2011HONDAMeeting


二輪、四輪、汎用など多種多様な実験、研究、開発、テストなどが日夜行なわれている本田技術研究所。「ちょこっと、ほんの少しだけ見せて下さい」「せめてちょっとだけ入れて下さい」とお願いしても、そうそうは入れない秘密の花園であります。

こちらで動画が見られない方は、YOUTUBEのサイトで直接ご覧ください。

研究所が「研究開発の成果や今後の方向性を見せてあげますから、忌憚のないご意見を」という、ジャーナリストの先生方やマスコミ各社向けの催しがツインリンクもてぎで行なわれたので、ついでに末席に加えてもらいました。 東コースでは、太っ腹にもモーターショーで発表された市販予定車の試乗も行なわれました。そちらはインプレッションページでどうぞ。それ以外の「へ〜えっ」を各パートに分け、ほんのおさわりをご紹介させていただきます。

特許


バイクの特許といえば、誰もが思い浮かべるのが特許の塊といわれた楕円ピストン8バルブのNRエンジンや、最近では油圧を使った複雑な構造の二輪用デュアルクラッチシステムなどのハイメカ。

ところが、普通のオフ車(という言い方は悪いかも知れないが、専用設計と新技術をこれでもかと盛り込んだ`90年代のモデルに比べればという意味で)のCRF250Lにも、いくつかの特許が盛り込まれているといえば、バイク好きでも(バイク好きの方が)驚くのではないだろうか。しかもCRF250Lだけというわけではなく、たいていのバイクには特許の1つや2つは使われているそうだ。


特許
CRF250L。ベースとなったCBR250R系エンジンに9件、車体周りには14件の特許を出願中。
特許
グローバルスタンダードとしてこれから大量に生産される水冷125cc単気筒エンジン。もちろんこれにも特許が。

先日発表されたグローバルスタンダードとなるべく新開発された125cc+CVTのニューパワーユニット。このエンジンにももちろんいくつかの特許がある。

中には「え? こんなものまで特許が」というようなものもある。例えばクランクケース内部に付けられたとあるリブ。

オイル潤滑をうながすために付けられた、ちょっと変わった形状のリブである。しかし見た目はただの鉄の出っ張り。

そういわれて改めて見ればなんとなく理解できないこともないが、普通は見過ごす。そもそも、一般的にクランクケースを割って中を見ることがそうそうあるはずもないし。

ライバル社の技術者がこれを見て、即座に理解するのか、それとも見逃すのか。それはかなり興味深い。



それはさておき多数出願されている特許を常に調べ上げて、新たに開発したと思っている技術が、すでに出願されていないか、特許に抵触していないかなどを専門的に管理する部門がちゃんとあるということにも驚かされる。

さらに特許を世界的に一元管理しているような組織があるように思うが、そんな便利な組織はなく、国別に申請しなければならないそうだから、考えただけでも気が遠くなる。

あなたのバイクも、手元に届くまでには、こういった知られざる闘いもあるということを知っておいて損はない。

マネしようと思ってもそう簡単にはできないような技術ならばともかく、前記のリブ形状などすぐにマネ出来そうだ。特許などあってない某コピー大国に知られたら……ということもあってか、今まではよほどエポックメイキングなものでなければ、あえて公表しなかったのだが、今回初の試みとしていくつかの特許が公開された。

理由のひとつが、公開することにより開発者のモチベーション向上になればというあたりが、いかにもホンダらしい。自分のバイクになんらかの特許があるといわれれば悪い気はしないし。


特許
何気ないインテグラのディスクプレートにも特許が。コストと環境対策で、一枚の板から前輪と後輪のプレートを抜くため、前輪ディスクの内径に後輪ディスクがすっぽりと収まるように設計されている。

特許に限ったことではないが、ふとしたひらめきが形になり、まったく新しい技術に結びつくことも珍しいことではないそうだ。

例えば「フリクションロスの低減」というのは、一種のお題目のようにモデルチェンジの度に繰り返されているが、やればやるほど、さらなる低減が難しくなる。そこで発想の転換により、新たな特許に結びつくことも多々あるそうだ。

生み出された数々の特許は、日夜奮戦する技術陣が生んだ副産物。つまりは技術者の苦悩が生み出した明日への突破口の一里塚でもあるのだ。


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