FIMアジアロードレース選手権 (ARRC)参戦記  ナイトロ・ノリの「アジアはあぢ~でかんわ」第7回(いったん最終回!?) Rd.6 タイ

アジア5か国を転戦する2015年シーズンのFIMアジアロードレース選手権、その第6戦は、なんと12月。日本では大きなレースはほぼ終了。走行イベントも終了という時期。しかし、タイで開催となった最終戦、最高気温35度という夏と変わらない気温の中で、ナイトロ・ノリ(#41 Team KAGAYAMA SUZUKI Asia  SUZUKI GSX-R600)は奮戦する!


●取材協力-Team KAGAYAMA SUZUKI Asia
FIMアジアロードレース選手権 Rd.6 タイ
12月4日~6日
チャン・インターナショナル・サーキット(全長4・554㎞/コーナー数12)
Team KAGAYAMA SUZUKI Asia #41 SUZUKI GSX-R600 (スーパースポーツ600㏄クラス)
予選=19番手 レース1=リタイア レース2=9位  ポイントランキング=7位

 Team KAGAYAMA SUZUKI Asiaの芳賀です。こんにちは。今回は寒い日本とはまるっきり逆(?)、まだまだ真夏のタイに3カ月ぶりに舞い戻ったがね。前回の8月末のタイ戦では、レース1は追突されて転倒で22位、レース2は8位やったけど最後に当てられたりしてあまりいい雰囲気ではなかったんやけどね。でも、今季初参戦のこのチームにとっては、唯一データのあるコースなわけで、この最終戦に向けて、いろいろと秘策を盛り込んだし、最終戦だでねぇ、いいところを見せたかったんだけど…。






タイのバンコクから400㎞ほど離れたブリラムにあるサーキット。レースウィークはプミポン国王陛下の御誕生日があり、盛大なパーティも執り行われた。もちろんグランドスタンドも多くの観客で埋め尽くされた。

 アジア選手権としては、カタール戦から丸2ヵ月ぶり。今回は「おにぃ(芳賀健輔さん)」と一緒にブリラムに来たよ。おにぃはいろいろ視察も含めってことでね。レーススケジュールもゆったりしてるから気持ちにも余裕があるし、おまけにレースウィークの始まりの走り出しも良かったんだよね。いろいろ試して、3回目の練習走行でいいスペックが見つかったんだ。ほんで、この方向で行こうってことで、レース1前のウォームアップ走行では、前回のレースのベストラップよりもコンマ5秒タイムを縮める(セッション4番手タイム!)こともできて、期待できる状態になったんだよね。



ノリ選手とともにサーキット入りした「おにぃ」こと芳賀健輔さん。名古屋で「Kmax(ケィマックス)」というショップをオープンしてもう10年になる。

 突然ハイサイドで転んでしまったん。自分ではアクセルを開けすぎたのか、と思ってたくらい。もうちびっと早く気が付いていれば、と後悔しとるよ。悲劇が襲ってきたって感じ。このセッションでメカニカルトラブルが出てしまって、レース直前に修復作業。ほんでレース1に出たんやけど、スタート直後にメカニカルトラブル、漏れたオイルにそのまんま乗ってしまって突然ハイサイドで転んでしまったん。

 メカニックやチームスタッフが、翌日のレース2に向けて、みんなで一生懸命バイクを直して仕上げてくれたわ。ほんでも、そのレース2は、今シーズン悩まされ続けているチャタリングがまたひどくなるっちゅう症状が起きてしまいました。いろんなところをだましつつごまかしながら、どうしたらうまく走れるかってところを探って、来季のバイクにちぃとでもフィードバックできるようにってことに頭を切り替え、バイクが止まるまで走ったろっていうつもりで走ったわ。がんばってくれたチームスタッフにちぃとでも応えられたかなぁ~。


レースウィークに入ってメカニカルトラブルが続いていたスズキGSX-R600 41号車。セッティングの方向性が定まっていただけに残念なレースとなってしまった。

 結局、最終戦はトラブル尽くしのウイークエンドになっちゃったねぇ。シーズン最後の戦いもいいところが見せられず、に終わってしまって…。このアジア選手権に初参戦となるチームで、マシンもレース初参戦となるマシン。データもなくて、苦戦することはわかっていたけどね、完全に不完全燃焼のシーズンだったわ。

 改めて今シーズンを振り返ってみると、どこのサーキットでも問題点はほぼ一緒。つまり、言い換えれば、この問題点をクリアできれば上位陣に絡める戦闘力のあるマシンに仕上げることができるということだと思うわ。シーズン中は雨の鈴鹿でのレースで1回表彰台に載っただけ。他にはぶつけられたことも多々あったわ。ほんでも、単に悔しいってだけじゃなくて、勉強になった部分もあったわ。





全6戦12レースを終え、最上位はスズキ車両初の3位表彰台(第3戦鈴鹿)ノーポイントレース2回、リタイア2回、75ポイントで、シーズンランキングは7位となった。チームメイトのラフィード・トパン・スシプト選手は17位だった。

 今年は、このチームで走れたことを誇りに思うし、スタッフのみんなに感謝しとる。まだ来季のことは決まってないで、このコーナーもいったん終了。ひとシーズンのおつきあい、ありがとうございました! 来季があるならば、もっと上位に食い込めるようにがんばろうと思います。皆さん応援よろしくお願いしま~す。



MotoGPライダー、TEAM SUZUKI ECSTARのアレイシ・エスパルガロ選手が、スズキの親善大使として来場。スズキ・アジアン・チャレンジに参戦している若いライダーたちのレースを観戦し、表彰台のプレゼンテーターも務めた。 もちろん、ARRCのSS600クラスのレース1も視察。同じゼッケン41を付ける芳賀選手に注目、だったが、オープニングラップでまさかの転倒。表情も渋い…。


スズキ・アジアン・ チャレンジ(アジア人で将来MotoGPに参戦できるライダーを育成するためのステップアップカテゴリー)で活躍するSUZUKIレースクイーン。毎回総入れ替えの6名だが、2度目のタイ戦では2名が残留で4名が入れ替わった。


芳賀紀行(はがのりゆき)

1975年生まれ。ワールドスーパーバイクをメインに活躍してきた、世界戦43勝を誇るライダー。TEAM KAGAYAMAに合流し、2013年~2015年にかけて鈴鹿8時間耐久レースで3年連続で3位表彰台を獲得している。


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