MBFCC-B1 毛野ブースカ 湯めぐりみしゅら~ん

第66湯:ビーナスライン周辺の温泉

 新天皇陛下の即位に伴い、今年のゴールデンウイークは最大10連休という前代未聞のスケジュールとなった。このコラムを読んでいる方の中には10連休を満喫した方もいることと思う。かくいう私は愛機ホンダ400Xの車検をゴールデンウイーク前に無事に済ませ、以前から気になっていたマイナートラブルも完全解消し、いつでもツーリングに出かけられる体勢だった。しかし、ゴールデンウイークとはまったく関係ないところで、印刷所からアームズマガジンの校了日が異様に早く設定されたおかげで、結果的にほとんど休むことができなくなってしまった。
 こういう仕事に就いているから仕方ないとはいえ、ほぼ毎年ゴールデンウィーク中にロングツーリングに出かけており、こんな滅多にないタイミングで出かけられないとは今年はツイていない。まあ悔やんでも仕方ないので、ちょっとでも鬱憤を晴らすべく、ゴールデンウイークの最終日に令和最初のツーリングに出かけることにした。悩んだ挙句選んだ行き先は、自宅からそれほど離れていない長野県上田市近辺。タイトルに「ビーナスライン周辺の温泉」と書いたが、実は現場に行ってからビーナスラインがあることを知り、ビーナスラインそのものは少ししか走っていないことを最初にお伝えしておこう。

 前日までに仕事を片づけて午前7時30分に自宅を出発。15分ほどで中央自動車道に入り、岡谷ICを目指す。渋滞が心配だったが、さすがにゴールデンウイーク最終日ということもありガラガラ。車検を済ませたばかりのホンダ400Xは快調そのもの。途中、双葉SAに寄ろうと思ったが通り過ぎてしまい、八ヶ岳PAで休憩。ちょっと小腹を満たし、あとは岡谷ICまでノンストップ。岡谷ICに到着したのは午前10時ちょうど。ここからは和田宿温泉「ふれあいの湯」を目指して国道142号線を上田市方面に向けて進む。途中迷うことなく午前10時30分に目的地に到着した。
 令和一発目の温泉として選んだ和田宿温泉「ふれあいの湯」は長野県小県郡(ちいさがたぐん)長和町和田の湯遊パーク内にある日帰り入浴施設だ。入湯料は500円。浴室はそれほど広くはないが、天井が高くて開放感がある。内湯と露天風呂が1個ずつ。お湯は無色透明で肌触りよくてほどよい湯温。露天風呂からは周囲の景色が見え、5月初旬らしく新緑の香りがした。この日は穏やかな天気で時間が経つのを忘れてしまう。令和一発目としては上々の滑り出しだった。
 和田宿温泉「ふれあいの湯」をあとにして向かったのは国道142号線から国道152号線に進み、15分ほど走ったところにある道の駅「マルメロの駅ながと」のすぐ隣にある長門温泉「やすらぎの湯」だ。長門温泉「やすらぎの湯」は長野県小県郡長和町古町にある日帰り入浴施設だ。入湯料は500円。浴室は大きく、内湯は細長で大きい。お湯はややエメラルドグリーンっぽく、湯温は熱めで温まる。肌触りはキシキシ系だ。露天風呂のほうがエメラルドグリーンの色が濃く感じられた。この温泉も実に気持ちいい。温泉を出た後、道の駅で昼食を摂ってから出発。上田市方面に向かうか迷ったが、せっかくなのでビーナスライン方面に進み、岳の湯温泉「雲渓荘」と武石(たけし)温泉「うつくしの湯」に入ることにした。
 まずは岳の湯温泉「雲渓荘」に向かうべく、国道152号線を上田市方面に進み、すぐに立岩と呼ばれる交差点を左折。そこから武石川を通過し、小沢根川に沿って山道を進むと目的地が現れた。岳の湯温泉「雲渓荘」は長野県上田市武石小沢根にある山奥の一軒宿だ。入湯料は400円。内湯のみでほどほどの広さ。お湯は無色透明で湯温はちょうどいい。肌触りはさっぱりしている。周囲を山に囲まれたとても静かな場所にあり、ビーナスラインを走った後にこんなところに泊まってゆっくりしてみたいと思った。
 上機嫌で温泉を出ると、なんと雨がパラパラ降っているではないか。さっきまで晴れていたのがウソのようだ。とりあえず来た道を戻り、武石地域の集落を通って県道62号線沿いの町並みが見渡せる小高いところにある武石温泉「うつくしの湯」に向かった。武石温泉「うつくしの湯」は長野県上田市上武石にある日帰り入浴施設だ。入湯料は500円。浴室は広くて開放感がある。内湯と露天風呂がそれぞれあり、肌触りのいいお湯は無色透明。湯温は露天風呂のほうがちょっと熱めだった。休日ということとアクセスがいいためか地元の方がたくさん訪れていた。
 和田宿温泉から武石温泉まで一気に4湯も入り1日分の収穫としては充分。ここまで来たのでビーナスラインを少し走ってみることにした。幸いにも先ほどまで気になっていた雨は止んでくれた。県道62号線を松本市方面に進み、県道464号線(=ビーナスライン)に入って美ヶ原高原を目指す。だんだん標高が高くなり、ついにTV CMで有名な美ヶ原高原美術館の近くまで来た。周囲を見渡せるところでバイクを降りると思わず「寒ッ!」と言ってしまうほど気温が低かった。ウインタージャケットを着て正解だった。
 ここからは午前中に入った和田宿方面を目指して県道460号線、県道67号線を通って国道142号線に出た。ここから帰京しようと思ったが、午前中に通過した有料道路(新和田トンネル)を回避したかったので、県道155号線を走って白樺湖に向かった。白樺湖に到着したのは午後4時30分。ビーナスラインを通って身体がすっかり冷えてしまったので、白樺湖沿いにある白樺湖温泉「すずらんの湯」に入ることにした。


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職人のフランクロール
八ヶ岳SAで食べた職人のフランクロール(410円)。お値段は少々高いが、八ヶ岳燻製工房とのコラボによるフランクフルトは上品な美味しさ。

ふれあいの湯
国道142号線からちょっと入った高台にある和田宿温泉「ふれあいの湯」。午前中は天気が良くて気温も高かったので、露天風呂が実に気持ちよかった。

やすらぎの湯
道の駅「マルメロの駅ながと」の近くにある長門温泉「やすらぎの湯」。ちなみにマルメロとは果実酒やジャムなどに使われるバラ科の植物で、この地域が産地だという。

馬鹿(うましか)てりやきバーガー
道の駅で見つけた信州ジビエバーガー、その名も「馬鹿(うましか)てりやきバーガー」(550円)。馬肉と信州で捕れた鹿肉の合挽きパティが使われている。注文時、正確な読み方がわからず、「バカバーガーください!」と思いっきり頼んでしまった…(店員さんは慣れているのかまったく無反応だった)。

雲渓荘
武石地域から山間部に進んだ静かな場所にある岳の湯温泉「雲渓荘」。たまにはこんなところでのんびりしてみたい。

 白樺湖温泉「すずらんの湯」は長野県茅野市北山白樺湖にある日帰り入浴施設だ。入湯料は700円。館内は広く、脱衣所と浴室も広々としている。ガラス越しに湖面が見える内湯は広く、露天風呂はやや小さいが源泉が注がれている。湯量は豊富で、無色透明のお湯が淡々と注がれている。キレイな作りでリゾート地らしい佇まいだ。温泉を出て白樺湖湖畔を見渡すと、冬から春になりつつあるような景色で、初夏まではもう少しかかりそうな感じだった。
 白樺湖をあとにして国道152号線を茅野市方面に進み、山裾を走る八ヶ岳エコーラインを通って諏訪南ICから中央自動車道に入り、帰りも渋滞はまったくなく2時間ほどで自宅に到着した。記念すべき令和第一発目の湯巡りはこれで終了。新たな時代を迎えて入湯数はどこまで伸ばせるのか。まずは850湯を目指そう。



美ヶ原高原から見た雄大な山々の景色


雲渓荘
岳の湯温泉「雲渓荘」を出ると雨がポツポツ降っていたが、そばを流れる小沢根川沿いに咲いていた桜並木が心を癒してくれた。 松本市と上田市を結ぶ県道62号線沿いにある武石温泉「うつくしの湯」。地域の方の憩いの場となっている。温泉を出る頃には雨が止んでいた。


美ヶ原高原から見た雄大な山々の景色


ビーナスライン
標高約2000メートルにある美ヶ原高原から見た雄大な山々の景色。写真では伝えにくいが気温はかなり低く、薄着だったら間違いなく風邪を引くレベルだった。 雨がパラパラ降っていたせいで路面が濡れており、ビーナスライン走行後はリアフェンダー周りがすっかり汚れてしまった。


すずらんの湯


白樺湖湖
TV CMで知られる白樺湖沿いにある白樺湖温泉「すずらんの湯」。建物はキレイで、おそらく冬はスキー客などでいっぱいになるのだろう。 最後に冬の様相が残る白樺湖湖畔でパチリ。令和最初の湯巡りツーリングとしては上出来だった。

ブースカ的温泉評価
和田宿温泉「ふれあいの湯」
★★★★
時間が経つのを忘れる長閑な雰囲気の温泉。
長門温泉「やすらぎの湯」
★★★★
道の駅近くで休憩ポイントとしてちょうどいい。
岳の湯温泉「雲渓荘」
★★★★★
一度は泊まってみたい山あいの静かな温泉。
武石温泉「うつくしの湯」
★★★★★
ビーナスライン走行後の疲れを癒すのにぴったり。
白樺湖温泉「すずらんの湯」
★★★★★
リゾート気分が味わえる瀟洒な温泉。
※あくまで個人的な評価ですので、ご参考までに。

毛野ブースカ毛野ブースカ
トイガンとミリタリーの最新情報誌『月刊アームズマガジン』の編集ライター。バイクに乗り始めてから温泉が好きになり、現在までの温泉踏破数は806湯。湯巡りツーリングの相棒はホンダ・400X。ちなみにマイカーはスズキのエスクードだ。


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