2012年8月6日 

■カワサキがNinja 250のニューモデルを発表! といってもまずは海外モデルで先行デビュー

 国内では、今年の4月に300台限定のスペシャル・カラー・バージョンも発売されたNinja 250Rだが、いよいよモデルチェンジの時期が来たようだ。

 2008年4月の登場以来、250ロード・スポーツというジャンルを再活性化させ、現在も人気継続中のNinja 250R。以来、毎年のようにカラーを変更してリフレッシュ。2010年にはスペシャル・エディションをリリース。翌2011年にもスペシャル・エディションをラインナップするなど、好調ぶりをアピールしてきたが、登場以来4年を経て、スポーツ・モデルとしては“そろそろ”の時期なのも確か。

 で、ついに海外先行デビューで、新型Ninja 250が登場したので紹介しよう。インドネシア仕様のNinja 250と、インドネシア、タイ仕様のNinja 250 ABS Special Editionが発表された。

「フルフェアリングにパワフルな249cm3エンジンを搭載するスポーツマシン。2013年ニューモデルNinja 250はさらにアグレッシブさを増した新しい“Ninja”スタイルに加え、新たなエンジンと車体を手に入れたNinja 250は、さらにエキサイティングなライディングパフォーマンスを実現しています。エンジンはクランクケース、ピストンを一新し、さらにアルミダイキャストシリンダーを採用。また、新フレームの採用、リアタイヤのワイド化に加え、車体に数々のアップデートを施すことで、マシン全体のパフォーマンスを飛躍的に向上させています」(KAWASAKIプレスリリースより)。

 ちょっと見は、フェアリングの造形変更程度と思ってしまうが、キープコンセプトのスタイルから中身まで、実は大幅に変わりました、という方向のモデルチェンジといえよう。

 まずはエンジン。圧縮比を11.6から11.3に変更。ピストンはスカート部を2mmショート化した軽量ピストンを採用、ピストンボスの強度アップも図っている。ピストンクラウンからトップランド、トップリング溝にかけて硬質アルマイトコーティングを施しピストンの耐久性を向上させた。

 スリーブレスのアルミ・ダイキャストシリンダーには、ZX-10RやZX-6Rと同様、内側にメッキ処理を施し、また、オープンデッキとすることで冷却性能も向上。旧モデルと比較して600gもの軽量化に貢献している。

 シリンダーへの冷却水流入口形状は円形から長方形に変更することで、冷却効率を向上。ウォーターポンプのインペラー形状も変更、冷却水の流量を増加させることで、冷却効率をアップ。メインベアリングジャーナルの素材変更で耐久性を向上。

 これらによるエンジンパフォーマンスの向上に伴って、クランクケースも新開発。オイルパン容量は1.7リットルから2.4リットルに拡大。同時にオイルパン底部にはフィンを設けることで冷却性能の向上を図っている。オイルフィルターは大型車両で一般的なカートリッジタイプに変更、フィルター交換の手間を大幅に低減している。

 微粒化インジェクターにデュアルスロットルバルブを組み合わせ、吸入空気量を正確にコントロールすることで、あらゆる回転域でリニアなスロットルレスポンスを実現。メインスロットルバルブ径は旧モデルと同一のφ28mmだが、サブスロットルバルブ径は、φ35.5mmからφ40.2mmに拡大。吸入空気量をアップすることでエンジンパフォーマンスを改善。

 Ninja 650と同様、曲げを強調したエキゾーストのヘッダーパイプは管長を確保することで低中速域のトルク特性を向上。センターパイプはエンジン下へ向かって左に曲げられ、さらに右へ曲がり管長を稼いでいる。コレクターパイプ内にはシングルのハニカムキャタライザーを搭載してユーロ3に適合。

 ニューデザインを特徴づけるポイントのひとつでもあるサイレンサーは、複雑な断面構造を持つショートスタイルで、大型のサイレンサーガードを装備することで、パッセンジャーに対する熱対策を図るとともに、排気音量の低減にも貢献している。

 鋼管ダイヤモンドフレームも再設計された。左右のメインチューブ素材にはあらたに高張力鋼を採用。ガセットを追加することでフレーム縦方向の剛性をアップ。剛性バランスの適正化のため、メインチューブはフューエルタンク下部で広がる形状としている。エンジン前側はラバーマウントにすることで、エンジンの振動を大幅に低減。シートレールはより水平に近い角度とすることで、リアタイヤサイズの拡大に伴うシート高のアップ分を相殺している(リアタイヤは140mmにワイド化)。

 フロントのφ37mmインナーチューブ径テレスコピックは減衰力のセッティングを変更。スプリングレートを若干柔らかめとしている。リアのユニ・トラック式サスも減衰力とスプリングレートを変更。前後ブレーキのパッド素材をシンタード系からレジンパッドに変更(ABSモデルはフロントにシンタード)。

 ABS仕様モデルにはニッシン製の新型ABSユニットを採用。二輪専用に開発されたABSユニットは正確なコントロールを実現しながら極めてコンパクトに設計されており、旧型比で約40%に小さくなったサイズと775gの軽量化を実現している。

 ホイールも新設計だ。ZX-14Rをイメージさせる10スポークホイールに、リアはタイヤのワイド化に合わせてリムサイズも17×MT3.50から17×MT4.00にアップ。140化されたリアタイヤは、IRCとの共同開発による扁平バイアスタイヤで、新コンパウンドの採用と合わせてウエット路面でのパフォーマンスも向上している。

 外観ではビルトインされたフロントウインカーやより先鋭的となったフェアリング、そしてより空力特性が考慮されたフェアリング、新形状のベンチレーションホールなどが目につく。キープコンセプトながらほぼ全てのパーツがリデザインされている。


※左上、右上、左中がインドネシア仕様の「Ninja 250」、その他がタイ仕様の「Ninja 250 ABS Special Edition」。(写真の上でクリックすると大きな画像が見られます)
 
■Ninja 250主要諸元■
●全長×全幅×全高:2,010×715×1,110mm、ホイールベース:1,400mm、最低地上高:140mm、シート高:785mm、装備重量:172kg、燃料タンク容量:17L●水冷4ストローク2気筒DOHC4バルブ、排気量:249cm3、ボア×ストローク:62.0×41.2mm、圧縮比:11.3、燃料供給装置:フューエルインジェクション、始動方式:セル、潤滑方式:ウェットサンプ式、最高出力:23.5kW(32PS)/11,000rpm、最大トルク:21.0N・m(2.1kgf・m)/8,500rpm●6段変速、1速2.600、2速1.789、3速1.409、4速1.160、5速1.000、6速0.893、一次減速比:3.087、二次減速比:3.286●フレーム形式:ダイヤモンド、サスペンション:前φ37mmテレスコピック、後ユニ・トラック、ブレーキ:前φ290mシングルディスク、後φ220mmシングルディスク、タイヤ:前110/70-17M/C 54S、後140/70-17M/C 66S ※諸元はインドネシア仕様

●KAWASAKI http://www.kawasaki-motors.com/