Hi-Compression Column

順逆無一文

“公共道徳違反者”と“こそこそ陰れ警察”

(2月28日更新)

電動バイクやクルマの話題が毎日のように聞かれる時代になりました。いよいよエネルギー革命へと雪崩を打つのでしょうか?

そんな昨今、とある話を聞きました。それは、早々と電気自動車に切り換えた方からの実に残念な人間社会の現実の姿でした。

“明るい未来”を信じて多くの公共機関や企業が率先して、いわゆる“電気スタンド”を急ピッチで整備し始めています。

身近なところでは高速道路のサービスエリア。都市近郊の大きなサービスエリアでは普通に見られるようになってきました。そこは言わば電動ビークルの生命線。ある程度の時間を掛けなければ充電できないという、電動ビークルのアキレス腱といえるバッテリー充電が可能なスペースです。

そんな重要な場所ですが、何と、街中の公共施設などの“電気スタンド”は普通のガソリン車が駐車してしまっていることが多いというのです。

何を考えているのか、いや何も考えていないからなのか、自分の利便性こそ満たせれば「他人のことなど知ったこっちゃない」で駐めているのでしょう。

さらに暗い思いになったのは、その電動ビークルのオーナーの言葉です。「別に珍しいことじゃありませんよ。最近は外の充電ステーションはアテにせず、自宅で充電したバッテリーで帰ってこれる距離しか走らないようにしてますから」。

これが最先端の交通事情というものなのか。

まあ、公共施設や大規模商業施設などで当たり前となった“障害者用駐車スペース”はもっと酷い状況だから推して知るべしか。明らかに健常者と思えるドライバーが平然とそのスペースに駐めていってしまう。

こういうヤカラは星飛雄馬の大リーグ養成ギプスでも着けさせて、いかに障害のある方々が日常生活で苦労されているかを体験させることでしか、自分のやっていることの重大さを理解させられないだろう。

かつてドイツで見た光景だが、博物館の障害者用駐車場に健常者が駐車した途端に、そばにいた地元の方が通報。あっという間に警察とレッカーが来て、駐車違反でしょっ引いていった。実に胸がスッキリした出来事だった。

これが日本の警察なら「駐車場は私有地ですから」だの「民事案件ですから」だのと、あれこれ言い訳三昧で、本気でとりあいもしない。ましてや取り締まりをしているのなど見たことない。

それがわかっているからだろうか、平然と「みんなが空けてくれているオレ様専用の駐車場」と駐めまくっている。最近は、社会道徳の規範だったハズの女性のマナー違反も目に余る。それも子供連れだったりする。

悪いのはもちろん駐める人間だが、一般市民の感情は、それを取り締まらない警察に向く。社会性を持った人間になるにはきちんとした“教育”も必要なのだ。

小宮山幸雄
komiyama
“雪ヶ谷時代”からMr.BIKEにかかわってきた団塊ライダー。本人いわく「ただただ、だらだらとやって来ただけ…」。エンジンが付く乗り物なら、クルマ、バイクから軽飛行機、モーターボートとなんでも、の乗り物好き。「霞ヶ関」じゃない本物!?の「日本の埋蔵金」サイトを主宰する同姓同名人物は“閼伽の本人”。


右上へ

[第7回|第8回|第9回]
[バックナンバー目次へ]


そんな本当に多くの市民が苦々しく思っている社会状況はそっちのけ。警察は単純に金の稼げる違反にしか興味がない。なにが「運転席を離れてすぐに運転できない状況で駐車させたら駐車監視員にキップを切らせます」だ。

駐車場がすぐ側にあるのに路駐したら取り締まります、なら分かる。そういうのは当然ながらガンガン取り締まるべきだ。だが近くに駐車場ひとつなく、しかも積み降ろし程度の短時間ですら問答無用で取り締まる。自動車税だの何だのとテラ銭取るだけだけ取って、満足に使えない状態を放置して取り締まる。そういうのを市民社会では“詐欺”というのだ。

とまあ、相変わらずの無駄な意気巻きをしていたらとんでもない話題が入ってきた。

なんと! 京都府警がドライバーが乗っている状態で駐車していた“駐車違反”にも反則切符を切ったというのだ。2月23日付けの京都新聞が伝えたニュースの受け売りだが、『京都府警駐車対策課と堀川署は23日、乗車中でも違反切符を切る方針に基づき、一斉検挙に乗り出した。初日は営業車やトラックなどの運転手5人に駐車禁止の反則切符を切った』という。

どうやらこの一帯はドライバー達の“休憩所”となっていたらしく、京都府警によれば「再三指導しても一向に改善されないため、2月7日には“乗車していても駐車は取り締まる”との警告看板を設置して周知を図った上で、一定時間駐めていたドライバーに切符を切った」というのだが。

いよいよ来るモノが来た、という感じのニュースだ。“違反は違反ですから”を盾に目の前の事象だけを杓子定規に解釈して『この法律は、道路における危険を防止し、その他交通の安全と円滑を図り、及び道路の交通に起因する障害の防止に資することを目的とする』(道交法第1条 目的)を行ったとでも言いたいのだろう。「再三の指導にも…」とあるが、どうせ「この場所は駐車禁止です、速やかに移動してください」と例の呼びかけをしただけなのは想像に難くない。これを“指導”と思い込んでいるところが怖い。

しかも当日は、例によって物陰に隠れて停車時間を計り、一定時間を超えた途端に飛び出してクルマを取り囲み、切符を切ったという。一度でも取り締まったという既成事実さえ作ってしまえば、あとは事前の指導も、予告看板ももう関係なく、いつでも、どこでも取り締まりへと広げることが出来る。これが警察のやり方だ。

法律とはまた別の次元で、社会常識の枠内でかろうじて円滑さを保っている交通社会の現状を無視して、警察が強権を発動したカタチだ。流通という社会の動脈を担っているドライバー達をさらに追い込むことで、より危険な状況が生まれる。

もちろん一帯の住民には多大な迷惑がかかっていたのだろう。安心して休息の取れる公共のスペースなどは望むべくもないが、なるべく迷惑のかからない安全な場所を検討して、どうしても駐車が必要なドライバーはそちらに誘導する、というのが“指導”というものだろう。

ただその場所から追い払えば我々の役目は終わり、という警察の稚拙な対応がくり返されただけ。ドライバー達はどこへ行けばいいのだ。

車の中で食事を取っていたドライバーも容赦なく切符が切られたという。これが店で食事を取る時間も惜しんで働かざるを得ない人間に対してとった警察の処置だ。

前々から言ってきたことだが、駐車違反を取り締まらせる以上は“駐車監視員”に駐車場ガイドを一緒に配らせるなど“指導・啓蒙”活動も一緒に行わせるようになったのだろうか。まあ、クルマはともかく、二輪車駐車場はあまりのお粗末さに不可能、というのが関の山だろうが。

相変わらず目に付く駐車場入り口の“二輪車禁止”の看板。

“禁止”じゃねぇだろ。二輪車の駐車場整備が出来ていません、申し訳ありませんが“二輪車は駐めさせてあげられません”だろ!っての。

ライダーは心の広い方が多いみたいで、誰も声を上げないのが不思議だが…。実に不愉快な看板だ!

街を汚して回る“スプレー魔”もこういった配慮のない看板を標的にするのであれば少しは認めてあげられるというモノだが…。

まあ、障害者用駐車場に止めてしまう五体満足な阿呆と同列だろうから、社会の役に立つことなんぞ、金輪際やるわきゃないが。

(うるせぇジジイで悪かったな 小宮山幸雄)

※ちなみに、京都では交通局が3月14日から悪質な違法駐車車両を市バスに取り付けたカメラで撮影し、京都府警に提供する取り組みをスタートさせる。障害者用駐車スペースへの“違法駐車”問題への取り組みも当然考えているんでしょうな京都府警さん。


topへ

目次
↑クリックするとMBHCC目次に戻ります
バックナンバー目次
↑クリックするとバックナンバー目次に戻ります