●インタビュー・文ー濱矢文夫 ●撮影─依田 麗 ●取材協力─Y`S GEAR http://www.ysgear.co.jp
ヤマハ車の純正アクセサリーパーツを担当しているY’Sギアから『ジャパンクルージング』と名付けた日本のライフスタイルに合うようカスタマイズパーツを組み込んだモデルが発表されたのは、以前このWEBミスター・バイクでもお知らせした。
DS4とSR400のジャパンクルージングパーツは既に登場していて、この1月にはDS250版も発売される。
パーツ単体だけでなくコンプリートというカタチでも販売されるDS250のジャパンクルージングモデルは、今までのように後付け用品を組み込んだものとはちょっと違う。
まるでDS250の別バリエーションといえるほどスタイリッシュで魅力的な仕上がりになっている。
そこに今までにない新しさを感じた。その理由は何だろう。
気になったら聞くまで。Y’Sギアでジャパンクルージングを担当した、言わば仕掛け人である商品開発部商品企画課の森屋晋吾さんと、商品開発部商品開発課の濱松徹さんに話を伺った。
森屋:「もともと250をテコ入れしたいということで一昨年の夏前くらいから話があったんです。
DSシリーズはロー&ロングなクルーザーということで、今までだとワイルドなイメージで黒い革にビョウ打ちのバッグだとかをアクセサリーとして展開していたんですけど、それとは違う別のカスタマイズはないかということになったんです。
それでDS250車両本体をデザインしたGKダイナミックスさんにリクエストしました。
日本では広大な大地を何千キロも走るというより、日帰りのちょっとしたツーリングや街中に買い物へ出かけるような使い方が多いでしょう。
そういうシチュエーションにはワイルドなイメージより別のものがあるんじゃないかと」
オートバイにまったく興味がない人が街中で見かけて「あっ、乗ってみたいな」「おしゃれな乗り物なんだね」と思わせたいというのが森屋さんの頭の中にはあったという。
昨今の国内の二輪車市場に閉塞感を飛び越えて危機感を抱いていたこともあって、同じやり方ではいけないと感じていた。
濱松:「どうしても排気量が大きい方がエライみたいな価値観が存在しますよね。特にクルーザーは一般的には大きい方が『本物』と思われるカテゴリー。
でも、それは違うと思うんです、負けない独自性を与えれば『私はこれに乗りたいからこれに乗っています』と思えるオートバイになると思うんです」
確かにDS250ジャパンクルージングは250という小さな排気量車に見えないクラスレスな存在感がある。
どうしてもついて回る小さな廉価版クルーザーというイメージを見事に払拭している。
そこに辿り着いて具現化していくのは容易ではなくかなり難しい仕事だったはずだ。
濱松:「250は軽量感とか取り回しが楽だとかメリットがあるんですが、小さく細いことがネガティブに感じられることもあります。だから、質感を上げることに終始しました。
ターゲットの中心を女性にしましたけど、女性は必ずしも小さくてカワイイものを好むとは限らないんですよね。やっぱり堂々としたものに乗りたいというのはあると思うんです。
そこで私たちが作り込む時にいちばん重要視したのが質感です。山椒は小粒でぴりりと辛いというものにしたかった」