“ニュー・ミッド・コンセプト”により開発された3兄弟の中で一番早く発表されたINTEGRA。第2世代のDCT専用車であるとともに、ホンダの本格的“スポーツ・スクーター”の第一弾というポジションでもあるマシン。” ※スタートボタン通すと、HONDA INTEGRAの動画を見ることが出来ます。見られない場合はYouTubeのサイトで直接ご覧ください。http://youtu.be/2Tfh5kjZMhU

 2011年9月に行われた、700ccの環境対応新型エンジンと“第2世代のデュアル・クラッチ・トランスミッション”(DCT)の発表と同時に公開されたのがこの新型スクーターだった。

 当初は新型スポーツ・スクーターの1車種とそのマシン向けの新エンジン+DCTのセットだろうぐらいに勝手に解釈していたら、とんでもない。これらはホンダの近未来のミドルクラスの屋台骨を担うことになるはずの大プロジェクト“ニュー・ミッド・コンセプト”誕生の第一声だったのだ。

 いちスポーツ・スクーターにとどまらず、ベイシック・スポーツから“オン・オフ”モデルまで、このひとつのパワープラントで様々なモデルに兼用しようという、まったく新しい試みの始まりだったというわけだ(“ニュー・ミッド・コンセプト”の総開発責任者・青木柾憲氏のインタビューは、コチラ→http://www.youtube.com/watch?v=383YKEDl2nA&feature=youtu.be)。

 その新時代コンセプトの第一弾、INTEGRAをツインリンクもてぎで一足お先に試乗してきた。

 注目は何よりその走りなのだろうが、その前にDCTについてふれておきたい。というのも、まずはDCTの操作に慣れないことには、走り云々以前の問題なのだから。ニュー・ミッド・コンセプト第二弾、三弾のNC700SやNC700Xならノーマルトランスミッション仕様車も発売される予定だが、このINTEGRAではDCTタイプのみの車種構成なのだ。

 セルボタンによりエンジンをスタートさせても、一般のスクーターのようにアクセルをひねれば走り出せるわけじゃない。もうひと操作、ハンドルの右グリップ基部に備えられたDCTのボタンを押す作業が必要だ。

 ノーマルミッション車でニュートラルから1速に入れる感覚だろう。ただこちらDCTでは、そのままではフルオートマチックで走り出すことになる。そして望むなら、DCTボタンの裏手にあたるグリップ基部に備えられたマニュアルとオートマチックの切り替えレバーを押すことでマニュアルシフトに。ギアの選択はハンドル左のグリップ基部の手前側にあるシフトダウンボタンと、裏手側に位置するシフトアップボタンにより、1速ずつ手動で選択していくことになる。

 早々にこの操作になれるか、当初はDCTボタンを押しただけのフルオートマチックで、一般的なVベルト無段変速と同じフルオートマチック状態で走るしかない。操作が面倒くさそう? そう思ってしまう方は、もちろんずっとフルオートマチックにしたままにしてしまってももちろんいいのだが…。

試乗者は身長176cm。跨るときは普通のスポーツバイクのように後ろから脚を回して、が自然でした。 ビッグスクーターか、VFR1200Fか。後ろに付かれたらちょっと判断に困る顔つき。は冗談でスクリーンの大きさですぐ分かる。 チェーン駆動です。一般的なスイングアームを採用してます。ここら辺がビッグスクーターとの分かれ道? シート高は低いのですが、写真のように両足裏全体がべったりとは地面に着かない。シートにももに当たる部分が思ったより幅広い。

 やっとスタートだ。

 いきなり全開をかましてもなにも“事件”は起きない。スムーズに加速していってくれるのでとても安楽なのだが、逆に言えば物足りなさ感がなきにしもあらず。場所がサーキットだけにそう感じてしまうのかもしれないが、人間の欲望に際限はない。街中ではめったにそんな事はしないのだろうし、安楽なフル加速はほめられこそすれ、物足りないなどとは不遜な発言だろう。270度位相クランクによる不等間隔爆発と一次バランサーが採用されていることにより、伝わってくるのは鼓動感のみで振動は良く抑えられているからとても快適だ。

 そのスムーズさのまま、ある程度のスポーティな走行が楽しめる。ただ、ハードなコーナリングに関しては、自分が両膝の間に何もないスクーターのポジションがまったく性に合わないので、ほとんど攻められていないので適正なインプレじゃないことを先にお断りしておくが、コーナリングの途中でびびってギクシャクとしたアクセリングをしてしまうと、一瞬、空走感が出てしまって心が落ち着かない(DCTの構造的に空走は起きないはずなのだが?)。上手なプロ・ライダーの皆さんのように、ビタッとラインを定めて、スロットル開度もビシッと一発で決められるのであれば気持ちよく抜けていけるのだろう。

 まあ、オレのようなライダーのためにマニュアルシフトがある。適当なギアを自分で選んでしまえばいい。これでずいぶんと安心して走れるようになった。また、フルオートマチックモード中でもシフトアップとダウンボタンは有効だったから、やはりこのマシンの正しい乗り方は積極的にシフトを駆使して走りを楽しむべきなのだろう。

 ただの700ccスクーターじゃない。INTEGRAをフルに楽しみたければDCTを使いきれ、だ。オーナーとなった方は、くれぐれもDCTという宝の持ち腐れにならないよう!

(試乗:小宮山幸雄)

皆さん待ちに待ったホンダのフルサイズ250オフ車ですよ。CRF時代ですから水冷ですよ。これで値段も手ごろなら言うこと無し! ※スタートボタン通すと、HONDA CRF250Lの動画を見ることが出来ます。見られない場合はYouTubeのサイトで直接ご覧ください。http://youtu.be/d1fwAYmhYPU

 走りました。CRF250Lでなんと場違いなツインリンクもてぎの東コースを。いえ私個人的には通勤快速マシン候補のテストにピッタリの試乗ではあったのですが。全開を使う機会が多いところはまさに首都高速的。コーナーのRは神奈川線でももうちょっときついところばかりで、路面もサーキットはグリップが良くてきれいすぎますが…。

 で試乗の感想は、いや~快適快適。次期通勤快速マシン決定ですね。これで終わったんじゃ、待ちに待ったオフ車ファンの皆様に怒られる。良くは分からないながらも少しは気がついた点を。

 まずはシート。モーターショーの会場でも「日本人体型に合わせて低くしましたよ」と説明されていたが、実際に跨ってみないとこればかりは分からない。XR250のシート高875mm(モタードでも855mm)は本気でオフを攻める人には必要なスペックなのだろうが、普段は街中使いをメインとするであろう多くのXRファンには結構ネックとなっていた部分なのでは。そういう私も、一時はXRへの乗り換えを考えたのですがシート高で断念した記憶がある。特に年寄りにはあのシートは高いハードルですよ。

 で、オフ車とはいえ、普段使いも考慮するなら800mmくらいまでには抑えて欲しいところ。モーターショーで見たCRF250Lは確かにXRに比べれば低いのは一目瞭然だったが…。未だシート高の正式な数値が発表されていないので、どれぐらい低いかは実際に跨ってみるしかない。

 さっそく跨ってみました。う~ん微妙。XLディグリーの両足べたり着きの安心感(ちなみにシート高は790mm)プラスアルファー程度を期待していたのでちょっと残念でしたが、身長176cmのライダーで両足が同時にちゃんとつくので、オフも走るモデルとしてはここら辺が限界でしょうか。フロントはフォークマウント部で2cmくらいは下げられるので、リアにはローダウンリンク入れて…横道にそれました。

ホンダのCRFイメージと言うより、XRユーザーにも違和感の無いカラー&グラフィックを纏ったCRF250L。 あくまでオーソドックスに、それでいて最新の技術をさりげなく盛り込んだ新時代のフルサイズ250オフモデル。 注目のシート高。残念ながら両足べったりは実現しませんでしたが、オフユーザーのことを考えればずいぶんと頑張ってくれたのでは。試乗者は身長176cm。 エンジンはCBR250Rの水冷単気筒がベース。フレームはメインパイプ部にスチール製のオーバルパイプを使用している。

 エンジン。CBR250Rの単気筒エンジンがベースというとちょっと違和感を覚えるが、最新のIT技術とF.I.によるエンジンコントロールを駆使すれば、どんな性格にも変身させられるのだとか。そしてなにより、CRFを名乗る以上、水冷化されたエンジンを搭載することにより熱ダレの心配も少なく、騒音面でもはるかに静かになった。

 オーバルパイプのスチール製ツインチューブをメインに構成されたフレームはXRを凌ぐ剛性感。そして足周りはサーキットを走った分にはXRと遜色なし、ってところでしょうか。

 本格的なオフインプレは、来春といわれている発売に併せてオフロード誌各誌の皆さんががんがん攻めてくれるはずですのでそちらをご参考に。そんな正統派?のオフファンじゃなく、私のように街中使いが9割以上という方には絶対お勧めでしたよ、CRF250Lは。

 これでコストも極力抑えて「期待してください」価格で登場してくるというのだから、待っていた甲斐があった一台に仕上がっているのではないでしょうか。

(試乗:小宮山幸雄)



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