オートレースは公営ギャンブルですから、未成年は車券を買ったり換金したりできません。
レース場には、バイクが好きって人ばかりじゃなく、賭け事が好きな人たちがたくさんいて全体的におっちゃんっぽい。
サーキットのように華やかな雰囲気ではありません。
レース後にはハズレ車券がビリビリに引き裂かれてゴミとなってそこいらに散らばっていたりします。
バイクを使った競技ですが、やっぱり一線引いた場所だなぁというのが第一印象です。
ですが、バイクの競技としての良さも随所にあります。
競馬、競輪、競艇、そのほかパチンコなど様々なギャンブルの中から、オートレースを選んでここにひと儲けしに来る人たちは、何かバイクに対して動かされるものがあるのだと思います。
たった6周のレースですが、緊張感や伝わってくるものは一緒。
現在、オートレースでは、世界GPで活躍した青木治親や、元アイドルグループの森且行がトップで活躍しています。
今回特別枠としてロードレースやモトクロスで活躍した選手が候補生として入所し、新しい風が入ったことで、これから変わっていくんじゃないかと、そこはかとない期待も抱いてます。
新年1発目のコラム更新ですが・・・・・
昨年行われた川口オートレース場でのお披露目と現場見学を「モトクロス女子部っ」のtentenさんと取材し、トップニュースでは伝えられなかったことを少々・・・・

9月に茨城県筑波サーキット内の養成所に入所した候補生は、ロードからは青山周平、渡辺篤、岩田裕臣、モトクロスの平塚雅樹、佐藤摩耶。
ほかに特別枠としてはスピードスケートの木村亨平、女性合格者の坂井宏朱。
昼前に川口オートレース場に到着した候補生達、走路見学は実際のレースが行われてるオーバルのイン側から、走行の視界の邪魔にならないように頭を低くして先輩選手の走りを見るのだけど、実技の走行訓練の難しさを実感しはじめた候補生達の、先輩のフォームを見る目は真剣そのもの。
「速い選手はフォームが綺麗」と口にするのがそこかしこから聞こえました。
移動するときはすばやく整列して、駆け足。
パドック見学では、なかにいる選手すべてに大きな声で「こんにちは」と挨拶。
レーサーとして生活してきた候補生がまず戸惑う挨拶、厳しい規律の訓練環境の模様はテレビでも紹介されましたね、ある候補生は「まだ声が小さいっていわれます」と。
パドック見学といっても、歩きながら挨拶しながらなので先輩に対する緊張感バリバリのなか、十分に見学なんてできたのだろうか? と思いましたが。
その後の昼食は、おかずがたっぷり入った弁当におにぎりが3個。女子訓練生の2人にはちょっと多すぎるくらいです。
みんな黙々と食べますが、テレビの放送にあったように急いで掻き込む感じではなかったです。先輩からの差し入れはジュース。

そして、この日のメインイベント、午後のお披露目はレースの合間を縫って行われました。
メインスタンドの前に駆け足で整列、ズラーッと並んだ候補生。
会場のアナウンスで候補生の紹介があり、一堂、礼。
そして退場、と、時間にすれば5分くらいの、あっという間のお披露目。
レース場には特別枠の元選手のファンもチラホラでしたが、大半はオートレースファンのおじさん。野太い声で「頑張れよー!」の声が大きく響いてました

このお披露目が終わった後も走路内での見学と、選手控え室のガラス越しの見学があり、その間に特別枠の候補生達からちょっとだけコメントをいただきました。
まずは、BSBで活躍した渡辺篤
「養成所の生活は若い人が多いので自分が20代に戻ったようで年を忘れさせますね。訓練は厳しいけど、それよりバイクに乗ることが難しかった。アクセルを開けることは出来るけど、ロードレースの経験を生かすのが難しい。」
スズキワークスライダーからの転身、華やかな世界を見続けてきた渡辺ですが、勝負師の才能をもっているので、目標に向かって頑張ってほしい。
MotoGPの青山周平
「同期生とは仲良くやってます。共同生活は大変ですが耐えないと。バイクはホントに難しいです、雨で乗車訓練が出来なかったりしたのでデビューまで時間がない。これから寒くなるので体調管理をしっかりやっていきたい」
世界から離れてラーメン屋でバイトなど苦節を味わった後の、これまでの過去を捨ててチャレンジする周平に期待
全日本125ccチャンピオン岩田裕巨
「まず朝からのランニングなどのスケジュールに慣れるのが辛かったです。レースを見ていると、フォームの綺麗な選手が速い。ロードレースの経験を生かしたいですが、癖でつい体がインに入ってしまったり、膝が出たりするのを修正していかないと、まだその辺が問題です。訓練中にフォーム固めをすること、怪我をしないことが目標」
小排気量のレース勘は抜群なのですが、普段からマイペースがにじみ出るところが教官をやきもきさせているようです以下略・・・。
全日本モトクロス 平塚雅樹
「モトクロス出身は早起きや体力には自信あるので、筑波登山も1位でした。最近は装具や競争車にやっと慣れてきた感じで、自分的には順調です。今日の挨拶でお客さんを目の前にして、次のチャレンジに一歩一歩近づいてるのを実感しました。楽しみです。」
年末の帰省を何より楽しみにしていた平塚さん、心配事は卒業後の人付き合い酒付き合いだそうです。お酒の飲めない彼らしいコメントでした。
レディスモトクロス 佐藤摩耶
「入所してすごく食べるようになって、トレーニングも厳しいので体力つきましたね、バイクはパワーがあって、身体が持っていかれるので気が抜けないです。」
入所時はボースだった髪が少し伸びて、身体もちょっと立派になった摩耶ちゃん、観客席から友達の声が聞こえたみたい、とうれしそうでした。テレビでも特番があったのですが「サトマヤ」なんて呼ばれてませ~ん!と、じゃ、これからはマヤ様?
同じ女性の坂井さんはまずバイクになれるところで凄い挫折を味わったそうですが、そこから立ち直って頑張って練習してるそうです

みんな一様に言うのは、おなじ候補生達がすごく仲が善くみな助け合って訓練をしていることです。
転倒したバイクはみんなでチェックして修理したり、気持ちの面でも支えあっているようです。
候補生は、卒業してそれぞれ師匠についてマンツーマンでの指導を受けるのですが、その先輩達からも、『師匠、先輩にも助けられるけど最後は同期だよ』と聞かされているようです。
同期との関係は大事にしていかないとね。
一度厳しい環境を乗り越えての選手デビューですからね。選手になったら実力次第でミリオンレーサーです。頑張ってほしいです
そして
私を儲けさせて!
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レースカメラマン
楠堂亜希
20代初期にてミスター・バイクに拾われ、好きなことをしているうちにレースカメラマンのポジションを与えられました。 モトクロス、ロードレースをこよなく愛し、愛溢れる写真で楽しさを伝えてまいります。
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