも歩いて行ける潮風公園は数少ない二輪車が安心して駐められる駐車場だった。

三宅島イベントだなんだとさも二輪車に理解があるように見える知事が居ながら、足元でこれほど酷い二輪車無視の行政が行われている地域は少ない。

元々の原因を作った阿呆には文句ひとつ言うのさえ無駄だろうが、それを取り締まれない警察がとった手段だけはしっかり覚えておきたい。

いつの時代も阿呆と無能な権力の組み合わせが市民生活を破壊していく。

                  (小宮山幸雄)

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