Hi-Compression Column

順逆無一文

“暗い話”

(3月28日更新)

この度の東日本で発生した大地震におきまして、被災された皆様に心よりお見舞い申し上げます。

さて、これを書いている3月23日午前の時点で、都内では嘘のようにガソリンスタンドの行列が無くなりました。連休明けの22日こそ、まだ列を作っているスタンドも散見されましたが、すでに列どころか、従業員の方が手持ちぶさたにしている客待ちのスタンドすら。あの半狂乱と呼べる長蛇の列はどこへいってしまったのでしょう。そんなことも、もうずいぶんと昔の話のように思ってしまうのですから、人間は強いというか、したたかというか…。

防災関連グッズを買いに走る、なら分かりますが、スーパーの棚が空っぽになるほどの買い占め、買いだめもありました。

“我欲”というよりは市民の“自衛”でしょうか。海外公館が自国民にいち早く避難勧告を出している状況で、自国民の良識、判断力を信じられない国は、とにかくパニックを起こさないように、不安を持たれないように、とことさらに被害状況を小さく見せようという意図がミエミエの状況発表をくりかえしていました。

もうこの国の民は“大本営発表”を素直に信じるほどお人好しではありません。ことさら被害を小さく見せようと発表すればするほど、市民は万が一の“自力避難”に備えてガソリン確保に走った、というのが実情でしょう。

通勤バイクのために私も都内で2度列に並びました。でもそこに並んでいたのは営業車であり、小型トラック、個人タクシーであり、そして宅配便のバイクライダーさんなど、明らかに買いだめとは思えないクルマ、バイクがほとんどでした。みなさんここで入れてもらわなければ明日は動けなくなってしまう、という状況でしょう。

公共交通機関に頼れるならもちろんそうするでしょうが、クルマやバイクに乗らないと生活が立ちゆかない、という方々も多いのです。

貴重なガソリンが確保できれば、その次はそれをいかに保たせるか、ですね。経済的なスピードを保つというのは意外にむずかしいモノでした。首都高速を通勤に利用させてもらっているのですが、日中はまだしも、帰宅時間となる深夜帯はXLディグリーの“経済スピード”では危険でした。経済的な速度で走っているとガンガンクルマが追い抜いていきます。首都高速の最高速は60km/h。ちなみに“高速”と名称はついてますが、実は高速道路ではありません。自動車専用道です。こちらも制限速度プラスアルファで走ってはいるのですが、さらに速度差30~40km/hはあろうかというスピードで抜いていきます。

特に恐怖を感じたのは、こちらが遅いのが分かっていながら背後まで猛然と迫ってくる大型トラック、これ見よがしに追い抜きざまに前に割って入る“旦那仕様車”の個人タクシー、そして後ろにピタッと貼り付いてしまう乗用車。追い越し車線はガラガラ、という状況でです。

小宮山幸雄
komiyama
“雪ヶ谷時代”からMr.BIKEにかかわってきた団塊ライダー。本人いわく「ただただ、だらだらとやって来ただけ…」。エンジンが付く乗り物なら、クルマ、バイクから軽飛行機、モーターボートとなんでも、の乗り物好き。「霞ヶ関」じゃない本物!?の「日本の埋蔵金」サイトを主宰する同姓同名人物は“閼伽の本人”。


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普段と立場が逆転すると自分のやっていることが良く分かる、といいますが、こんな風に感じさせてしまっていたのでしょうか?  さらに恐怖感を増してくれたのは、真っ暗な路面。輪番停電に協力するため首都高速の神奈川線は道路照明を全て消していました。貧弱なオフロード車のヘッドライトでは上向きにしてもやっと路面状況が確認できる程度。自分が見えないのはともかく、リアの小さなテールランプを見落とされないか、実にヒヤヒヤものでした。

ちなみに“エコラン”してたこの期間の燃費は、1回目の給油が139km走って4.72リッター、リッターあたりで29.4km。さらに給油するのがむずかしくなっていた2回目は、159km走って5.0リッター、リッターあたり31.8kmでした。いずれも少しでも長く走れるように、と燃料タンクの給油口までいっぱいいっぱいに入れて満タンにしてましたので、ほぼ正確な数字かと。

日頃の倍も燃費を伸ばせたのは驚きでした。まあ“エコラン”は、多分に周りの皆さまに迷惑(!?)をかけることと、危険をも覚悟することが必要なようですが…。

スーパーカブならリッター180kmも可能なのでしょうか? チャレンジされた方がいらっしゃいましたらレポートよろしくです。  余談ですが、高いギアでガクガクと無理してしまった影響か、ドライブ・ギアのベアリングのところのシールからオイル漏れが始まってしまったのにはちょっとがっくり来ました。エコランはエコランで高く付くこともあるのですね!? お粗末さま。

“暗い話”になってしまったので最後に明るい話題を。

東京都青梅市では、市制60周年を記念して、この秋から赤塚不二夫さんのキャラクターをデザインに取り入れた原付ナンバーを発行するのだそうです。

現在、検討されているのは、赤塚マンガの代表作「おそ松くん」と「もーれつア太郎」に登場する“イヤミ”と“ニャロメ”。乱暴な運転をするクルマに『シェーッ!』と驚かされたり、自分勝手な運転に『ニャロメ!』と怒ったりしないように、という願いも込められているのでしょうか? いずれにせよ周りのドライバーやライダーを和ませてくれることは間違いないでしょうね。交通安全にもつながり、亡くなられた赤塚不二夫さんもきっと天国で喜んでくれるはず。

ただ、まだこのデザインで決定というわけではないそうで、この3月に決定した新年度予算に制作費が計上された段階で、今後、赤塚さんの事務所側と検討の上、デザインの最終決定に入るという。

このまま順調にいけば秋の登場ということになるでしょう。ちなみに今後の予定としては、「7月をメドにそれぞれ限定1千枚でナンバーの希望を受付て、10月には交付」(青梅市市民税課さん)という予定なのだとか。

ちなみにイメージ図に描かれている「2641」の数字は青梅市の市制施行日、昭和26年4月1日を表しているそうです。

市制60周年おめでとうございます。

              (小宮山幸雄)

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