本気でなりきる。それが最高 ヴィンテージMXの新たな聖地へ チキチキVMX猛レース

コスプレ? いえいえ、古き良き時代に思いを馳せるライダーたちが、想像し、再現し、愛車と一体になるための装い。こだわりのヘルメットやジャージ、パンツにブーツを揃えれば気分はあの頃のWGPか、はたまた神鍋日本GPか。銘車を愛でるヴィンテージファンのエレガントな休日の始まりだ。

■文・写真-高橋絵里
■開催日:2016年10月23日
■会場:埼玉県川越市 モトクロスヴィレッジ
■主催:ホーリーエクイップ http://www.hollyequip.com

 昨年まで関西圏を拠点としていたチキチキVMXが今年3月待望の関東初開催を果たして以来、チキチキの響きはまたたく間に1都6県のヴィンテージファンを魅了し、さらにじわじわ知名度エリアを拡大し(すでにチキチキは全国的に十分有名だったけれども、さらに)、春に出場ならなかったファンもこの10月こそは! と日夜マシン作りにいそしんで、延べ180台が秋晴れのモトクロスヴィレッジに集まった。四国や関西、東北からも、エントラントは完全に全国規模だ。

 昔のバイクに惚れ込んで、レストアやリビルドに夢中になる人たちの筆頭は、当時みずからスクランブルやモトクロスに憧れ、青春の日々を2輪に捧げたオジサンたちだ。今日のためにガレージの隅でコツコツ仕上げた思い出の愛車。そうはいってもチキチキVMXは決してオジサンたちの天下ではない。レディスもキッズも学生さんも世代を越えてやってくる。だってヴィンテージってかっこいいんだもの! アーリーアメリカン調、耐久ヨーロッパふう、はたまた昭和の全日本スタイルなどそれぞれに趣向を凝らして、かつレーシーな雰囲気を振りまくことも忘れずに、走って、見て、見せて、見られて、まちがいなく一人一人が本日の主役になる。

 レゴラリータ、サンダー、かんなべ。って何のこと? ヴィンテージMXって何だかマニアックで難しくない? 実はこれらは、年式と仕様の同じマシンが一緒に走るように細かく設定されたクラスの名前だった。レゴラリータは’85年までのエンデューロバイクで、トレール車との混走。サンダーは’69年までの4ストローク車で外車も国産車もOK。かんなべは兵庫県の神鍋全日本の再現なので’73年までの国産モトクロッサーが対象だ。クラスの意味もわかってくるとこれまたガゼン面白い。さらに黒シート時代、とか正立フォーク時代、とかダウンチャンバー時代といった仕様で分かれているのも、ファン心をくすぐってくれる。

 
 昼休みには人気マシン投票の『ピープルズチョイス』がおこなわれた。みな愛車をパドックの通路側に置いたら、会場をぐるりと歩いて他のマシンを鑑賞してまわり、そして一番ウットリしてしまったマシンに投票するのだ。これは欧米のヴィンテージイベントではお馴染みの趣向で、レースで優勝するよりもピープルズチョイスで1番になるほうがオーナーは遥かに鼻高いという。それにしても、土まみれにしてしまうにはもったいなさ過ぎるピカピカのマシン、かと思えばボロボロなのに何故か異常にかっこいいマシン、これ絶対世界に1台だけよねというワークスマシンなど、パドックは宝箱をひっくり返したように珠玉ばかりで、1台に絞るのが大変、と皆さんおおいに悩んでいた。結果、みごとトップ票を獲得したのは赤タンクが可愛らしい’65年式カワサキB1 。やっぱりねぇ、と誰もが納得、見る楽しみでも全開になれる。

「ここモトクロスヴィレッジをヴィンテージMXの聖地にしたいんです」と話すのは、主催のホーリーエクイップのホーリーさんこと堀口社長だ。ホーリーさん自身もかつては選手権を走った“昔取ったキネヅカライダー”(実は今も速かったりする)で、ヴィンテージマシン愛は半端ない。そしてモトクロスヴィレッジはヴィンテージな雰囲気を楽しむのにぴったりのコースレイアウトで、パドックのまとまりや和気あいあい具合もとても素敵。エントラントとギャラリーの笑顔に包まれ、聖地での1年目は無事終了した。来年の春開催が今から待ち遠しい。


スタート
年式と仕様、排気量別で別れた16クラスに延べ180台が参加、2ストオイルの香りも懐かしく。

ゲストレジェンドの吉友寿夫さん

伊田井佐夫さん

籐秀信さん

籐秀信さん伊田井佐夫さん
ゲストレジェンドの吉友寿夫さん+ヤマハAT125(’73)、籐秀信さん+ヤマハYZ250(’81)、伊田井佐夫さん+無限ME125(’85)、懐かしい走りを見せてくれた。伊田さんの無限は当時の全日本で開幕4連勝した実車をこの日のために渾身のレストア、ジャージももちろん本物!

ピープルズチョイス大賞
チキチキ初出場にして人気マシン投票『ピープルズチョイス』大賞に輝いたスダさん+カワサキB1(’65)。芸術的赤タンクが何とも言えずクラシカルな雰囲気。けどよーく見ればフロントフェンダーの下でフレームがポッキリ。「直してまた走ります!」次回ぜひ走る姿を撮らせて。

ミヤザキさん

オオタさん
ミヤザキさん+CCM500cc(’75)。’70~’80年代活躍したイギリスの名車は高性能もウリ。 シックな装い、ピープルズチョイスでベスト10入りのオオタさん+ヤマハMX90(’73)。

オサさん

ヤマナカさん
音も凄いが何気に速い、スズキGS750(’79)を土の上スタイルに変身させたオサさん。 ヤマナカさんのDKW(デーカーヴェー)エンデューロ125(’70)、ドイツの希少車だ。

テッズスペシャルのマエジマさん
やったー!テッズスペシャルのマエジマさん+メグロS-3(’57)。あの時代の浅間火山レースをテーマにしたというだけあってマシン、衣装、走り、雰囲気もパーフェクト、表情まで当時のライダーになりきる。いきなりこういう姿が見られるチキチキはギャラリーも大喜び。

トノオカさん

ササキさん
トノオカさん+タイムトンネルを抜け出てきたようなグリーブス チャレンジャー(’66)。 セニアスポーツクラスでコンコルド藤さんの前を走ったササキさん+スズキRM250(’80)。

ナカジマさん

レイくん
毎周回ジャンプを決めてたナカジマさん+ヤマハYZ80(’81)、クラス優勝おめでとう! キッズクラスのレイくん+ホンダQR50(’82)、34年前のマシンで疾駆する小学3年生。

クマガイさん

モリモトさん
クマガイさん+トライアンフTR6(’65)、なんとリジット。「もー乗りたくないです」だと。 奈良県から参加のモリモトさんはハイポテンシャルなホンダCR125R(’87)でクラス優勝。

井上ボーリング社長

クロイワさん
井上ボーリング社長はブルタコPURSANG MK8(’74)、あまりの楽しさに笑顔全開。 クロイワさん+スズキTM400(’71)、スタイリッシュな雰囲気いっぱいの重量感で力走。

レボリューション125クラス

レボリューション125クラス
レボリューション125クラスでカワサキKX(’85)を駆り、カミカゼ伊田さんの無限マシンを制したイケダさんは感無量。「KXはかつてノービス時代に乗った思い出のバイク。もう一度乗りたくてVMXに帰ってきました。今日は憧れの伊田さん、藤さんと一緒に走れて最高」。

スペシャルなホンダXR200

スペシャルなホンダXR200
レーサーチューンの大御所デルタオートモーティブの青木エンジニアの手によるスペシャルなホンダXR200(’82)で出場のノグチさん、レボリューションオープンクラスで半端ないスピードを披露してサラッと優勝。あっ金メダルを掲げるノグチさんの背後に青木さんが。

アサガさん

アサガさん
アサガさんといえば国際ラリーストとしてパリダカで活躍したレジェンド、この日はBSA B50MX(’69)で力走。ゴールすると「楽しいね。タイムマシンに乗ってイギリスの技術者に会いに行った気分」とさすがのコメント。普段からテニスで足腰を鍛えているそうだ。

トイズマッコイの岡本代表

トイズマッコイの岡本代表
こちらも大御所 トイズマッコイの岡本代表+希少車トライアンフ チェイニー(’65)。バイクの楽しさとファッションコーディネートと遊び心のすべてを知り尽くす人。いい感じに肩のチカラが抜けたライドで、VMXは至高のリラクゼーションになり得ることを教えてくれる。

コバヤシさん
春にコフィンタンクのCZで魅せてくれたコバヤシさんは、今回はハスクバーナCR390(’76)をお披露目、WGPクラスで疾走した。本業の溶接技術でほぼどんな加工もお手の物だとか。主催のホーリ-さんも「これ以上ないほどキレイなバイクですねー!」と大絶賛の1台。

パドック

パドック

パドック

パドック
パドックは自慢の愛車の展示スペースと同時に仲間たちとの談話コーナーだ。トレール&レゴラリーターマシンで固めた『魚肉スピード』チーム、福島県郡山市から大型トラックの荷台にビッシリ積み込んできた『トロフィーモーターサイクル』チーム。若者も多いのだ。

トリビュートブース

トリビュートブース
これはすごい、9月の全日本でも登場していたスズキRH71吉村太一号と上野広一号レプリカを並べたトリビュートブース、かと思えば、ショップSHIO HOUSE所有の1980年無限ME125W-1ジョニー・オマラ レプリカ。博物館級の展示、いつまでも眺めていたい。

ホーリーさん
ホーリーさんこと堀口雅史さんは、司会MCからスケジュール案内、エントラントとのマシン談義まで、フットワークも軽やかに会場中を駆けまわる大活躍。奈良県のVMXワークスショップ『ホーリーエクイップ』を率い、ヴィンテージバイクを持つ&走る喜びを拡散している。

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