- ルリカミドリ
「水と安全はタダ」とか「平和ボケした日本」と言われていたのも今は昔。
政府も電力会社も焼肉屋も信用できないし、自然の猛威とか領海侵犯とか、酔っぱらい運転とか振り込めサギとか……常にびくびくしながら生活していかなきゃならない国になってしまいました。
特にワタシの地元福岡ではヤクザ屋さんたちの抗争がものすごく、一般の人がまちがって撃たれたりして、大変なことになっているみたいです。
じゃあせめて「水」だけは……と思っても、放射能だなんだで、今や日本人が水までスーパーで買い物する時代になっています。
さみしいっスよね、これだけのおいしい水が飲める国なんてそうはないはずなのにサ。
実はワタシずいぶん昔から7〜10日ごとに水汲みに行ってるんです。
20Lのタンクひとつと4Lのペットボトル1個バイクに積み込み、関東周辺に出かけていっては自然の水を汲み、それで料理したり、コーヒー飲んだり、焼酎割ったりしてるんです。
人によっては「放射能が混じってるぞ」とか「野生動物の糞のために大腸菌がいっぱいだ」とか言いますが、ただの一度もお腹壊したことないし、ワタシへっちゃらだも〜ん。
よく行くのは、東京の奥多摩、埼玉の秩父、神奈川の秦野なんですが、今日は久々に千葉県の「久留里」という町に出かけるとしましょうか。
少し早起きし、おにぎり作って、7時半に高円寺をスタートです。
日曜の朝は都内の道路はガラガラ。新宿、半蔵門、銀座、築地、東雲……お天気もいいし、快調に飛ばします。
東京ネズミーランドを横目で見つつ、憎きロッテ(もちろんワタシはホークス命なのだよ)の本拠地Qなんとかスタジアムの横を通り、船橋から千葉へ。
そして石油コンビナートが立ち並ぶ姉ヶ崎から久留里街道(県道24号)に入り、高円寺を発つこと約3時間半で久留里に到着です。
ここは平安時代末期に平将門の子孫が築城したという久留里城趾が残る(昭和43年に復元)山間の静かな城下町です。
また、昔から名水の郷としても有名で、この地方独特の井戸掘りの技術「上総堀り」で掘られた井戸からは、甘くておいしい水が、町内のいたるところで湧き出しています。
さっそくお水を戴きまして、上流の亀山湖へ向かいます。水24 Lを積み込んだバイクはかなりの重さで、運転が少し怖いです。
亀山湖ではお湯を沸かし、味噌汁作ってお昼にしましょう。
ボートに乗ってルアーフィッシングやっている人をながめつつおにぎり食べてると、なんか平和な気分になってきます。
近くにあるJR上総竃山駅はJR久留里線の終着駅。キハが止まっている風景は鉄子のワタシにとってはなんともいえない、いいカンジなのであります。
その後少し山道を走ると「七里川温泉」があります。
ここは山の中の一軒宿。源泉かけ流しの温泉を日帰りで楽しむことができるんですよ。
汗を流した後は、安房鴨川まで南下。雄大な太平洋を左手にして、和田浦あたりまでゆっくりと海岸線を走ります。
国道128号線に入り、館山へ。そのまま国道127号線に乗り、夏によく来る、金谷までやってきました。
岩場でしばしボケ〜っと東京湾を眺め休憩したあと、東京湾フェリーの発着所に到着。
自分へのお土産に、アジの干物と名物のビワを使ったお菓子をいくつか買って、フェリーに乗り込みます。
金谷〜久里浜間は約35分。今の季節は潮風が本当にここちよく、短いけれど素敵な船旅です。
あとは横浜横須賀道路から第三京浜を飛ばし、夜8時過ぎに無事高円寺に戻ってきました。
シャワーを浴びてサッパリしたあと、死ぬほど好きなビールを飲みつつアジの干物をいただきます。
そして、久留里の水で割った焼酎を飲んでいたら気分がよくなってきました。
なんかこの一週間で溜まっていたストレスもどっか行っちゃったみたいです。
ガソリン代、有料道路代、フェリー料金なんかを考えたら、はるかにスーパーで水買った方が安いとは思いますが、やっぱ水汲みは止められませんよね。
女一人、バイクで気軽にツーリングできるなんて国、世界的に見るとやはり少ないんじゃないかなって思います。
いつまでも、いつまでも、安心して暮らせる日本であってもらいたい……
ワタシ、せつにそう願う、今日この頃なのでゴザイマス。
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