真夏の昼の夢 あの時代へタイムスリップ チキチキVMX猛レース開催!

人気沸騰のヴィンテージモトクロス、関東での開催もすっかり定着した感のあるチキチキVMX猛レース。古き良きあの時代の旧車名車が甦り、しかも容赦なく土にまみれて駆けまわる。9歳から72歳までの老若男女でスプリントは延べ120台越え、さらに午後のトレール&ミニ耐久3時間レースには44チームが参加して、チキチキ真夏の祭典にマシンもライダーも沸騰エキサイト!

■文・写真:高橋絵里

■開催日:2017年7月23日
■会場:埼玉県川越市 モトクロスヴィレッジ
■主催:ホーリーエクイップ http://www.hollyequip.com

 午前中はスプリントレース。クラスは排気量・年式・仕様・国産車・外国車によって細かく分かれ、20クラスの全てが決勝メインレースで、よって出場ライダー全員がこの日の主役だ。マジでトップバトルに挑む人、順位よりもマシンのアピールに徹する人、コスプレのドレスアップに賭ける人、どんなライダーもとにかく主役になり、脇役もその他大勢も前座も今日はいない。とにかくインパクトがあるので、見に来る人も増えている。走る人も見ている人もみんな一緒に、かつての時代の再現シーンに浸り、酔う、この独特な空気感がチキチキVMX猛レースの魅力だ。午後はトレール&ミニ耐久3時間レースのヴィンデューロ(ヴィンテージ+エンデューロ)がおこなわれ、この酷暑にソロでエントリーの猛者から、大所帯13人編成のくるくる交代チームまで色々、ウェイティングエリアにはパラソル付きテーブルを広げて寛ぐバカンス風チームもいる。ひたすら黙々と走るもよし、みんなでワイワイ騒ぐもよし、思いきり走れば、今夜の美味いビールを思う。


イノウエさん+ホンダXE75改 80cc(1976)

コマキさん+カワサキW1S 624cc(1968)
イノウエさん+ホンダXE75改 80cc(1976)
タンクのロゴがハスクバーナのような。よーく見るとhondayagana(ホンダやがな)。ホンマやで。
コマキさん+カワサキW1S 624cc(1968)
サンダークラス、WGPクラスにダブルエントリー、さらに両クラス優勝しちゃって目立ち度満点!

クマガイさん+ホンダCR125M(1975)

アベさん+ヤマハYA6改 125cc (1964)
クマガイさん+ホンダCR125M(1975)
トリプルエントリーで「走れば勝つ」鮮やかライドは宮城県のカスタムショップSTANDYの若大将。
アベさん+ヤマハYA6改 125cc(1964)
シブイです。履き込んだ革パンツがタンクとシートと一体に、60sスクランブルレース気分いっぱい。

ミウラさん+トライアンフT120 650cc (1965)<br />
凸凹コースには非情なリジットのT120。小さなリアシートの角度は衝撃から尾てい骨をガード?

アツタさん+トライアンフTR6RV 650cc (1972)
ミウラさん+トライアンフT120 650cc(1965)
凸凹コースには非情なリジットのT120。小さなリアシートの角度は衝撃から尾てい骨をガード?
アツタさん+トライアンフTR6RV 650cc(1972)
ライダーもバイクもさすが絵になる、アパレルショップKRAFTY TOKYOの熱田代表が見せる。

フジムラさん+ヤマハDT125 (1979)

マエジマさん+ホンダCL72 349cc (1963)
フジムラさん+ヤマハDT125(1979)
レディスクラスをぶっちぎりで制したフジムラさん、2輪メディアで活躍の走るフォトグラファーです。
マエジマさん+ホンダCL72 349cc(1963)
多くの伝説に彩られる名スクランブラーCL72を、当時の雰囲気いっぱいに、クールに乗りこなす。

イジチさん+スズキハスラー250 (1981)

ヤマナカさん+DKW125エンデューロ (1969)
イジチさん+スズキハスラー250(1981)
レモンイエローのハスラー。午後は仲間達と3時間耐久に出場、クラス2位獲得&チーム特別賞。
ヤマナカさん+DKW125エンデューロ(1969)
希少なドイツ製DKWは「デーカーヴェー」と発音。レースは惜しくもリタイアだったが特別賞をゲット。

 ヴィンテージモトクロスというと、何となく敷居が高そうなイメージがあるが、実は意外とそうでもないようだ。なぜなら、初めてでも和気あいあいなノリが楽しい。80ccくらいの小さいバイクなら自分にも乗れそうな気がする。レース形式でもぶつかり合うようなバトルはないので怖くない。リターンライダーにはVMXがちょうどいい。などなど、それほど構えることなく気軽に参加できるからだ。じゃあバイクは? レストアは? 修理は? その点は、ヴィンテージに詳しくてウデも確かでフレンドリーなショップがあちこちにある。走ることに加えてマシンの歴史や技術について凝り出したなら、当然その奥深さは相当なもので、知れば知るほどマニアックな世界が広がっていく。そうしてハマったVMX歴の長いライダー達からは、「昔の英国車の味わいがいい」「いかにもアメリカっぽい雰囲気がいい」「タンクからリアにかけての、このラインがいい」「昔ながらの作り込みがいい」「音がいい」「トルク感がいい」「ただただ懐かしい」etc.etc… 誰もが愛車にウットリの視線、惚れ込んでいる様子がビシビシ伝わってくるし、思い思いのウェアに凝って走る姿はかっこいい。次回は10月後半、参加はもちろん、観戦も超お勧めだ。 


TY80改(1975)

M40モトクロス
シートにTY80とあるが、水冷YZ80(1983)のシリンダーを加工して空冷にすべくフィンを1枚ずつ溶接して、クランクケースもTYとYZをニコイチに、という前代未聞のビックリ技が施されたTY80改(1975)。 名門チーム城北ライダースのピットに展示されていたのは1963年頃のスズキ『M40モトクロス』、それも2台も! 特製キックスターターなど随所にモトクロスのための当時の工夫満載のお宝。


チキチキVMXへの注目度も国際的


コバヤシさんご兄弟


アラフォー、アラフィフなトリオ
チキチキVMXへの注目度も国際的。USAペンシルバニア州から日本のVMX映像を撮りに来ていた。 昔のBSAやトライアンフをみずからレストアして走り続ける、御年71歳&68歳のコバヤシさんご兄弟。 アラフォー、アラフィフなトリオ。昔取ったキネヅカ。実は走れば速いよ。やっぱりVMXは楽しいねっ。


レースクイーン


暑い~腹減ったぁ~


Motor!! Motor!!
レースクイーンはiBレディ(by井上ボーリング)のKURUMIちゃん&ユミナちゃん。井上社長&ブルタコと。 暑い~ 腹減ったぁ~ 次はオレの出番だ~ ピットでは世代を越えてワイワイガヤガヤ大賑わい。 東京のチーム「Motor!! Motor!!」はXL80S(1980)を駆り5人編成で3時間耐久。楽しかった。

イガラシさん+ホンダCR80(1981)

カジノ兄弟+ホンダXL50S (1980)
カジノ兄弟+ホンダXL50S(1980)
普段はKTM500ccで林道ツーリング過激アタック系というお兄さん(左)が、スプリント系の弟さんに誘われて静岡県からチキチキ初参加。息の合ったチームワークで3時間耐久に初挑戦し、みごとクラス4位入賞を果たした。マシンレストアは弟さんが担当、次回はトップ3圏内を狙う?

ヒート1

イガラシさん+ホンダCR80(1981)
キレイで可愛いミニ無限。「昨年この会場で展示されていたME125W-1ジョニー・オマラ レプリカを見て一目惚れしてしまい、当時の無限マシンについて色々を勉強しながら仕上げてみました!」という、昨年からVMXにハマったリターンライダー。スプリントと耐久の両方を走って夏を満喫。
ダイモンさん+ヤマハTT500(1979)
「気に入っているところ?図太いトルクが最高!」 大きな逆輸入車を大きなダイモンさんが悠然と操り、トップに僅差のクラス2位フィニッシュ。フラットバイザーのBELLジェットヘルも雰囲気一杯。横浜のショップMC FUNNYの仲間たちと参加、みんなお揃いのジャージで好チームワーク。

イサカさん・モリモトさん+カワサキKX80 (1980)

M40モリタさん+ホンダXR80 (1979)
イサカさん・モリモトさん+カワサキKX80(1980)
3時間耐久ミニレーサー2ストクラスに出よう!と奈良県から遠征。「耐久を走るのは久しぶりな2回目。なんとなくチャレンジしたけれど、暑いのでちょっと後悔(笑)」と言いつつも、何気ない速さで98ラップを重ねてクラス3位に。お2人ともウェアはアメリカンブランドJTの新作で決めてます。
モリタさん+ホンダXR80(1979)
祝・チキチキ初参加!「以前からVMXに興味があって、去年マシンを買ったんです」と初々しさ全開ながら、3時間耐久にソロ出場という大胆さも全開。「スプリントよりも耐久のほうが自分に合ってるかなと。でも走ってみたら、思ったより大変でした(笑)」 力走する姿に感動をもらいました。

アサガさん+BSA B50 500cc (1969)

ナカムラファミリー+ホンダXL250S (1979)
アサガさん+BSA B50 500cc(1969)
「久しぶりのモトクロスなんです、難しい~!」と大排気量車を懸命に走らせた20歳の学生さん。「今日のこの雰囲気はアメリカみたいで最高!」お父様で国際ラリーストの浅賀敏則さん(右)がスプリントクラスをサポートし、午後の耐久レースはヤマハXT500(1974)で親子参加してクラス2位に。
ナカムラファミリー+ホンダXL250S(1979)
バイク好きな父(中央)の影響を受けまくって育った息子たちも当然ライダーに。ヴィンデューロ トレールツインショッククラスを3人で交代しながら激走、最高ラップ117周をマークして堂々の総合優勝に輝いた。気軽に楽しめるチキチキVMXは親子や兄弟など家族での参加も多い。

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