スーパーカブ60周年記念なのでホンダクロスカブ110で60km先の神社仏閣を目指す「オレの圏央道」1泊2日地道ツーリング パート2:いざ、旅へ(1日目)

文&撮影—毛野ブースカ
撮影協力—玉井久義
取材協力─Honda http://www.honda.co.jp/motor/

 そんなこんなで習熟走行を終えて、いよいよツーリングに出かける時が来た。当初からツーリングネタを企画してはいたが、クロスカブ110は高速道路を走れないので、すべて地道を走らなければならない。それがネックになって近場を巡るか、いっそのこと遠くまで行くべきか迷っていた。そんな折、マシンを受け取る際に、編集担当であるA氏から「スーパーカブが誕生60周年だから、なんか60に絡めたものにしてよ〜」と提案され、「60」をキーワードにしたツーリングを考えることとなった。いろいろと模索して思いついたのが「60km先にある有名地・神社仏閣・B級グルメを巡っていく」というものだった。

 早速、東京から60km前後にある神社仏閣を調べると、成田山新勝寺(千葉県成田市)、筑波山神社(茨城県つくば市)、茂林寺(群馬県館林市)、秩父神社(埼玉県秩父市)があり、さらにそれぞれの神社仏閣が60km前後先にあることが判明した。これなら意外と面白いルートが作れそうだ。具体的なプランニングを立てて、最終的に出た結論が、都庁前を出発して→千葉→茨城→群馬で1日目は終了。2日目は群馬から埼玉へと向かい、さらに秩父神社の60km先にある山梨県甲州市にある恵林寺に向かい、恵林寺から神奈川県にある相模湖、そして東京に戻るという1都6県・1泊2日のルートとした。各地点を結ぶと圏央道っぽく円状に巡っていく感じだ。

 出発当日、1日目は混雑が予想される都心を抜けなくてはならないので、午前6時00分に自宅を出発。新宿に到着し、都庁が見えるところで記念撮影。ここから今回のツーリングがスタート。第1目的地である成田山新勝寺を目指す。都道302号線(靖国通り)を通って浅草橋交差点で国道6号線に入り、浅草を通過。言問橋を渡って向島などの下町を走り、途中スカイツリーを右手に見ながら国道6号線をひた走る。通勤時間帯だが都心方向ではないので流れはスムーズ。やがて荒川を渡り、葛飾区、江戸川を通過し、スタートしてから1時間ほどかけて千葉県松戸市に入った。

 ここで国道6号線に別れを告げて国道464号線に入り、鎌ヶ谷市・成田市方面に向かう。国道6号線は流れがよかったが、国道464号線に入ると踏み切りや右折車輌が多くなることから局所的に渋滞が発生して意外と流れが悪い。鎌ヶ谷市に近づくにつれて沿道に梨園が多くなり、それにちなんで「大町梨街道」という名称がついている。しばらく国道464号線を進むが、途中で国道464号線を記す標識がなくなり、道に迷って20分ほどタイムロス。なんとかリカバーして再び国道464号線を走り、北総鉄道北総線が真ん中を走る片側2車線の広い道路に出た。

 大型量販店が並ぶ千葉ニュータウンエリアを脇に見ながら、交通量が少なくて信号も少ないストレートな道路をひた走る。標識に見慣れた印西市や成田市の文字が見えてくる。この地域はサバイバルゲームフィールドが多く、仕事やプライベートで月に数回訪れることがあるものの100%高速道路を使うので、地道を使って向かうのは今回が初めて。なるほど、東京からはこうやって向かえばいいのかと思った。

 新宿から50km以上走ったが、お尻はまったく痛くない。クロスカブのシートは「跨る」というよりも「椅子に乗っかっている」感じと言ったらいいのだろうか、お尻全体で体重を受け止めているためか疲れない。400Xとかだと面ではなく点で受け止める感じなので、ピンポイントで痛くなる。ただし、ニーグリップができないので、あまり攻める走りは難しいと思う。本来クロスカブは局地戦闘機だが、長距離戦闘機としても充分使えるような気がしてきた。

 やがてバイパスのような道路から印旛沼近辺を走る片側一車線道路になり、田んぼが広がる長閑な風景になった。成田山新勝寺まではあと少しだ。宗吾霊堂を通過し、ついに成田山新勝寺に到着した。到着時間は午前10時ちょうど。新宿を出発してから3時間半かかった。走行距離は83km、道に迷った分を差し引くと75kmくらいだろう。基準値をオーバーしているが、基準値に達していないよりはいいだろう。

 先ほども述べたようにこの近辺は幾度となく訪れているが、成田山新勝寺に来たのは初めて。このようなかたちで成田山新勝寺を訪れるとは思っていなかった。平日にもかかわらず参拝者は多い。しっかりお参りして、お守りりを無事ゲットした。成田山新勝寺から次の目的地は茨城県つくば市にある筑波山神社だ。地図上ではこの2地点はさほど離れておらず、スムーズに行けそうな感じがした。


都庁前からスタート
午前6時30分、晴天の下、都庁前からスタート!
新宿出発時の走行距離
新宿出発時の走行距離は2065km。お借りした時は1946kmだったので、数日間ですでに100km以上は走った。
浅草寺前
国道6号線の言問橋を渡る前に浅草寺前で記念撮影。午前7時頃でも訪れる観光客が多かった。さすがは人気スポット。
甚兵衛公園
国道464号線沿いの甚兵衛公園に到着したのは午前9時30分。印旛沼が近くあり、長閑な田園地帯が広がる。
成田山新勝寺
午前10時ちょうどに第1目的地である成田山新勝寺に到着。初詣や節分時に大勢の参拝客が訪れることで有名だ。
成田山新勝寺 成田山新勝寺 成田山新勝寺
お堂の垂れ幕にも書いてあるが、成田山新勝寺は開山から1080年経つ全国でも有数の寺院。境内にはいくつものお堂や三重塔がある。 今回はお守りを販売しているところでは記念にお守りりを買うことにした。まずは成田山新勝寺で勝御守をゲット。 第1目的地である成田山新勝寺に到着した時点で走行距離は2148km。東京から成田山新勝寺までは意外と距離があった。

 実は筑波山神社は今年の正月に仲間とツーリングで訪れており今回が2回目。前回は筑波山つつじヶ丘駐車場からロープウェイに乗って女体山まで行き、そこから徒歩で男体山まで登り、ケーブルカーを使って筑波山神社に向かった。今回は筑波山神社を参拝後、ケーブルカーで筑波山頂駅と宮脇駅を往復するルートとした。

 成田山新勝寺から国道51号線に出て、すぐに国道408号線を牛久・下妻方面に走る。利根川を渡ると茨城県に入り、交通量の少ない道路をひた走る。やがてつくば市に入ると、周囲に学校や研究施設が多くなり、ストレートな片側2車線道路になる。徐々に建物が少なくなっていき、筑波山が見え始める。つくば市を走っている段階で午後0時を過ぎたが、食べたいところがあるので、筑波山神社が参拝し終わるまで我慢することにした。

 国道408号線と125号線が交わるT字路を右折、県道14号、県道42号線を通って筑波山神社に到着した。到着時刻は午後0時40分。成田山新勝寺から2時間ほどで到着した。距離は74km。新宿から成田山新勝寺までとほとんど変わらないが、交通量が少なく、渋滞がなかったのが時間を短縮できた要因なのだろう。ここまでの総走行距離は157km、すでに6時間近く走っている。

 筑波山神社でも無事お守りりをゲット。参拝後、5分ほど参道を登ったところにある宮脇駅からケーブルカーに乗って筑波山頂駅に向かい、次の下り列車で宮脇駅に戻った。忙しいが、この後のスケジュールと、夕方から天気が崩れるという予報を考えるとのんびりしてはいられない。

利根川 筑波山神社 筑波山神社
国道408号線を通っていたら利根川を渡った。ここから茨城県に入る。筑波山神社までは成田山新勝寺からはほぼ1本の国道で行ける。 午後0時50分、筑波山神社下にある駐車場にクロスカブ110を置き、ライダーだけで記念撮影。成田山新勝寺から2時間ほどで到着した。 境内を散策していたらおみくじコーナーを発見。こんなにいろいろな種類のおみくじが置いてあるのは見たことがない。
筑波山神社 ケーブルカー 走行距離
筑波山神社でも勝守をゲット。以前訪れた時も同じ勝守を買ったのに気づいたのは帰宅してからだった…。 筑波山神社近くの宮脇駅からケーブルカーに乗車。筑波山山頂から見た関東平野の様子。筑波山は登山でも人気のスポットだ。 筑波山神社に到着した時点での走行距離は2222km(キリ番!)。この後、給油したところ給油量は2.7リットル。リッターあたり58km。メーカー公称値に近い値となった。

 筑波山神社を出発したのは午後1時40分。最後の目的地である館林市の茂林寺に向かう前に腹ごしらえだ。県道42号線、県道14号線を通って国道125号線に進み、国道125号線と国道294号線が交差する近くにある「ばんどう太郎下妻店」に立ち寄った。「ばんどう太郎」は茨城県や栃木県を中心に展開する和食レストランだ。前回のツーリングで筑波山神社へ参拝後に寄った際、この店の名物「みそ煮込みうどん」を食べたところ美味しかったので、もう一度食べてみようと思ったのだ。


坂東みそ煮込みうどんランチ
鬼怒川 茂林寺
ライスが付いたばんどう太郎の「坂東みそ煮込みうどんランチ」。ランチは通常のみそ煮込みうどんとは若干具材が違うらしいが、そんなの関係ないくらい美味しい。 国道125号線を走っていると鬼怒川を通過した。千葉県、茨城県から埼玉県を掠めて群馬県に突入。すでになかなかな距離を走っている。 午後4時40分、1日目の最終目的地である群馬県館林市にある茂林寺に到着。昼飯を食べたばんどう太郎から2時間もかからなかった。

 真夏にみそ煮込みうどんとはなかなかハードだが、ここに来るまでまともな休憩をしていなかったので、休憩も兼ねて立ち寄った。平日限定のライスがついた「坂東みそ煮込みうどんランチ」にランチドリンクを追加。アツアツのみそ煮込みうどんは塩分補給に最適。そして白米が実に似合う。汗を拭いながら完食した。

 ばんどう太郎で40分ほど休憩した後、国道125号線を走って館林市に向かう。途中、鬼怒川を通過し、茨城県、栃木県、群馬県が複雑に交わるデルタゾーンの古河市に入り、国道354号線を通ると館林市に到着した。館林市といえば玉井カメラマンの故郷でもあり、ガンマニアなら一度は聞いたことがある老舗ガンショップ「明和模型」がある。熊谷市と並ぶ最高気温をマークするところとしても一度は耳にしたことがあるはずだ。

 宿に向かう前に1日目の最終目的地である茂林寺に向かう。東北自動車道の館林インターを通過し、県道366号線を通ると茂林寺はあった。到着したのは午後4時40分。ばんとう太郎からは2時間弱だった。茂林寺はまんが日本昔話で知られる「分福茶釜」の寺として知られている。風情のある境内にはタヌキの置物が多数置かれており、訪れた日が平日の夕方ということもあり、参拝客は私ひとりだった。

 茂林寺から県道366号線を進み、今宵の宿泊地である館林グランドホテルに向かう途中に明和模型の前でパシャリ。館林グランドホテルに着いたのは午後5時00分だった。空を見上げると今にも雨が降ってきそうだった。急いで荷をほどき、館林市はうどんが名物なので、ホテルから5分ほど走ったところにある「うどんの上州」に向かった。昼食に続いて夜もうどんだが、メインメニューの「肉汁うどん(大盛)」はツルッとしたコシのある麺と暖かいつけ汁のコンビネーションが最高だった。

 お店を出るとすでに雨がパラついている。急いでホテルに戻り、10分も経たないうちに雨は土砂降りになった。この日は東京でも雨がすごかったらしく、あうやくずぶ濡れになるところだった。ホテルの大浴場に浸かったら眠くなってしまい、朝から走りっぱなしだったのでこの日は早々に寝た。(パート3に続く)

茂林寺
有名な昔話「分福茶釜」のお寺として知られる茂林寺にはタヌキの置物がたくさん並んでいる。ひとつひとつ見ていくだけでも面白い。
明和模型
旧月刊Gun誌の読者の方なら館林市の名店「明和模型」をご存知だろう。プラモデルからラジコン、トイガンまで幅広く扱っている。
肉汁うどん
館林市はうどんが名物ということで、夕飯はホテルからバイクで5分ほどのところにあるうどんの上州の「肉汁うどん(大盛)」をチョイス。

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