新潟県糸魚川市の日本海・ヒスイ海岸にて

今までの私の概念をすべて崩されたようなバイクでした

明けて6日目となった7月19日。Dio110のロングランもこの日が最終日であります。金沢の朝の天気は曇り、いや、カッパを着るまでもありませんがほんのちょっと雨もおちています。ニュースを見ると、太平洋側はまさに台風6号圏内。しかも進む速度がゆっくりだとか。これからゴールの東京を目指すワケですが、はたして大丈夫なのでしょうか? 朝のスタート時点ではそれほど心配はしておらず、新潟の糸魚川から一気に南下して東京まではあっという間だろうと、とても安易に考えておりました……。

さずが6日目、自分の手足のように馴染んでしまったDio110で走り始めると、富山県に入ったあたりから雨が本降りに。仕方なく、上下カッパを着用。しかし、走ってくるうちに雨が上がって蒸し暑くなってきたので、脱いだ途端にまた降り始めるという始末……。こんなカッパの出し入れの際、シート下に収納スペースをもつスクーターってやっぱ便利だなぁと思います。

新潟県に入ると雨は完全に止み、路面もドライに。日本海を左手に見ながら、快適クルーズです。そして糸魚川に到達すると、これまでずっと走ってきた国道8号から国道148号へ。直後、雨がおち始めたため再びレイン装備に。そして、ここからゴールまで、カッパを脱ぐことはありませんでした……。

金沢城址&兼六園周辺にて。私、金沢文庫や金沢八景には行ったことありますが、金沢を訪れたのは今回が初めて。贅沢な土地の使い方にビックリいたしました。さすが加賀百万石の城下町!
金沢城址&兼六園周辺にて。私、金沢文庫や金沢八景には行ったことありますが、金沢を訪れたのは今回が初めて。贅沢な土地の使い方にビックリいたしました。さすが加賀百万石の城下町!
長野県・白馬駅前にて。国道148号線を南下して台風6号に近づいているせいでしょうか? このあたりから雨が本降りになってきました。ところで、なんで駅は「はくば」で、岳は「しろうま」?
長野県・白馬駅前にて。国道148号線を南下して台風6号に近づいているせいでしょうか? このあたりから雨が本降りになってきました。ところで、なんで駅は「はくば」で、岳は「しろうま」?

長野県に入ると標高が上がったせいか、気温も下がります。雨は降っているものの、前日のような蒸し暑さはありません。気温、気圧や湿気に関わらず、常に最適な燃料供給を行ってくれるインジェクションバイクはいいですね。

順調に距離を伸ばしてきたつもりでしたが、松本市内に入ったのは17時前。帰宅ラッシュに巻き込まれ、道を失い、雨も強くなってきてさらにタイムロスを強いられることに。やっとのことで国道19号線に合流し、塩尻に入ったのは18時半。ここで最後のガス給油を行いました。あとは勝手知ったる国道20号を一本道! 

諏訪の町に下りるワインディングでは既に日が落ちており、さらに雨とあって周りのクルマのペースに惑わされることなく慎重に。そして諏訪から山梨の韮崎まで、Dio110 がとても印象的な走りを披露してくれました。節電の影響か道は真っ暗。しかもこんな時に限って前を走るクルマがまるでおらず、頼りとなるテールランプが皆無。さらに雨がかなり強く降っており、道も適度にクネクネときている。「この先、どうなるの?」というシチュエーションではありましたが、実際のところDio110は運転していても不安はないどころか、慣れてくるうちに段々とペースが上がってくるという始末。このバイク、スゴイなと思いました。きっと、前回でもお伝えした大径タイヤはもちろん、サスペンションや車体がしっかり出来ているんでしょうね。何か凄く集中して走っていたのでしょうか? 韮崎の街の灯りがあっという間に感じました。

ここから先は交通量も増え、外灯も点灯してちょっとは一安心。しかし、雨は弱まる気配なし。さすがにずっと雨に打たれているだけに、カッパの防水効果も薄れ、パンツにまで浸水してきました……。しかも中央高速が台風の影響で甲府昭和から相模湖まで通行止めのため、多くのクルマが国道20号に流れてきました。ここまで来ると、もう早く帰りたい気持ちでいっぱいになってきました。

中央高速の大月―八王子間が通行止めに。国道20号線も上野原の手前あたりから渋滞が始まりました。屋根があるクルマならまだしも、バイクは渋滞中に大雨に打たれっぱなしです……。
中央高速の大月―八王子間が通行止めに。国道20号線も上野原の手前あたりから渋滞が始まりました。屋根があるクルマならまだしも、バイクは渋滞中に大雨に打たれっぱなしです……。
檜原街道でやっと東京都に入ることに成功したのは23時57分のことでした……。ところで今回のような大雨時、防水の携帯電話は記録に大変役立ちました。写真はブレブレですけど……。。
檜原街道でやっと東京都に入ることに成功したのは23時57分のことでした……。ところで今回のような大雨時、防水の携帯電話は記録に大変役立ちました。写真はブレブレですけど……。

台風6号の影響は凄かったようです。この後、土砂崩れの恐れによる片側車線規制による渋滞にハマり、こりゃラチがアカンと迂回。どうにか官邸にたどり着いたのは日付変わって深夜の2時になっていました。でも、無事帰還できたので何よりです。ふぅ……。ちなみにこの日の走行距離は6日間通じて最長の494.9km。で、ロングランのトータルは2075.1kmとなりました!

その後、Dio110返却まで4日間ほどあったので、本来のフィールドであろう街乗りに徹してみました。ロングランの時も関西の市街地を走っていたので、主な目的は燃費データの収集でした。ロングランの時はそこそこ燃費が伸びたので、街中では燃費に不利な、ちょっと意地悪な走りも試してみましたが、それでもそこそこ走るのには驚きました。何てったって丁寧な走りを心がけた時のスペイシー100よりも15%以上燃費が良かったのですから! インジェクションの威力を痛感した次第であります。で、最終的なトータル走行距離は2224.1kmとなりました。自慢ではありませんが、車両を返却した7月23日時点で、日本で最もDio110に乗っている人物ではなかったかと思います。

やはり街中では軽くてスリムな車体の恩恵を真っ先に感じますね。ただ、チョイ乗りの用足しが多い街中では、やはりサイドスタンドがあると便利。既に社外品が出回っているようですが、純正アクセサリーとしてラインナップされることを望みます。

以上、10日間ほど毎日Dio110に接してきましたが、私はすっかり気に入ってしまいました。日本の原付二種クラスのスクーターは各社よりリリースされ、さらには海外メーカー製まで豊富な数が販売されております。そんな中、Dio110は他とは一線を画す魅力が備わった1台であることは間違いありません。「買い物、通勤で便利なだけでいいのですか? そんな日常に、走る楽しみを加えてみませんか?」とDio110は語りかけているような気がします。しかも、車両価格は20万円を切り、かといって安普請なバイクではなく、しっかりと造られているのですから。

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7月18日、岡山国際サーキットからずーっと走っていたせいか、世の中の動きがまるでわかりませんでした。金沢に着いて初めて、なでしこジャパンが世界一になったことを知りました。金沢のビジネスホテルでもDio110は屋根のある中庭に駐車させてもらえたので、安心して眠れました。
7月18日、岡山国際サーキットからずーっと走っていたせいか、世の中の動きがまるでわかりませんでした。金沢に着いて初めて、なでしこジャパンが世界一になったことを知りました。金沢のビジネスホテルでもDio110は屋根のある中庭に駐車させてもらえたので、安心して眠れました。
雨の中を走ることで各部が汚れはじめ、ロングランの雰囲気が出てきたDio110。糸魚川のヒスイ海岸にて。その後、日本海を離れた直後から再び雨が降り始め、東京の立川周辺まで止むことはありませんでした。
雨の中を走ることで各部が汚れはじめ、ロングランの雰囲気が出てきたDio110。糸魚川のヒスイ海岸にて。その後、日本海を離れた直後から再び雨が降り始め、東京の立川周辺まで止むことはありませんでした。
ずーっと雨の中を走り続けており、カッパを脱ぐのが面倒だったので、朝から何も食べていませんでした。で、最後のひと踏ん張りのため甲府にてメシ休憩。時間は21時を過ぎていました。
ずーっと雨の中を走り続けており、カッパを脱ぐのが面倒だったので、朝から何も食べていませんでした。で、最後のひと踏ん張りのため甲府にてメシ休憩。時間は21時を過ぎていました。
国道20号・上野原手前で土砂崩れの恐れにより片側車線規制、大渋滞となります。ずっと雨に打たれるのもツライので、一か八かで山の方へ迂回してみることに。が、非情にも「全面通行止め」の看板が。すると、近くに立っていた交通誘導員が「これは大統領閣下でございましたか! 大変失礼いたしました。お気をつけてお進みください」みたいなことを言っていたような。そして、目の前のゲートがスーっと開き、せっかくなので大統領特権を行使してしまいました。いや、もしかしたら私の夢か幻の出来事だったかもしれません……。
国道20号・上野原手前で土砂崩れの恐れにより片側車線規制、大渋滞となります。ずっと雨に打たれるのもツライので、一か八かで山の方へ迂回してみることに。が、非情にも「全面通行止め」の看板が。すると、近くに立っていた交通誘導員が「これは大統領閣下でございましたか! 大変失礼いたしました。お気をつけてお進みください」みたいなことを言っていたような。そして、目の前のゲートがスーっと開き、せっかくなので大統領特権を行使してしまいました。いや、もしかしたら私の夢か幻の出来事だったかもしれません……。
檜原街道で武蔵五日市に抜け、新奥多摩街道から日野橋経由で再び国道20号を通り、無事、大統領官邸に到着したのは日付変わって7月20日の深夜2時過ぎでした。昭島まで激しい雨に見舞われましたが、立川から先はピタッと止んでいたのには驚きました。写真をクリックするとゴール時のオドメーターが出ますので、スタート時http://www.m-bike.sakura.ne.jp/feature/dio110_tabi/dio-01.html のオドと比較してみてください。これだけDio110で走りました!
檜原街道で武蔵五日市に抜け、新奥多摩街道から日野橋経由で再び国道20号を通り、無事、大統領官邸に到着したのは日付変わって7月20日の深夜2時過ぎでした。昭島まで激しい雨に見舞われましたが、立川から先はピタッと止んでいたのには驚きました。写真をクリックするとゴール時のオドメーターが出ますので、スタート時 のオドと比較してみてください。これだけDio110で走りました!

※写真の上でクリックすると、大きなサイズの写真を見ることができます。



シート下のスペースがもうちょっと大きかったら便利なのになぁとは思いますが、Dio110に乗ると、 新鮮なライディングポジション、安全かつ楽しい走りを生み出す足まわりなど、スクーターと言えばユーティリティにとらわれていた、今までの私の概念がすべて崩されたような気がします。すでに欧州や東南アジアではこの手のスクーターが主流となっているようだし。大袈裟かもしれませんが、日本の今までの原付クラスのスクーターは、携帯電話のように“ガラスク”になっているのかも? とDio110に乗って考えさせられました。“潔さ”が魅力な1台です。

“NSC”ことDio110の各部を検証・後編その2
Dio110の各部を検証
夏の炎天下、アッツアツになったシートに座った時の何とも言えない不快感は皆さん経験されていると思います。ロングランの前半は連日30℃を越す猛暑でしたが、HMJのカスタマイズパーツとして用意されている「メッシュシートカバー」(5,460円)の効果は絶大! 真夏のライディングの必需品と感じました。
Dio110の各部を検証
シートカバー同様、HMJのカスタマイズパーツとして用意される「GIVI製トップケース」(16,800円)。取付けには専用リアキャリア(3,360円)も必要となります。容量は26Lで、今回のロングランではG2連邦の正装セットをはじめ、6日分の着替えその他がすっぽり収まり重宝いたしました。常時装着にも最適なコンパクトサイズです。
Dio110の各部を検証
サイドスタンド取付け部。日本仕様に標準装備する場合は安全機構を設けなければならず、20万円を切る車両価格を実現するため、コスト的に厳しかったようです。純正アクセサリーまたはカスタマイズパーツとしての販売はもうちょっと先になるとか。サイドスタンドが出ている状態でもセルが回る社外品は既にあるようです。
Dio110の各部を検証
大径タイヤのおかげで視覚的に大柄に見えるかもしれませんが、実際はそうでもありません。さらに車幅はとてもスリム。ちょっとしたスペースがあれば、他の原二スクーター同様、邪魔にならず駐車できますし、取り回しも軽くてラクです。写真はGIVIのトップケースを取り外し、取付け専用リアキャリアが装着されている状態になっています。
Dio110の各部を検証
約2100kmを走ったフロントタイヤ(CHENG SHIN製C-922F 80/90-14M/C 40P)。
Dio110の各部を検証
約2100kmを走ったリアタイヤ(CHENG SHIN製C-922R 90/90-14M/C 46P)。

総走行距離
長旅ご苦労様