GSR250 with YOSHIMURAは、GSRを5年進化させたのか?「良いバイク」が「良いスポーツバイク」に!

「良いバイク」の税抜き41万8000円という価格でライダーを驚かせ、さらにスポーティというよりは実用性に重きを置いたコンセプトで、発売と同時にヒットモデルとなっているスズキのブランニューモデルGSR250。もちろんその価格には驚いたが、それよりも実車の作りのよさに驚かされ、さらに走りまでよいという、スズキの言う通りの「良いバイク」である。

 ちょっとした試乗よりも、長く乗った方がますます好きになりそうなマシンだったため、姉妹媒体であるミスター・バイクBG誌において広報車をお借りし、1週間ほど乗ったのがつい先月の話。大きなタンクシュラウドやB-KINGをイメージさせるフロントマスクなど最新モデルらしいデザインながら、乗り味はどこか旧いバイクに似通っていると感じさせるほど良い安定感があり、1週間を通じていい印象はかわらなかった。

GSR250 GSR250
■主要諸元
■SUZUKI GSR250(JBK-GJ55D)
●水冷4ストローク2気筒SOHC2バルブ、53.5mm×55.2mm、248cc、圧縮比11.5:1、最高出力18kW(24PS)/8500rpm、最大トルク22N・m(2.2kgf-m)/6500rpm、燃料タンク容量13L、オイル容量2.4L、燃料消費率40.0km/L(60km/h)●全長2145×全幅760×全高1075mm、ホイールベース1430mm、最低地上高165mm、シート高780mm、車両重量183kg●常時噛合式6段リターン、キャスター角26°00’、トレール105mm、タイヤ前:110/80-17M/C (57H)、後:140/70- 17M/C (66H)、ブレーキ前:油圧式シングルディスク、後:油圧式シングルディスク、懸架方式前:テレスコピック式、後:スイングアーム式、セミダブルクレードルフレーム●車体色パールネブラーブラック、サンダーグレーメタリック、キャンディカーディナルレッド●価格:438,900円
※スペックはスタンダード状態
GSR250の詳細は新車プロファイルを参照してください。

 その「ほどよい安定感」とは、かなりの重量があるマフラーが左右の低い位置にあることで作り出されているのではないかと推測し、誌面にもそのように書いた。軽いことが正義であるかのように言われることの多い中、GSRは重量物の使い方で独自の付き合い易さを演出しているのではないか、と。

 しかしそんなGSRにヨシムラから軽量なマフラーが出てしまった! いや、アフターパーツの楽しみが加わったのだから喜ぶべきことなのだが、あんなに(勝手に)納得していた重いマフラーの美点が損なわれやしないかと思ってしまったのだ。

 ルックスはいかにも軽快になり、スポーティ&スマートなものに変貌。装着されていたものがチタンカバーにカーボンエンドを組み合わせたタイプだったため、なおさらハイパフォーマンスをアピールしているように映る。マフラー出口の径もとても大きく、しかもストレート構造で奥まで見えてしまうためますます「その気」になってしまう。

 エンジンをかけると低めの洗練された音。もちろん政府認証マフラーであり排ガス規制にも対応しているのだが、それでもアイドリング時はなかなか存在感のある音で、それにシングルとは違った色気もある。GSRはもともと250ccの枠を超えて、車体サイズも低回転でのスムーズな力強さも400ccクラスに迫るものを持っているが、このヨシムラマフラーもまたクラスを超えた存在感を持っている。

 構造は右側の1本出しスリップオンであり、純正のエキパイとクランクケース下のチャンバーは活かしてある。このためチャンバーから伸びる左側への排気口にはフタがされるという、大型バイクのスリップオンでも見られる手法をとっている。もちろんオイル交換やセンタースタンドの使用は可能であり、純正の便利さを損なっていない所もさすがヨシムラだろう。


こちらで動画が見られない方、もっと大きな映像で楽しみたい方は、YOUTUBEのサイトで直接ご覧ください。

GSR250
サイレンサーカバーはスタンダードなステンレス、カーボンの雰囲気とステンレスの耐久性を融合させたメタリックマジック、腐食に強いチタン、チタンカバーに陽極酸化処理を施した虹色のチタンブルーの4つ。サイレンサーエンドはステンレスかカーボンがあり8通りの組み合わせから選択できる。価格は組み合わせによって54,600〜75,600円と異なる。

 走り出すと、全く別のバイクになっていることに驚いた。とにかく軽いのだ。出力の向上ももちろんあるが、それ以上に大幅な軽量化が車体に与える影響が即座にわかる。スペックを見ると純正の2本出しサイレンサーは合わせて9.2キロなのに対して、こちらはわずか2.8キロ。車体後部の低い位置から6.4キロもの重量が消えたのだから操縦性が変わっても不思議はない。しかし体感的にはGSRが途端にスポーツバイクに生まれ変わったと感じるほど大きな変化だった。

 マフラーを交換したことにより、当然前後輪の重量配分もかわっているだろう。ハンドリングはノーマルのドシッとした、後輪荷重で曲がっていく雰囲気に対して、積極的にフロントブレーキを使い寝かしこんでいくことができるものに変化している。またブレーキの効きが向上しているように感じたのも軽量化の賜物だろう。

GSR250

 パワーグラフによると7000回転までの低中回転域で特にノーマルの出力を上回っているが、しかし実際に乗ったフィーリングは7000回転以上の高回転域でよりノビ感が向上していると感じた。そこからレッドゾーンまでがとても気持ち良く、自然とそのゾーンを維持した走りがしたくなる。静かで豊かなトルクのある低回転を使いたいノーマルのGSRとは、接するライダーのテンションがまるで違うのだ。

GSR250

 走っている時の音質は、不思議と高回転になるほどに静かに感じるようだった。アイドリング時の1発1発の存在感は高回転になると整った連続音となり、ノーマルよりはハスキーなものの、トンネルの中などでも耳障りに感じるようなことなどなかった。それでいて街中を流している時にはパルスのある排気音が耳に届き、社会的な責任と趣味心を満足させるいいバランスだと感じた。

 試乗を終えて振り返ると、当初心配したGSRらしさの減少は多少なりあったかもしれない。ドシッと落ちついたGSRならではの世界は、ヒラヒラとしたスポーティなものにとってかわった。その乗車感はまるでバイクが5年ほど進化したかのようだった。しかし一方でGSRはスリップオンマフラーだけでここまで変わることができるというのは驚きであり、GSRのさらなる可能性も見ることができた楽しい試乗だった。

GSR250

 付け加えると、大幅な軽量化により女性でもさらに扱いやすくなる可能性があることや、右側1本出しになったことでコンパクトになり駐輪場などでも場所をとらないこと、またはトランポにも積みやすいなどの利点もあるだろうと思う。遊び心で言えば、左出しも選べたり、もしくは両側出しの選択肢もあってもいいかもしれない。

 よきスタンダードであるGSRを簡単にスポーツバイクに変えてみせたこのマフラーは、多くのGSRライダーのスポーツマインドをかき立てることだろう。趣味と実用と、深い懐を持つGSRにさらなる楽しみをプラスしたヨシムラに感服した。

GSR250 ■製品情報:
GSR250用 スリップオンR-77J ヨシムラサイクロン EXPORT SPEC

政府認証マフラー
製品2年保証付き
平成18・19年排出ガス規制適合
オイル交換・オイルフィルター交換・センタースタンド装着可
マフラー本体カバー素材はステンレス・チタン・メタルマジック・チタンブルーより選択可
エンド部素材はステンレス・カーボンより選択可
重量:2.6Kg~2.9Kg
価格:54,600円~75,600円
問い合わせ スズキビジネスオート用品事業部 0120-582-530

●GSR250スタンダードモデルのインプレッションも併せてご覧下さい。