(ミスター・バイク 2010.7月号掲載)

まんが

それでは今月も相も変わらず、バイクの事故を紹介しましょう。


日差しの中に夏を感じる、スカッと晴れ渡った平日の通勤時間帯。VTZ250に乗った高校生が、渋滞する街中を走っていました。

免許を取って3ヶ月、放課後や休日にほぼ毎日バイクに乗った甲斐もあって、ようやく街乗りにも慣れてきました。

運転への恐怖が少なくなり、ストレス無く走れるようにもなってきた頃です。


愛車であるVTZ250は'88年式で、彼よりも年上。バイクに乗りたいと両親に言った時、「だったらまずはこれに乗りなさい」とお父さんが長年通勤用に乗っていたものを譲り受けました。

本当はもっと新しくて格好がいいバイクが欲しかったのですが、かつてお父さんが大好きだったバイク雑誌の編集長が、「初めてのバイクは単気筒で不人気車種がいい」と言っていたらしく、単気筒ではないけれど、古くて人気もないこのバイクに、半年は乗ることが免許を取る条件とされました。

見た目にも古いし、友達に自慢できるわけでもなく、最初はちょっと「オッサンくさいなー」と思って恥ずかしかったのですが、人生のメインスポンサーの意向は受け入れざるを得ません。

バイクの免許すら取らせてもらえない友人のことを考えると、天国と地獄ほど差がありますし、小さい頃から後ろに乗せてもらったバイクですから、多少愛着もありました。華々しくは無いけれど、納得のいくライダーデビューというわけです。


実際に乗り出してみると、取り回しも軽いし、初心者の彼にも乗りやすいバイクでした。

燃費も良くて、高校生の懐事情にも優しいのも良いところ。

目立たないバイクですから、他のバイクやクルマにつっかけられることもなく、周りを変に意識しないで済みます。

結果として自分の運転に集中でき、初心者にはピッタリ。バイクに乗ることを素直に楽しめました。


この日は高校の創立記念日で、嬉しい楽しい平日休み。快晴の中、彼にとっては初めての遠出となるツーリングに出かけたところ。

海辺や山のワインディングを走って、一日中バイクを楽しもうという算段です。ちょっと心配そうな両親に「行ってきまーす!」と元気に出発。

これまた初めての高速道路に向かって、ちょっぴり不安を感じながらトコトコと走り出しました。

ところが、家を出てすぐに朝の渋滞に巻き込まれてしまったのです。